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解説で「こわい」をなくす!ADHD/ASDの薬物療法の基礎基本

この記事は、
先週日曜日に投稿予定だった記事です。

遅くなってしまい申し訳ありませんでしたが、
本日、投稿させてください。

今週の記事のラインナップは、
告知せずに、
いつものルーティンとは、
特殊となる形で送らせていただこうと思っております。


風邪をひいたら薬を飲む。

この行為に抵抗感がある人は、
そこまで多くない印象。

一方、
ADHDやASDで薬物療法を行うと聞くと、
抵抗感を抱くケースが一定数あります。

それは、
副作用に関しての知識や、
依存症などに関する懸念が、
拭いきれないからかもしれません。

筆者は、
ADHD、ASD当事者ですし、
コンサータを服用していた時期もあります。
(ADHDの薬)

そんな、
当事者の視点や、
様々な子どもを見てきた、
教師/療育者の視点から、
薬物療法について解説をします。

様々なドクターから、
学ばせてもらっている知見を織り交ぜていきますが、

薬物療法はドクターの中でも、
何の薬を使うのかが分かれたりする
ので、
あくまで基礎基本を解説するという視点です。

ニーズに合わせて、
取り込みたい部分だけ、
読んでもらえればと思います。


薬物療法の大前提

まずは、
薬物療法の大前提です。

薬物療法によって、
ADHDやASDといった症状が、
「治る」ということはありません

ADHDやASDはあくまで、
男性脳、女性脳のような、
脳の特徴や傾向の一種なので、
脳自体を変化させる薬ではありません。

そして、
グレーゾーンという言葉があるように、
かなり個々人によって特性が異なり、
神経の配列も違っています。

よって、
薬通りの効果が得られるかは、
投与してみるまで分からず、
理屈通りにならないことが多い

「ちょっとマシになれば合格」といった感じです。

薬を処方するよりも、
まず、すべきことは、
環境調整を行うということ。

その子どもがエラーを起こすような、
人間関係を配慮する。
周囲の音、人口密度、におい、視覚刺激など、
刺激物の調整を行うこと。

そういった、
人的環境調整
物的環境調整を行う。

その上で、
不適合が出るのならば、
薬物療法を試すといった手順です。

薬物療法の薬の安全性ですが、
それは、よっぽど安全と言えそうです。

日本は、世界的に、
かなり薬の基準が厳しいですし、
薬が実際に使われるまでには、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

①動物実験
②症状がある人の治験
③症状がある人/ない人の比較治験
④副作用の10年追跡調査

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

が行われるので、
薬自体に問題は、ほぼないと言えます。

副作用に危ない意識を持つ人は、
リタリンという薬のときに、
副作用があったからでしょう。

今はその薬は、
使われていませんし、

薬のチェックは、
年々厳しくなっています。

後は、
信頼できるドクターを見つけ、
そのドクターの診断や相談通りに、
薬物療法を進めていく。

いまや、
コンサータといった強めの薬は、
免許証のようなカードがなければ、
処方してもらうことができなくなりました

「コンサータをください」

と言っても、
診断書と、
医師の判断がなければ、
受領できるカードすらもらえません。

カードがあっても、
限界でもらえる量に限りがあります。

オーバードーズ、転売などを、
防ぐためです。

そういった面でも、
安全性については、
かなり配慮されるようになっていると言えるでしょう。


ADHDの薬物療法

ADHDの薬物療法は、
大きく分けて3つ。

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

❶コンサータ
❷ストラテラ
❸インチュニブ

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

ビバンセという薬もありますし、
効果も出ていますが、
まだメジャーではないので、
触れる程度で。

ビバンセは新しい薬で、
子どものみに使われます。

コンサータよりも強力。
副作用も少ない。
最終兵器と一部で呼ばれているそう。

しかし、
メインは上記の3つ。

まずADHDの薬は、
大きく2つに分けられます。

1つ目は、
中枢神経を刺激する、
つまり興奮や覚醒を促す薬。

2つ目は、
非中枢神経刺激、
つまり抑制を促す薬です。

では、順に解説していきますね。


❶コンサータ

ADHDはドーパミンや、
ノルアドレナリンの分泌が弱い。

故に、やる気が出なかったり、
覚醒を保てなかったりします。

このコンサータは、
ドーパミンも、
ノルアドレナリンも、
適切な分泌量
に調節する薬です。

その覚醒が高まるのですから、
集中力が高まり、
記憶能力も高まります。

効果は服用から12時間持続

コンサータの大きな特徴として、
コンサータだけが雑音を減らせると言われている。

現に筆者も、雑音が減り、
ワーキングメモリの空き容量が増え、
たくさんの記憶を保持できるようになりました。

結果、
マルチタスクに近い形で仕事ができるように。

雑談しながらも、
仕事にある程度集中できる。

これは今までは、
まったくあり得なかったことです。

雑談に全振りか、
仕事に全振りのどちらかだったのに。

副作用としては、
食欲不振、性欲減退など。

筆者は、
口が渇きやすくなる程度でした。


❷ストラテラ

これは、不注意傾向に有効な薬

ノルアドレナリンを高める感じです。

ストラテラは24時間効き目があるのですが、
効果が出るまでに、
2週間~2ヵ月かかります。

ゆっくりと身体に慣らしていく感じですね。

朝に調子が悪い人はストラテラが良いと言われ、
あるADHD当事者×療育者は、

「今まで10~12時間寝なければならなかったが、6~7時間でOKになった」

と口述していました。

処方された人の8割が、
初期効果を実感したデータがあり、
75%が継続処方だそうです。

副作用は、眠気、頭痛など。
ただ、人によって、
副作用は違ったりします。


❸インチュニブ

インチュニブは、
もともと高血圧の方用の薬でした。

コンサータほど強い薬ではなく、
比較的なだらか。

処方された人のうち、
劇的な効果を感じた人が28%、
効果ありと感じた人が62%なので、
9割の人が効果を感じてはいるようです。

副作用として、
眠気や低血圧があります。

二次障害である、
反抗挑戦症に効果があると言われいます。


ASDの薬物療法

ASDの場合は、
ADHDよりも薬物療法が多くない感じです。

それでも効果はあります。

種類は以下。

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

■ リスパダール
■ エビリファイ

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

リスパダールは、
統合失調症にも使われる薬です。

向精神薬は、
もともと同じように神経系の刺激や、
神経伝達物質を促したりする薬なので、
症状を飛び越えて使われることがあります。

リスパダールは、
ささいな刺激に応じて、
イライラや反抗的な態度をとってしまう症状を、
鎮静する
効果があります。

つまり、
過敏性に対して効果があるということです。

ドーパミン+セロトニン系の薬、
といった感じですね。

エビリファイは、
主にドーパミン系だけで、
リスパダールより弱い薬です。


専門家が薬物療法を勧める理由

子どもに薬物療法を行う場合は、
環境調整がまず先だということは述べました。

環境調整をしても、
尚、不適切な行動が減らない。

その場合は、
多くの専門家が薬物療法をすすめています

それは、
様々なデータや調査において、
分かっていることがあるからです。

脳全体の神経細胞の半分が、
小脳の小脳皮質にあることが分かっています。

その厚みが出てくるのが、
5~10歳。

ただ、ADHDの子どもは、
3~4歳それが遅れる
そうです。

よって、9~14歳。

その間は、
神経伝達が遅い状態なので、
「分かる」が遅いから、
ブレーキがききにくい
状態になります。

だから、
6~8歳までの低学年以前のADHD児は、
ブレーキがかなり効きません。

そして9歳なって追いつく頃には、
かなりの叱責体験、
失敗体験を積み重ねており、
自信がなくなったり、
いやになったりしてしまうのです。

ちなみに、
薬物療法等で、
治療をしていくと、
二次障害の発症率が3分の1以下になることが、
調査によって分かっています。

そして、この薬物療法は、
一生続くわけでもありません。

人間の脳は28歳までは、
感覚入力期です。

脳は後頭部分から発達していきます。

思春期から始まる青年期では、
脳の前頭葉と後頭部とのつながりが、
未熟な状態。

それが、28歳までには、
完成する
と言われている。

そうなると、
ADHD症状の人は、
多動性や衝動性は相当収まり、
不注意のみが残ると言われています。

それも弱まった状態で。

そうなると、
薬もいらなくなる場合が、
発生するでしょう。

あるドクターも、
小脳の神経に伸びが出てくる、
18~25歳までの間まで服用を、
勧めています。

そのように、
ゴールをしっかりと理解した上で、
処方されるのならば、
不安も緩和されるのではないでしょうか。


まとめ

筆者は現在、
ほとんどコンサータを服用していません。

それは現在の環境に、
適応している状態だからでしょう。

一方、教員時代は、
飲んでいないと落ち着かなかった。

それは、
ストレス過多の状況であり、
マルチタスクな職場であり、
自身の精神的な不安もあったからでしょう。

しかし、コンサータを処方されることで、

「雑音なく集中するとはどういうことなのか」

を体感できたのはでかかったです。

そして、
コンサータが身体に慣れるようになると、
以前の薬を飲む前の状態と、
薬を飲んでいる状態の、
中間の感じを、
薬を飲んでいない平常時もキープできる
ようになりました。

あくまで、
筆者の事例です。

同時並行で、
自己肯定感を回復させていたのも、
大きかったかもしれませんが。

試してみてうまくいかなかったら、
薬を変えたり、
処方をやめたりできるので、
とりあえず試す形でもいいかもしれません。

きちんとドクターの指示に従えば、
依存症になるような処方量は施されませんので。

本当は、
睡眠障害の薬なども支援の1つなのですが、
そういった向精神薬は、
また別の機会に記事にできればと思います。


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