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キース・へリング展

 ニューヨークの地下鉄駅構内にポップなアートを描いたアーティストとして知られるキース・へリング(1958-1990)。へリングは「アートはみんなのために」という信念のもと、日常にアートを拡散させることで、混沌とする社会への強いメッセージを発信した。
 人類の未来と希望を子どもたちに託したのである。
 へリングがエイズによってこの世を去るまでの31年の生涯のうち、創作活動に費やしたのは10年程度。だが、残された作品に込められたメッセージはいまなお響き続けている。
 「キース・へリング展 アートをストリートへ」が2023年12月9日(土)から2024年2月25日(日)まで森アーツセンターギャラリー(東京都港区六本木6-10-1 六本木森タワー52階)にて開催される。
 アイコニックなモチーフから、8メートルの大作まで、へリングの世界観を体現する150点が勢ぞろいする貴重な機会だ。
 初期のサブウェイ・ドローイング、トレードマークとなったモチーフによる作品《イコンズ》や彫刻、ポスター、晩年の大型作品まで、へリングのアートを東京で一度に体験できる。
 HIV・エイズに対する偏見や支援不足に対して最後までアートで闘い続けたへリング。彼が命を紡ぐようにして生み出したアートは時空を超えて現代社会に生きる我々の心を揺さぶることだろう。

《イコンズ》1990年 中村キース・へリング美術館蔵 Keith Haring Artwork ⓒKeith Haring Foundarion

 発光する作品、闇に浮かび上がる展示、80年代ニューヨークさながらの喧騒・・・へリングが駆け抜けた10年のストーリーとともに、展示空間は劇的に展開する。一部作品をのぞき、展示室は写真撮影OKとなる。

《スウィート・サタデー・ナイト》のための舞台セット 1995年 中村キース・へリング美術館蔵 Keith Haring Artwork ⓒKeith Haring Foundation

 へリングは日本に対して特別な想いを抱いていたという。数度にわたる来日が縁で生まれた作品や資料を、当時の写真とともに展示する。
 へリングはアメリカ北東部ペンシルベニア州に生まれた。1980年代初頭にニューヨークの地下鉄駅構内で、使用されていない広告板を使ったサブウェイ・ドローイングと呼ばれるプロジェクトで脚光を浴びる。
 アンディ・ウォーホルやジャン=ミシェル・バスキアと共にカルチャーシーンを牽引し、国際的に高い評価を受けた。
 日本を含む世界中での壁画制作やワークショップの開催、HIV・エイズ予防啓発運動や児童福祉活動を積極的に展開したことでも知られる。
 90年にエイズによる合併症により31歳で亡くなった。
 開館時間は午前10時から午後7時。ただし、金曜日・土曜日は午後8時まで。年末年始(12月31日ー1月3日)は午前11時から午後6時。入場は閉館の30分前まで。会期中無休。
 観覧料は一般、大学生、専門学校生2200円、中高生1700円、小学生700円。未就学児無料。事前予約制(日時指定券)。
 問い合わせは050-5541-8600(ハローダイヤル)。展覧会公式サイトは https://kh2023-25.exhibit.jp
 本展は神戸会場(2024年4-6月)、福岡会場(2024年7-9月)、名古屋会場(2024年9-11月)、静岡会場(2024年11月-2025年1月)、水戸会場(2025年2-4月)に巡回する予定。

 


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