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映画「沖縄狂騒曲」

 日本軍は第二次大戦時、沖縄を本土決戦に備えて時間稼ぎをするための捨て石とした。それと同じ構図が今も見えてくる。
 今度は日本軍と沖縄ではなく、米国と日本においてである。
 米世界戦略の「捨て石」としての日本の「最先端」ーーまた沖縄だ。
 それをよく分からせてくれるのが映画「沖縄狂騒曲」(企画・構成・監督:太田隆文、制作総指揮:鯛中淳、撮影・編集:三本木久城)である。

 沖縄で起こる数々の問題。辺野古基地―問題。国際大学ヘリコプター墜落事故。オスプレイ騒音、墜落問題。古くはコザ蜂起(暴動)、由美子ちゃん事件等。多くの日本人、それら県民の苦悩を知る機会は少ない。

 
オスプレイ輸送機
1970年12月20日「コザ蜂起」


 そんな沖縄問題を取材、有識者による徹底解説。元大手新聞論説委員、沖縄の著名な大学教諭、元市長、元県庁の幹部らが、大手マスコミが伝えない現実を徹底して解説している。
 さらに沖縄県知事だった大田昌秀の挑戦。元内閣総理大臣鳩山由紀夫が「最低でも県外」と発言した真意を激白。れいわ新選組山本太郎の驚きの国会質問も紹介している。

鳩山由紀夫元総理(右)


 テンポよく重要な証言が続いていく。その中にはほとんど知られていない、しかし極めて大切な内容が含まれている。
 横田ラプコン、嘉手納ラプコン、岩国ラプコンといったアメリカが基地周辺では制空権を持っているという事実、そしてそれによって、例えば、羽田空港への離着陸ルートが大きく影響されているということ。
 米軍が望めば日本のどこにでも基地を置けるという日米地位協定の秘密協定第2条の取り決めがいまだに生きているということ。
 軍事施設建設が進められて儲かるゼネコン。そこを通じて懐におカネが入って来る与党政治家たちの実名。
 なぜ沖縄の問題がここまでになってしまったのか。
 ある証言者は「国民の無知と無関心。政治家の無責任。官僚の無能力」とシンプルだがはっきりと言い切った。


 太田隆文監督は1961年、和歌山県に生まれた。
 ロサンゼルスの南カリフォルニア大学に留学。帰国後、テレビドラマ、ビデオ映画を演出。2003年、大林信彦監督の映画「理由」でメイキングを担当し、以降、大林監督を師事。2006年、故郷和歌山を舞台とする映画「ストロベリーフィールズ」を脚本・監督。
 その後、地方を舞台とした青春映画を発表。「青い青い空」(2010)、「向日葵の丘 1983年夏」(2015)、「明日にかける橋 1989年の想い出」(2019)の脚本、監督を担当。
 2013年、原発事故を題材とした「朝日のあたる家」には山本太郎が出演して大ヒット。以降、社会派ドキュメンタリー「ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶」(2020)、「乙女たちの沖縄戦 白梅学徒の記憶」(2022)を発表した。
 ほとんどの監督作品は海外の映画祭で上映され、高い評価を得ている。

 



 上映予定ーー2024年2月3日(土)より東京のケイズシネマとMOVIX昭島、埼玉のMOVIX三郷、宮城のMOVIX仙台、静岡の藤枝シネブレーゴ:
 2月9日(金)から栃木の宇都宮ヒカリ座、福岡の中州大洋映画劇場:
 2月16日(金)から長野の千石劇場、大阪のMOVIX堺、兵庫のkino cinema神戸国際、香川のソレイユ:
 2月17日(土)から沖縄の桜坂劇場:
 2月23日(金)から横浜シネマリン、栃木の宇都宮ヒカリ座、京都のアップリンク京都:
 3月1日(金)から神奈川のあつぎのえいがかんKIKI。


 

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