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人生は綺麗なだけではない。だからインタビューはすばらしい(と思う)

インタビューはすばらしい。

ときどき、そう思う瞬間がある。厳密には、いつも常にずっと、思っている。ただ、言葉になって意識に浮上してくるのは、インタビューを終えて少しだけほっとしたその瞬間が多い。そういうときは、この言葉を声に出して読んだときの口のなかの響きすらいい。インタビューはすばらしい。小さく口ずさんでみる。だから、僕はインタビューをもっとカジュアルなものにしたい、いろんな人に体験してもらえるようにしたい、そういう土壌を育んでいきたい、と初心を思い出させてくれる。

インタビューには、その人の人生の物語がある。そして、その物語はきれいな一本道ではない。ここがけっこう大事だ。矛盾もあれば、ずるさもダメなとこもあれば、葛藤もあるし、すべてを自らの意思で切り拓いたとは言えないよくわからん偶然が本人も分からないくらい絡み合っていたりする。むしろそういう話ばかりだろう。いろんなものが混ぜ合わされてスープみたくなっている(こないだ教えてもらったブリコラージュっていう言葉はこういうときにぴったりかもしれない)。

でもぐちゃぐちゃなスープは、僕を楽にしてくれる。心を洗ってくれるようでもある。大げさにいえば、救われる思いもある。「綺麗」に生きようとしなくていいし、「綺麗」な人間でいなくてもいい、って言ってくれている。そうやって、インタビューを通じて触れる、すべての人の人生は、僕に「大丈夫」といってくれる。残念ながら力不足もあり、さすがに毎回とは言えないが、そんなことを思えるインタビューがときにはある。それはほんとうだ(今日もその日だった)。

だから僕もインタビューを通じて、ちょこっとでも、なにかを返したいと思う。それはなんだろうなぁ、誰になんだろうなぁ、まだ探し中な感じがする。

24/5/15



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