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5年後に退職する新卒サラリーマン【第六章】 (9) 

第一章 <激動の就活編> は、こちらから
第二章 <戸惑いの新入社員研修編> は、こちらから
第三章 <空前絶後の広島出向編> は、こちらから
第四章 <忍び寄る海外営業部配属編> は、こちらから
第五章 <禁断の海外出張編> は、こちらから


「再来週の開発会議2の資料なんだけどさ」

「はい」

「さっき送ったエクセル、営業課側の記入パートに全部黄色マーク付けといたから、そこだけ入れてくれればいいよ。
何か分からないことがあったら、何でも相談してね

「はい、ありがとうございます」


この人も、か……。

商品開発プロデューサーの島田さん。30代前半の技術系社員。


この商品企画の仕事においては、総指揮を執るプロジェクトリーダーのような役割。私は、営業課の商品担当として、営業目標設定や店頭プロモーション、価格戦略や競合比較などの視点で彼をサポートし、いわば二人三脚で仕事をすることになる。

のだが……。


「何でも相談してね」は、決して優しい言葉ではない。

むしろ、何も教えるつもりがないときに発される言葉だ。

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