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神宮外苑開発阻止は防波堤

 日本中で都市開発計画が進められようとしている今、「明治神宮外苑の再開発計画を阻止することはそれらが進行することへの防波堤になるのです」ーこう語ったのは日本イコモス国内委員会の石川幹子理事である。
 石川理事、明治神宮外苑再開発計画の見直しを求めている超党派の国会議員連盟の船田元衆議院議員らが東京の日本外国特派員協会(FCCJ)で2023年9月21日(木)に記者会見を開いた。
 芝公園、上野公園など日本の都市公園は明治6年に作られたものが多いという。石川理事は「このままでは額に汗をして働くのでなく、法律を変えるだけで、開発が出来るようになってしまう。ここで神宮外苑を守らなければ大半はこなごなになってしまうという危機感を持っています」と語った。
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関で国際記念物遺跡会議(イコモス)は9月7日、「文化遺産の不可逆的な破壊だ」として、再開発について文化財の保護に関する緊急要請を出して、即時中止を求めた。

外苑を守るためクラウドファンディングも
 問題の根っこには明治神宮の財政問題があって、内苑を守るために外苑を再開発しようとしているとの指摘に対して、船田議員はクラウドファンディングを利用することも一つの手段ではないかと述べた。
 「公金を宗教法人に拠出することは憲法89条が禁じており、出来ません。例えば、国立科学博物館で利用されたようにクラウドファンディングをやってみて、私たちも協力するというのは一つの道だと思っています」。
 さらに船田議員はいわゆる古都法や都市緑地保護法が適用できないかということを文部科学省や環境省に働きかける必要があるとした。ただ、緑の価値を守るための名所に指定するには所有者の了解が必要であって、神宮外苑の場合には難しい状況にあると船田議員は説明した。
 開発主体の一つである日本スポーツ振興協会(JSC)は文科省の外郭団体だが、「過剰な開発」を止めるようにJSCに働きかけるために文科省への働きかけをすることも考えられると船田議員は付け加えた。
 秩父宮ラグビー場と神宮球場を入れ替えて新たに建てられるといった計画はまさに「過剰な開発」で、そのために必要以上の樹木の伐採が行われることになる、と船田議員は話した。
 超党派の国会議員連盟は26名からなる。うち自由民主党議員は7名、民主党系が13名、維新の党が2名、日本共産党が2名、社民党が1名、無所属が1名。再開発は慎重に進めるべきとの決議を採択、文科大臣、環境大臣、東京都知事、新宿・港区長にそれを提出している。

神宮外苑は「危機的状況」
 イコモスは今回の神宮外苑再開発計画について、神宮外苑は「危機的な状況」にあるとしてアラートを鳴らしている。この13年で24件のアラートが発せられてきたが、24番目が神宮外苑へのもので「公園空間でアラートが対象になったのは初めてのこと」だという。
 イコモスとは世界中のあらゆる文化的資産の保存のための組織。会員は世界中に1万人あまり。日本には約500人の個人会員がおり、日本イコモスがある。世界遺産には危機遺産を指定してアラートを出すことがあり、そこを外れたものについてもイコモスの専権事項となるという。
 明治神宮外苑は1926年、日本全国の人々からの寄付や勤労奉仕といういわゆるボランティアで創建された。明治天皇ご夫妻への敬意を表すためだった。イチョウ並木など豊かな緑は都会のオアシスとなっている。
 それが今回の再開発計画では200メートル級の高層ビルが建てられ、多くの樹木が伐採されることになっており、反対運動が起こっている。明治神宮、JSC、三井不動産、伊藤忠商事、東京都が進めている再開発計画。

 

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