親子編 79回目 八拾壱

「国籍選択の催告」


催促の書面や、官報の掲載といっても、

普段の生活の中で官報を毎回見ている人が

どれくらいいるでしょうか。

新聞のように見ている人は、

ほとんどいないと思います。

確かに重国籍状態になったことから、

自らの権利行使をして国籍を選択する。

というのが権利の本質なわけですが、

「国籍」という重大なものですから、

権利が喪失したとしても

なにかしらの救済措置が必要であることから、

この「国籍選択の催促」に関しても

特例を設けられています。

つまり、この国籍選択の不選択によって

国籍を喪失した場合でも

再度取得することができる制度があるわけです。

ただし、この救済措置が適応されるのは、

「官報掲載による催促」の場合だけです。

ここが要注意です。

個別に書面による催告を受けたうえで

不選択の末に国籍喪失

した場合には救済措置は使えません。

国籍選択の制度は重国籍の解消を目的とする

ものですから、

上記の日本国籍の再取得の結果、

重国籍となることはそう制度の趣旨

に反することになります。

そこで、重国籍防止条件(国5条1項5号)

が課されます。

法務大臣への国籍取得の届出時に、

無国籍であるか、又は届出による

日本国籍取得によってその外国製を失うことが

要件とされています。

(「改訂国籍実務解説」53項)

(小池信行 吉岡誠一 国籍の得喪と戸籍実務の手引き83項)

つまり、この国籍選択の不選択による国籍喪失

した場合は、

・官報掲載による国籍喪失者であること。

・届出時に「無国籍」

「届出によって今取得している国籍を失う事」

という条件があります。

日本国籍を取得して重国籍になったのでは、

制度の趣旨に反するので

当然の条件です。

そして、これらの条件を満たしたうえで

「日本国籍を失ったと事を知った時から1年以内の届け」


という条件があります。

この1年という期間は、

いつから数え始めるのでしょうか?

「失ったことを知ったとき」からとは

決められていますが、

そもそも官報に掲載されたことをしならないことから国籍を

喪失したわけです。

そのことを本人が知った(現実的に認識した)

時からのカウントとしています。

そのため、添付書類には、これらを証明する書面も要求されます。