宇都海郷 

忘れられない一方で忘れっぽい 宇都海郷の日記です

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短歌連作|躓きの石

    • ・ 今日の周辺 2024年『鬱の本』と『冬の本』春を待つ間に

      ○ 今日の周辺 年末年始に10日以上も休むのは学生ぶり。胃もたれを抱えながら、のんびり過ごすことができた。三ヶ日を過ぎてからは喫茶店にいて、祖父母にメールを送ったり、読みたかった本を読み進めた。 ○ 2024年 読みはじめ 点滅社『鬱の本』と 夏葉社『冬の本』 完成を楽しみにしていた点滅社『鬱の本』をようやく読む。 ページを捲るたび、「鬱」という個人的で閉鎖的な状態に対して一様でない異なる声が聞こえてくることがまず救いだと思った。自分の鬱にはいつも自分の声ばかりでうんざ

      • ・今日の周辺 2024年 その掌を頬を包むのに貸してください

        ○ 今日の周辺 お正月は家族で父方の実家に帰った、三家族が揃う久しぶりの元旦。 学生時代を楽しんでいる従兄弟たちが部活動や進学について盛り上がっているなか、祖父と話していた。私の仕事の話や、祖父が会社で仕事をしていた頃の話、退職してからのことなど、私も孫としてでなく少しは対等に話をできるようになってきただろうか、記憶がはっきりしているうちにこまめにいろいろ聞いておきたく、じっくり話を聞いて言葉を返す。 工芸品の図録を何冊か譲ってもらう約束をしていた、代わりに私は職場での仕事を

        • ・今日の周辺 2023年 積んだ本に寄りかかりながら

          ○ 今日の周辺 仕事の帰り、乗り換えで10分だけ乗った電車がボックス席を備えた車両で、窓際に座る。桟に頬杖をついて旅行の帰りだと錯覚してみる。この疲れもいい具合に思えてくる。普通に疲れた。 師走の、年末の、雰囲気が苦手。どこにいっても人は忙しなく気が休まるときがない。様々なコミュニケーションのやり取り、キャッチボールは何倍速かにしたみたいに落ち着きがなくてまごまごしている間に目の前に起こっていたことは過ぎ去っていて、ただもう用の無いボールを持ったままの自分が静止しているところ

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          ・今日の周辺 2023年 その術をそれぞれに持っている人がいる

          ○ 今日の周辺 昨晩から雨風が強い。 季節の変わり目、これが過ぎ去ったらまた一段寒くなるだろう、と予感する日。喫茶店の大きな窓から見える街路樹が風に煽られているのを見る。 晴れの日ならより広い面積で効率的に太陽光を受けるために目一杯広げている枝葉も、今は風に大きく煽られながら、いやその反面、風を躱しながらこんな状況であっても適応できるような構造を持っているのだとわかる。受けたり躱わしたり、構造の両面性。幹はどっしりと構え、その下には土に踏ん張る根が広がっている。そうして明日は

          ・今日の周辺 2023年 その術をそれぞれに持っている人がいる

          ・今日の周辺 2023年 すっきりとして、吸い込みやすい空気

          ○ 今日の周辺 友人がこつこつ更新してくれている共有プレイリストを仕事への行きの電車で聴く。 プレイリストの最後の2、3曲目に追加された曲が爽やかで、秋晴れの日差しが反射で車内にぼおっと入ってくるのとその印象が自分の中に重なって、素晴らしく感じられた。そうLINEで伝える。聴き馴染みのある最後の曲は1番好きな曲。 大地を横切る青虫を見守る季節だ。 自分の楽しみのための料理とか、部屋の掃除、細々としたこと、平日にできなかったことをまとめて済ませる。 会社モードというか、そのま

          ・今日の周辺 2023年 すっきりとして、吸い込みやすい空気

          ・今日の周辺 2023年 香りの中で気分を分けてもらう帰途

          ○ 今日の周辺 大きな雲が鮮明。夏が立ち止まっているかのように連日の猛暑、34度、夏休み後半、このままずっと夏休みでいいと願ったのが実現してしまったかのように同じような暑い日が続いてる。 この出社前の、最寄り駅の喫茶店での300円の1時間半は、家にも、仕事にも、やりたいことにも関係のない唯一の時間。心落ち着く。 できることも限られているし、持ってきた本を読むか、日記を書くか、くらいで。それがよくて、脈絡のない空想をするのに最適。 ○ あれこれ 『スキップとローファー』9巻、

          ・今日の周辺 2023年 香りの中で気分を分けてもらう帰途

          ・今日の周辺 2023年 ひとつひとつが大切な食器 人との言葉の取り交わしの重み

          ○ 今日の周辺 夏バテっぽくもあり、食事に対するモチベーションが下がっていた。 今朝はひとまず、きゅうりを1本千切りにして、その間に麺を茹でて、トマトとカニカマとキムチを乗せて簡単に10分ほどで冷麺を作って食べた。 そのくらいのことでもいいのだと思う。自分が生きていくのに欠かせない、食事や睡眠や労働や活動にできるだけ自分が主体的に動くこと、些細な意識の違いだけれど大切に思える。 7月に残業が続いたのもあって、盆休みに疲れがどっとでた。 まだ引っ越せないけど、景気づけに(?)

          ・今日の周辺 2023年 ひとつひとつが大切な食器 人との言葉の取り交わしの重み

          ・今日の周辺 2023年 ドアの外に蒸し暑い夏

          ○ 今日の周辺 ヘッドフォン新調する。 前に使っていたのと同じメーカー、同じ価格帯だけれど、2年でノイキャンの性能も音質も大分変わっていて、前のは毎日使って、イヤーパッドも1回変えたし、もうボロではあって、買い替えてよかった。 仕事、撮影の合間、ペアでやっていた人が「最近アジカン聴いてるんですわ」とか言い始めるから、「今!?」となり、「サーフ ブンガク カマクラ」の完全版がリリースされたこと教えてもらい、「BEST HIT AKG」が出たとき私は中学生で、収録順に全曲カラオケ

          ・今日の周辺 2023年 ドアの外に蒸し暑い夏

          ・今日の周辺 2023年 ずっと自分のことを待ってる

          ◯ 今日の周辺 4月に勘違いをして浜離宮庭園に行ってから(勘違いだったとはいえ楽しかった)、しばらくしてようやく六義園に足を運んだ。 おそらくいつも季節の方がやってきているのだけれど、歩いていたらふと夏に着いていた、みたいな感覚だ。 あ、夏の駅だ、夏の道だ、季節が移れば目に映るものもがらっと変わって新鮮に感じられる。まるで場所ごと違うみたいに、その印象から自分の中に浮かび上がる過去の記憶の時代も異なる。夏ならよく祖父母と過ごした就学前の頃、春なら学生時代、秋なら20代に入っ

          ・今日の周辺 2023年 ずっと自分のことを待ってる

          ・今日の周辺 2023年 とつとつと いくつもの夜と朝

          ○ 今日の周辺 朝、買い物に行って、祖母に荷物を送る。 朝ご飯を食べて、温かいお茶とスープを飲んで、薬を飲んで、座って、祖母が畑から大量に送ってきてくれたスナップエンドウの筋を取りながら、ニュースを見ていたら、ようやっと気持ちが落ち着いてくる、外気も室内外も、こう寒暖差が大きいと身体にこたえる。 図書館に隣接した公園にカワセミがいた! 東屋のある小さな池があって、その周囲を飛んだりとまったり、水浴びをしたりしていた。羽の青がきれいで、飛んだときにはお腹の黄色に気づいて、かわ

          ・今日の周辺 2023年 とつとつと いくつもの夜と朝

          ・今日の周辺 2023年 葉の間をするするといく

          ○ 今日の周辺 この間の休みはエバーフレッシュの鉢替え、バスに乗って30分ほどの園芸店。 一回り大きいテラコッタの鉢と受け皿、5Lの土、肥料、それと、ボトルツリーがかわいらしく見えて15cmほどの小さいのを買って帰ってきた。 オーストラリアに自生する高木の写真を見て驚いた、こんな可能性を持った木がうちに。一昨年買ったモンステラも新しい葉が出て、元気そうで何より。 帰りのバスに揺られながら、懐かしい景色の中を大人になることができて嬉しい、とふと。 毎日お弁当を詰めて持っていく

          ・今日の周辺 2023年 葉の間をするするといく

          ・今日の周辺 2023年 背中をとんと押されて抜け出たのです

          ○ 今日の周辺 朝、細々したことを済ませて、久しぶりに図書館にきました。 朝起きたときはどんより曇っていたけれど、外に出て自転車を走らせている間に晴れてきた。つい先月までは葉を落としたままでしんとしていた木々が、新しいしなやかな葉を枝に湛えて広げていて驚いた。唇に蜂がとまってびっくりした。初夏の雰囲気です。 白いハットを買った、好きな靴を色違いで新調した、 誕生日は家族と大きいケーキを分け合って食べた。 遠くに住む友人がLINEギフトでプレゼントを送ってくれて思いもよらない

          ・今日の周辺 2023年 背中をとんと押されて抜け出たのです

          ・今日の周辺 2023年 春は電車の音が部屋に耳によく届く

          ○ 今日の周辺 桜を見に行こうと楽しみにしていた週末は両日とも雨です。 今年は曇り空の白い背景に桜の花だ。朝の支度を済ませて、小石川植物園に行く。 雨ということもあって、園内は人もまばらでのんびり散策する。 桜の大木の枝が伸びるところまで伸びてから、地上に降りてきている、雲が降りてきたみたいに、目に映る。 鳥の鳴き声の中を歩く。地面の緑の草の上に散った花びらが濡れて透けているのがきれいだった。 乳製品が食べられなくなった。 チーズ、ヨーグルト、アイスクリーム、カフェオレやミ

          ・今日の周辺 2023年 春は電車の音が部屋に耳によく届く

          ・今日の周辺 2023年 また目まぐるしく動き出す

          ○ 今日の周辺 通勤の道のりががらっと変わって、臨海部、モノレールを使って職場に向かう。帰る頃には薄暗くなって、ビルや遠くの橋の明かりがぽつぽつと灯っているのを、素直にきれいだと眺めながら、ひとつ先の駅まで歩いてみる。空が大きく開けているだけで帰路の心持ちがこんなにも違う、埋立地という場所に身を預けられるほどの快さがあるかどうかはさておき、長袖1枚で心地よく歩ける静かな夕方。すーっとスムーズに走っていくモノレールに乗っている人たちは、それとなく外を見通すように先頭の方を向いて

          ・今日の周辺 2023年 また目まぐるしく動き出す

          ・今日の周辺 2023年3月季節のグラデーションの中

          ○ 今日の周辺 春が特別なのか、季節の変わり目がいつも何か新鮮さをもたらしてはっとするのか、よくわからないけれど、辺りに感覚を研ぎ澄まして歩く。 古い家の玄関の前、白梅の大木が大切に手入れされて満開を迎えてる。古い建物が密集する、整備されていない入り組んだ路地の家やビルの意匠や装飾がおもしろい。南側を向いた一面の窓が羨ましい。 告知なしの行き止まりや突如現れる小さな階段、緩やかなカーブを描く下り坂が楽しい、何メートルも続く塀に囲われた、門の前に小さな交番を持つ豪邸は最高裁判所

          ・今日の周辺 2023年3月季節のグラデーションの中