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5・15原子力規制委会見

 2024年5月15日(水)に行われた原子力規制委員会の山中伸介委員長の定例会見では同日の委員会会合で報告された令和5年度第4四半期(2024年1月1日~3月末)の原子力規制検査等の結果に質問が集中した。
 また同日に広島高裁松江支部が中国電力・島根原発2号機の運転差し止めを認めない判断を下したことについて、山中委員長は「民間の裁判の判決なのでコメントはしない」と述べた。
 住民は同原発は地震や火山の噴火などの自然災害のリスクを適切に考慮していないとして運転差し止めを求めていた。それに対し裁判長は「異常な水準で放射性物質が原発敷地外に放出される重大事故の具体的危険性があるとはいえない」と述べ、避難計画の不備についての訴えも退けた。

 同日の委員会に報告があった検査結果に関しては、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)7号機において現場を歩いて検査したところ、重大事故等対処設備に至るアクセスルート上で工事が行われており、工事に伴う仮設構造物の一つが周辺のアクセスルートに影響を及ぼす可能性があるとされた。
 山中委員長は「今回、柏崎刈羽原子力発電所で見つかったアクセスルートの不備は12月に検査官が発見したもので、現在改善がなされており、安全上特に問題があるとは私自身考えていません」という。

 令和5年度第4四半期の検査等の結果は他には:
●日本原子力発電・敦賀原発2号機の「不適切な作業による原子炉補機冷却海水系の停止」
●関西電力・高浜原発3,4号機の「不十分な是正措置による非常用ディーゼル発電機室等における火災感知器の不適切な設置」
●高浜原発1号機の「不適切な保全によるBー給水ブースタポンプ入口配管ベント管からの蒸気漏れ」
●九州電力・川内原発2号機の「非常用エアロック漏えい率試験復旧手順謝りによる格納容器閉じ込め機能の一時的な喪失のおそれ」などがあった。

 今回報告があった13件のうち半数近くが関電関係だったことについて質問があり、山中委員長は「やはり高浜原子力の事象を含めると関西電力のトラブルが多いという印象を持っていますが、高浜については追加検査を行うということですし、しっかり日常検査のなかで安全性確保についてしっかりしていってほしいと委員会の中でも指示したところです」と述べた。
 東電福島第一原発での汚染水漏れに関して、山中委員長は「昨年10月以来トラブルが続いているので、監視評価検討委員会のなかで指摘されているように、東京電力には根本的な原因に関してきちんと分析して、全体を通じて点検してほしいと思っています」。
 

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