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同人誌の印刷数の決め方

くわい屋です。
投稿前に結野ともえさんに軽く校閲してもらってます。

同人誌の販売予測は難しい

同人誌は、「この本が最終的にどれだけ売れるのか」を予測して一度に製造します。
タペストリーや抱き枕カバーは予約された数だけ製造することができますが、本の場合はそうはいきません。
最近は1冊ずつ本を印刷するサービスもありますが、安くないので、最初の製造時に一気に必要部数を印刷するのが最も効率がいいです。
再印刷はもちろんできますが、費用がかさむので、よほどの需要が見込めない限りはオススメしません。
私も常に悩んでます。
私は同人誌を十冊も印刷してきましたが、どの本も、どうしようかな、と考えています。
ちょうどよかったな、と思うことは少ないでしょうか。
少なかったな、と思うことは時々あります。
多すぎたわーと思うことは結構あります。
つまり、私の予測は外れることが多いです。

最も重視する事

なので、私が最も重視しているのは「私が後悔しない数」です。
「SNSのフォロワー数」とか「そのイラストレーターの販売実績」とかはあまり参考にしない方がいいです。後悔することになります。実体験です。
しかし、これだけだと何の参考にもならないのでもう少し書きたいと思います。

予約数
メロンブックスととらのあなでどれだけ予約が入るか、というのが最も信頼できる「売れる本と売れない本」の指標です。
なぜならこれらのサイトの販売傾向とイベント会場での販売傾向はほぼ同じだからです。
メロンととらで予約の入らないものは会場でも同じように売れません。
逆に、ここで予約数が多いなら、少し多めに製造した方がいいかもしれません。
FNAZAやDLsiteといった電子書籍配信サイトは、販売傾向が大きく変わります。これはあまり参考になりません。
もちろんここでランキングに入るようなものでしたら印刷しても相当な売り上げが見込めますが、そのような人はこのような記事を見ないと思います。

ジャンル人気
二次創作だったら旬ジャンルかそうでないか、ソシャゲーかアニメか漫画かでだいぶ話が変わってきます。
今のソシャゲー旬ジャンルはブルアカですが、これは去年くらいから旬になっており、この旬が今後も続くかというと疑問ですので、今からブルアカの新刊をやる人は気を付けた方がいいと思います。
旬が過ぎるとソシャゲーはマジでキツいです。艦これとか東方とかもちろん根強いものもありますが。
覇権アニメは最近、覇権期間が短いのであまりたくさん印刷しない方がいいでしょう。
漫画やラノベは原作が長いとダラダラ売れるかもしれません。無茶のない範囲で印刷した方がいいと思います。

この点、オリジナルは原作人気に依存しない点が非常な強みです。
ある程度は長く売れることが期待できるので、少し多く印刷しても大丈夫な場合が多いです。

販売期間
メロブックスととらのあなは委託販売期間が決まっています。
実際、よく売れるのは最初の数か月だけで、あとは月に数冊が売れれば多い方、という感じなります。
なので、最初の数か月で製造数の8割が売れるのが望ましいです。
これを考えると、やはりあまりたくさん印刷するのは気を付けましょう。

割引販売はしない
FANZAやDLsiteなら上手く割引販売を活用すれば最終的な利益を増やせると思います。しかし、本は安くしてもそんなに売れません。
同人に限らず、娯楽関連商品の欠点はこれです。食べ物や服と違って、生活必需品でないので、興味のない人は1円でも買いません。
なので、最終的に在庫をどうするか悩むなら、少なめに製造して短期間で売り切って「完売御礼!」にする方が良いと思います。
エロ本なら差分に新規絵を何枚か追加して「リメイク本」とすることもできます。

「部数アンケート」より再販希望数
女性向けだとTwitterでやってるのをよく見るのですが、あまりあてにならないです。適当に押してる可能性が高いからです。
しかし、メロンブックスやとらのあなの入荷待ちアラートや再販希望数が多い場合は再販してもいいかもしれません。
少ない場合は期待しない方がいいです。

「多め」?「少なめ」?

これは同人誌に限らず、日本の小売業では販売機会損失を防ぐ目的で「少し余るくらいがちょうどいい」と言われています。
これは確かに一理あります。
以前は私もそうしていました。
しかし、最近は違います。
「余剰在庫」の管理がまず大変なのと、「余ってしまった」という事実による精神的ダメージです。
これは人によるかと思いますが、私はこれがなかなかしんどいと感じます。
特にイベントでは商品が沢山余ると持って帰るのも大変です。それなら少し少ないくらいにしておいて、「搬入分は完売しました!」と喜ぶのが良いのではないでしょうか。
(これはもしかしたら女性に多い考え方かもしれません。女性の同人界隈は少なく印刷して再販するのが一般的のようです。赤ぶーイベント開催時にはわりと早い時間に完売投稿が多いです。そもそもの搬入数が少ないのです。)

また、もしかしたらこれも私だけかもしれませんが、余る時はかなり多く余ってしまうのです。これなら最初から部数を減らして製造費用を抑えた方がどう考えてもよかった、というレベルなのです。
最近は「オンデマンド印刷」という少部数印刷も価格が下がって使いやすくなり、印刷の質も向上しています。
無理せず最初はオンデマンドで少しだけ印刷した方がいいと思います。

部数どのくらいからオフセット?

これは私が「グラフィック」という印刷会社を使っているからなのですが、この印刷会社の場合は300部以上でオフセット、それ以下はオンデマンドの方がいいと思います。
グラフィックは成人向け表現をどんどん規制しており、商業並みの修正が必要です。
しかし、安いのでうちはここ一択です。
どうしても修正したくない場合は栄光など他所を使いましょう。ただし、印刷費用はかなり上がり、損益分岐点は大幅に上昇します。利益どころかほとんどの人は赤字で終わるでしょう。多分。

「上質紙」は個人的には勧めません。安っぽさがハンパないので。
まぁこれも好みだとは思いますが。

具体的に「どれだけ予約が入れば部数どのくらいか」はイラストレーターの収入に直結する情報なので、とりあえず無料公開はできません。
あしからず。

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