空席だらけの列車に乗り続けている。誰かの隣に座ったり、私の隣に誰かが座ったりしてきたけれど、結局ひとりのまま、環状線を走っている。車窓はいつだって、誰かの愛の花を見せてくる。私がもう手にすることのない花。羨望と嫉妬を上手く隠して、手の届かない小さな電子の光と、覚えたての筆に色を。

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眠れない夜に

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