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初公開の仏教美術

 仏教の宗派の一つである真如苑が所蔵する仏教美術を一般に公開するための文化施設として2018年に開館した半蔵門ミュージアムがある。
 その半蔵門ミュージアム(東京都千代田区一番町25)の代表的所蔵作品には、運慶作と推定される重要文化財の大日如来坐像(鎌倉時代初期)があって、他にも両界曼荼羅、不動明王坐像なども展示している。

重要文化財 大日如来坐像(鎌倉時代初期)


 この度、京都の醍醐寺から寄贈されて、修復を終えた如意輪観音菩薩像と二童子像を初公開することになった。
 「初公開の仏教美術-如意輪観音菩薩像・二童子像をむかえてー」が2023年11月22日(水)から2024年4月14日(日)まで開催される。特集展示では初公開の経典、彫刻・絵画も配している。
 如意輪観音菩薩坐像は平安時代、10世紀の作とされる。醍醐寺の開祖聖宝(832-909)が、上醍醐に結んだ草庵に安置したと伝えられ、如意輪観音は醍醐寺にとってきわめて重要な尊格である。

如意輪観音菩薩坐像 平安時代 10世紀


 「如意輪菩薩瑜伽法要」に説かれ現図曼荼羅中にも描かれる六臂像だが、右足を左腿の上にして、左足を踏み下げて坐る姿はきわめて珍しい。
 不動明王像に随侍する二童子像。明治時代には、半蔵門ミュージアムが所蔵する不動明王坐像とともに醍醐寺三宝院にあったそうだが、その後、三尊そろって昭和5(1930)年創建の旧伝法学院に移された。
 誇張の少ない穏やかな肉取りや静かな動きの把握などに、平安時代後期、11世紀ないし12世紀初めの典雅かつ繊細な美意識が伺える。当時の都で活躍した一流仏師の手になるものとみられる。

二童子立像(制吒迦童子・矜羯羅童子)平安時代 11-12世紀 
阿弥陀三尊像 山崎弁栄筆 大正2(1913)年頃 
如来像 中国・北斉時代 6世紀


 開館時間は午前10時から午後5時半(入館は午後5時まで)。休館日は毎週月曜日・火曜日、年末年始(12月29日~1月4日)。入場料は無料。問い合わせは03-3263-1752。公式サイトは https://www.hanzomonmuseum.jp

半蔵門ミュージアム外観



 

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