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Retosoに参加してみた!

皆さまこんにちは! HekiHariです。タイトルどおり、エスペラントの大型オンラインイベントであるRetoso 2024に参加しました! 日本人参加者がこれまでほぼ皆無と聞いたので、日本語でちょっと詳しめのレポを残しておこうと思い、筆を執ります。


Retosoとは?

TEJO (Tutmonda Esperantista Junulara Organizo) が主催するオンラインイベントです。毎年開催されています。下記リンクは公式サイトです。
Bonvenon - Retoso 2024 (tejo.org)

数日間にわたって開かれており、どのタイムゾーンからも何かしらのプログラムに参加できるようスケジュールが組まれています。その中から自分のスケジュールに合っていて、なおかつ興味のあるものに参加してみました。

参加の動機と私のエスペラントのレベル

私が入っているオンラインの日本人エスペラント学習者コミュニティで、TEJOから日本人へのお知らせを共有してくださった方がいらっしゃいました。ちょうどその頃、「エスペラントでコンテンツ作りたいならエスペラント文化を体験しておかないとなあ」と思っていたので、勢いで参加申し込みをしました。ちなみに申し込んだのはイベント前日でした。

そして私がどれくらいエスペラントを使えるのかと言いますと、試験を受けたことがないので正確なところは分かりませんが、CEFRで言うところのA1+くらいかなと思っております。学習歴は約2年半、教材はほぼDuolingoのみで進めていて、分からないところは適宜ググっていました。最近になってようやく、日本で出版されている教科書を少しずつ進め始めた、という感じです。
スピーキングの経験は非常に少なく、月1で開催されているVRChatのエスペラント会(日本人多め)に参加してはいるものの、まだ3回しか参加していないので決して話すのに慣れてはいません。そして、こういったエスペラントによる大型イベントへの参加は今回が初です。

申し込み

さて、参加の前にまずは申し込みです。Googleフォームで必要事項を入力します。その中には名前を入力する欄があります。「ラテン語アルファベットで書いてね!」以外に特に何も書かれていなかったのですが、ここで疑問が。

「これって本名じゃないといけないのかしら。
それともハンドルネームでもOK?」

参加者リスト(※)が上記の公式サイトから確認できるので覗いてみると、ほとんどの方が本名のファーストネームかファミリーネーム、あるいはそれをエスペラント風に改めたもののようです。「オンラインのイベントだし、たぶんハンドルネームで大丈夫だよね」と思いつつ、海外は結構実名を使うのがメジャーだと聞いていたので、暗黙の了解的なものを知らずに破ることになったら嫌だなあと思い、念のため運営にメールで確認してみました。
AIに「エスペラントでメールを送る時のマナーと例文を教えて」と聞いて、それに従った様式で書いてみました。すると1時間ほどで返信が。ざっくり意訳すると、「楽しむための場だから形式にこだわらなくて大丈夫ですよ」とのことでしたので、「HekiHari」の名前で申し込みました。

また、実際プログラムに参加してみると、本名じゃなさそうな人も普通にいたので本名を公開したくない人も安心して参加できます。仮に申し込み時に本名を使ったとして、会場がGather.Town、Jitsi、Zoom、Google Meetと分かれているので、実際のプログラムではイニシャルだけで参加されている方もいらっしゃいました。

※: 申し込みの際に、参加者リストに名前を載せるか否かが選択できます。シャイのアンチキショーな私は「リストに名前を載せない」にチェックを入れました。


初日:Interkona Programo

まず「Interkona Programo」(アイスブレイキング)というプログラムに参加してみました。Gather.Townというサービスを使うようです。聞いたことがない。ググる。こちらのサービスについては本題からそれますので皆さまも適宜ググっていただければと思います。
さて、まったく知らないサービスを使うということだったので、「ちゃんと操作できるだろうか」という不安と、「そもそも私はエスペラントで知らない人とコミュニケーションがとれるのか!?」という二重の不安のもと、緊張で喉が締まる感覚を味わいながら、ええいままよと参加ボタンをクリック。

おお……人がいる……緊張する……。

20名ほどの方がいらっしゃったと記憶しています。
まず、進行役の方から参加者に「ここに一列になって」「みんなで四角形を作って」など指示をいただきました。おそらく操作とエスペラント理解度をはかるようなアクティビティだったのでしょう。これがGather.Townの操作練習にもなり、エスペラントに耳を慣らすのにも助かりました。
次に、参加者同士でペアを作って、進行の方が出すお題(質問)にお互い答えるというアクティビティをしました。質問は全部で7つあったため、7人の参加者と3分ずつお話しできました。進行の方はゆっくり・はっきり喋ってくださいましたが、それでも聞き取れなかったり理解できなかったりするフレーズがありました。「やばい分からんどうしよう……」思ったのですが、相手が理解していたら答えを聞いてなんとなく質問を理解できることもありましたし、こちらから質問の内容を確認する質問を投げかけて会話を成立させることもできました。お互い質問をうまく理解できなかった回は、聞き取れた一部の語から「私達はこういうことについて話しましょうか」とお題とは違う会話を楽しみました。皆さん色々な国から参加されていて、中国、チリ、フランス、ドイツ、ブラジルなど、普段話す機会のない国の人たちとお話しできました! 自分のエスペラントには自信がなかったのですが、私と同じくらいっぽい方がいらっしゃったり、逆に家族ぐるみでエスペランティストの方がいらっしゃったり、何だかんだ楽しめました。特に、エスペラントにあんまり自信がない者同士で話す時は、(少なくとも私は)なんとなく親近感を覚えて、少し落ち着いて話すことができました。流暢な方と話すとそれはそれで「分からなくても聞けば教えてくれそう」という安心感がありました。
元々予定されていたのはおそらくここまでで、7つの質問が終わった頃、ちょうど1時間くらいが経っていました。が、「公式にはこのプログラムは一旦閉じるけれど、もし続いて遊びたければあっちのスペースに来てね」という案内があったのでそちらに行ってみると、別のゲームが始まりました。4人くらいのグループに分かれて、1人は自分がしている活動を思い浮かべて、残りの3人はイエス・ノークエスチョンを10個してどんな活動か当てよう、というゲームでした。しかしこれが難しくて、10個のはずの質問は25個まで延長してもらい、しかも当てられず。次の人も次の次の人も似たような感じで進みましたが、こちらは正解者が出ました! 私はあんまり質問できませんでしたが(というのも、最初のほうのいくつかの質問で失敗を繰り返してしまって、ちょっと遠慮してしまいました)、他の人達の会話が全部ではないにしろ理解できている、という感覚を味わうことができましたし、少ないとはいえ私も質問を投げかけることができました。
その後1時間くらいでなんとなく自然解散のようにばらけて、私も寝るためにおいとましました。
たった2時間ですが、私にとってかなり濃いエスペラント時間が過ごせました!
(あと「Gather.Townたのし~! また使いたい!」という気持ちにもなりました)

2日目:Libera Babilejo

こちらはGoogle Meetで開催されていました。案内人が不在のお喋り場とのことだったので、A1+程度の私が入って大丈夫かしらと不安で、30分くらい入室前のページを開いたり閉じたりしていましたが、初日と同じくええいままよとクリック。昨日のイベントで進行役をしてくださった方がたまたまいらっしゃったのもあって、ちょっと大丈夫そうと思えたんですよね。
さて、入ってみると、先述の方と、エスぺランティスト歴の長い方と、勉強を始めて約1年の方がいらっしゃいました。途中他の方の出入りもありましたが、私が恐れていたこと(何について話しかけられたかまったく分からず気まずい空気になる等)はなく、初心者のカメさんスピードのスピーキングを優しく、辛抱強く聞いていただいて、会話を楽しむことができました。

3日目①:Ni Ludu Kune

このイベントは説明欄に「遊び場に色んなテーブルゲームがあるよ!」とあり、「私のエスペラント能力不足でゲームの進行を妨げてしまったら嫌だな……」とは思いつつ、予定が入っていてその後のプログラムにあまり参加できないことが分かっていたので、思い切って入ってみました。会場は初日の「Interkona Programo」と同じGather.Townで、初日の会場はどうやらこの遊び場と繋がっていたようです。人狼のためのスペースや、雑談のためのスペース、一緒に音楽を聴くスペース、テトリスのリンクに飛ぶツールなどありましたが、まあ人がいない。ヨーロッパのタイムゾーンだと深夜にあたる時間だからでしょうか。人がいないなら人がいなくても楽しめるものを……と思っていたら図書館のスペースがあるではありませんか。そこでは、無料で読めるエスペラントの電子書籍(たぶん翻訳ものが多め)のリンク集、雑誌やUEAのカタログへのリンクなどがありました。電子書籍はGoogle Driveで共有されていたのでとにかく開きまくってスターを付けまくりました。私のレベルでどれだけ読めるか分かりませんが、後で読むのが楽しみです。
うろちょろしていると、ついに人が入ってきました! なんとなくお互い「あっ、しゃべ……うーん、どうしよ……」みたいな挙動をした後、向こうからテキストチャットで「Saluton」と送られたのでしばしテキストで会話し、Discordに移ってテキストチャットで会話を続けました。お互い音声会話をする自信がなく、声で喋る練習にはなりませんでしたが、お友達ができたのでこれはこれでよし!(笑) 今度Discordのボイスチャットで一緒に喋ろうねという話にもなりましたし!

3日目②:Libera Babilejo | GLAT

2日目の「Libera Babilejo」と同様、Google Meetでの進行役なしの雑談プログラムです。私が参加した時には既に9名の方が参加しており、半分はリスナー、半分はアクティブなスピーカーという感じでした。その後出入りがあって最大12名が参加していました。主にお話しされていた方がみんな流暢で、かつ話題(GLAT=LGBT)的にも政治の話が絡んでいたので、正直あまり理解できず、私は聞き専でした。「私は今回、参加者というより視聴者だな」と感じ、リスニング耳が遠のいてますます話題についていけなくなってしまいました。英語の練習の時にも出る私の悪い癖なんですよね、この消極的姿勢……。しかしこれはこれで良い経験だったと思います。自分のこういう悪い癖に改めて気づくことができましたし、逆に初日のイベントがものすごく初心者に配慮されていたんだなというのを感じました。

3日目・4日目:その他

Libera Babilejo | GLAT」の後に開催されていた 「Komitata Forumo」 というプログラムに分からないなりに参加しようとしたらメンバーが運営スタッフ総出という感じで「やばっ、私の場所じゃないわ」と思い即退散しました(笑)。スケジュールにパスワードが明記されていたのでおそらく開かれた場所ではあったのでしょうけれど、居続ける勇気がありませんでした。

また、その後常時オープンになっているチャット(会場はJitsi)にも行ってみたのですが、参加者が誰もいなかったようです。なおかつ、事前に送られていたメールに「最初の人はログインしないといけない」と書いてあって、私はJitsiのアカウントを持っていなかったので、ここで断念。

4日目もプログラムはあったのですが、興味のあるものが私の睡眠時間と丸被りしていたので、この日は3日間の興奮と疲労を癒やすためにぐうたらして過ごしました。

全体の感想

まず一番に言及したいのは、初心者でも大丈夫だと思わせてくれる雰囲気です。流暢な方は私たち初級者の話を急かさず聞いてくれます。混沌とした文法で喋ったら「もう一回言ってくれる?」と優しく促してくれます。また、私含めご自身のエスペラントに自信のない方も思っていたより多かった印象です(特に初日の「Interkona Programo」でよく見かけました)。そのため、緊張こそすれど、疎外感や恐怖を感じることはありませんでした。
3日目の「Libera Babilejo | GLAT」のような、話題的にもちょっと難しい、かつ進行役がいない場だとうまく話に入ることができませんでしたが、むしろ初日のような初級者が楽しめるプログラムに参加できたことを評価したい気持ちです。それにもちろん、そういう流暢な方がたくさんいらっしゃるような場であっても、聞き専や初級者が邪険にされるというような場面は一切ありませんでした!

また、顔出しが強制されなかったのも非常に安心しました。こういうオンラインイベントにありがちな「できればカメラはオンでご参加ください!」みたいな呼びかけもありませんでした(少なくとも私が参加したプログラム内では)。

期間中ずっと入り浸っていたわけではありませんが、初日のように2時間くらいまとまった時間喋っていると、週末オンライン留学みたいな気分が味わえました(週末オンライン留学を経験したことがない人間が想像で申しております)。というのも、まず日本語話者っぽい人がいないので、母語での助けが得られません。オンラインなので分からない単語が出てきたら別窓で開いていた辞書サイトで調べることはできましたが、それでも私にとって「日本人が私以外いない」という感覚は結構大きかったです。また、Gather.Townのようなメタバース空間だと、より一層「その場に参加している感」が強くなるので、ますます留学感が味わえました。

加えて、世界中から参加できるので、様々なアクセントを聞くことができたのも面白かったです。私自身も緊張してガッチガチのカタカナ発音になっていたので、私のアクセントを聞いてピンときた方から「あなたは日本人?」と聞かれる一幕もありました(笑)。
しかし、私のエスペラントが聞き取ってもらえない・理解してもらえないということはほとんどありませんでした。時々本当にぐっちゃぐちゃに話してしまった時は流石に聞き返されましたが、きちんと言い直せば理解してもらえました。日本語の発音が元々エスペラントに似ているというのも大いに手伝ったのかなと思います。
私が言ったこと・質問したことに対して、ちゃんと返事がくる。母語以外でこの経験をするとすごく嬉しくなれます。

本当はもっと他のプログラムにも参加する予定だったのですが、予定が入ってしまってちょっと物足りない結果に……。まあ、プレゼン発表系のプログラムは例年どおりYouTubeに動画が上がっていたのでそれを楽しむこととしましょう!
※全てのプレゼン系プログラムが動画になっているわけではなさそうです

……と、ここまで褒めまくってきたので最後にひとつだけ、「ちょっとここ不安ポイントだったな」な点をお伝えしておこうと思います。この記事の最初のほうに出た「TEJOから日本人へのお知らせ」の中に「初心者向けプログラムもたくさんあります」とあったのですが、プログラム一覧からはどれが初心者向けなのか分からずかなり不安でした。たぶん「Interkona Programo」や、聞くのがメインのプレゼン発表系のプログラムのことを指していたのかなと思います。「若葉マークでも付けてもらえたらありがたいな!」とは感じました。

総評:楽しかった! 今後また他のエスペラントイベントに参加してみたい!

さて、ここまでお読みいただきありがとうございました。この記事が少しでもどなたかの役に立てば嬉しいです。そしてエスペラント仲間がひとりでも増えたらそれも嬉しいです!

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