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朗読

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朗読ありの記事をまとめています。
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記事一覧

朗読LIVE 148 古パン(後半)

朗読LIVE 148 古パン(後半)

前回に引き続き、翻訳モノは気ぃ使うわ、の話。

読む上では関係ないけれど、同じ言葉でも、彼の国とこちらでは想像する物が違うものをどうするか。例えば、重要な登場小物、パンと訳されているけれど、私たちが訳語として習うbread ではなく、原文では、loavesで、これは、ミートローフなんかのローフ、つまり型に入れて焼いたものってことで、どっちかというと食パン的イメージなんだろうと思う。でも食パンとやっ

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朗読LIVE 147 古パン(前半)

朗読LIVE 147 古パン(前半)

翻訳されたテキストって、朗読しにくいなぁ、と思うことが多い。もちろん、翻訳されている方々を心の底から尊敬しているし、そこを問題にするつもりはない。
物事の説明の仕方だったり、話の進め方だったり、というような、ただ文字を置き換えただけでは不十分なところが出てくる。原文の調子は大事にしたいから離れ切るわけにもいかない。しかし日本語だと語順も違うから、どうしてもギクシャク感が残るんだろう。そうすると、日

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朗読LIVE 146 斑鳩物語(6)

いよいよ、最終回!
機織りの音、蛙の合唱の中にお道さんの声が響く。ウキウキとした唄声の中にあるお道さんの心は…。

風景の描写、高所恐怖症的高さの描写、音の描写、もちろん、お道さんという女性の描写、どれもがとても繊細で、たった1日半ほどのことを、細やかに書かれているなぁと感心する。出張で泊まった宿におったお姉ちゃんが元気良くて可愛くて、でも男おって残念やわ、寂しいわぁ。だけで済まないところが凄いん

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朗読LIVE 145 斑鳩物語(5)

朗読LIVE 145 斑鳩物語(5)

下に入りました。

この下では、音の描写が丁寧で、田舎の宿に泊まった時のことが思い出される。あのびっくりするようなグワッ(という文字で表される音では決してない)の主は、いったいどんな顔だ鳴いているのだろう。私にはてんで想像できないが、家族は生き物博士たちなので、あれやこれやと想像して楽しそうだ。果ては外来種がどうとかいう話では盛り上がっている。
一人蚊帳の外で、ささやかな音、虫の声や水の音に耳をす

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朗読LIVE 144 斑鳩物語(4)

朗読LIVE 144 斑鳩物語(4)

菜の花の中の二人の姿の描写が美しい。二人で何を話して泣いたり笑ったりしていたのか。
切ない…。はよ、はっきりせぇよ! 了然!

斑鳩物語(4) 高浜虚子
朗読は、1分過ぎからです。

↓アーカイブもあります↓

(最初にミスしてしまって、あわわわっとなってしまった…。取り直したい…。せっかくの良いシーンなのにー!)

朗読LIVE 143 斑鳩物語(3)

朗読LIVE 143 斑鳩物語(3)

中、に入りました。上中下という区切りは近頃あまりお見かけしませんので、中だけ言うと、なんのこっちゃという感じもいたしますが。

法隆寺の修理にずっと携わっておられた宮大工さんのお話がとても印象深くて、奈良のお寺の話になると頭に浮かぶ。あの時代の柱は、礎石に合わせて削ってあるそうで、接着するためのものは何もないらしい。どうやって削ったのだろう。あらかた削って、立てて、微調整を繰り返すのかな。
しかも

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朗読LIVE 142 斑鳩物語(2)

朗読LIVE 142 斑鳩物語(2)

上の後半。
サービス精神旺盛なお道さん、あっちのお山、こっちはあれでと楽しそう。
今カラスの飛んでいる下、という場所指定がのどかだ。

斑鳩物語(2) 高浜虚子朗読は、1分過ぎからです。

https://stand.fm/episodes/66245fac5bdc6f690979c219

https://www.aozora.gr.jp/cards/001310/card49627.html

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朗読LIVE 141 斑鳩物語(1)

朗読LIVE 141 斑鳩物語(1)

出張先で泊まった旅館の中居さんが元気いっぱいのええ子でさー、っていうお話。
4、5回に分けてお届けします。

斑鳩物語(1) 高浜虚子朗読は、1分25秒あたりからです。

↓アーカイブもあります↓

朗読LIVE 140 余と万年筆(後半)

朗読LIVE 140 余と万年筆(後半)

オノト、というブランド名が出てくる。
これはすでに製造されなくなった、イギリスのデ・ラ・ルー社が発売していた万年筆だそうである。中古品でも結構良いお値段が付いていてびっくりした。人気にあやかって、漱石モデル(丸善オリジナル・ストリームライン・オノトモデル)なんていうものまで販売されているらしい。
こういう、越えられない名品というのは何なんだろう。職人技だから? 一度使ってみたいような、でも、それし

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朗読LIVE 139 余と万年筆(前半)

朗読LIVE 139 余と万年筆(前半)

17世紀からインキを蓄えられるペンはいくつかの方式が発売されていたらしい。1884年にWater manが実用的な万年筆の仕組みを考案し、これが日本に入ったのが1895年、明治末期に普及した。1909年ごろには軸もペン先も国産されるようになる。昭和に入ると国内メーカーの商品が輸出され、1940年には世界の生産量の半分を占めるまでに成長した。その後他の筆記具に押されて減少している。
以上、ちょいちょ

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朗読LIVE 138 温情の裕かな夏目さん(後半)

朗読LIVE 138 温情の裕かな夏目さん(後半)

夏目さんは、色に敏感らしい。
ブリュブラクって何のことかと戸惑ったけれど、多分ブルーブラックのことだろう。これだと帳面を付けているような気分になるとか。それくらい日常的に万年筆を使っていたということなのか。
違う色のインキは、日常と離れるための道具なのかもしれない。

温情の裕かな夏目さん(後半) 内田魯庵朗読は、40秒あたりからです。

https://stand.fm/channels/607

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朗読LIVE 137 温情の裕かな夏目さん(前半)

朗読LIVE 137 温情の裕かな夏目さん(前半)

人の話を聞けるというのは、大変に素晴らしい力だと思う。ただうんうんと聞くのでなく、自分も話す。上品なユーモアを交える、これまた上級である。しかもわざとらしくなく。いったい、どんな会話がなされていたのだろうか。
漱石は気難しいというような談もあるわけだから、この筆者は、話を引っ張り出すのも、お願いするのも上手な人物であったのだろう。
私自身は大概は話し過ぎてしまうという自覚があるので、つくづく、難し

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朗読LIVE 136 花のき村と盗まれ人たち

朗読LIVE 136 花のき村と盗まれ人たち

久々のへいたさんのパスティーシュです!
※お待たせしました! へいたさんの記事公開されましたので、下のリンクから訪ねてくださいね。

今回は、新美南吉の花のき村と盗人たちを題材に、村役人側に視点を変えて書かれています。

良いところばかりでない、というか、そこをちょっと自嘲する感じがいいなぁと思うのですよ、まぁ、そういう自分も嫌いでない感じ。
善人か悪人かって、そういうところじゃないかと思ったりも

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朗読LIVE 135 文房具漫談(後半)

朗読LIVE 135 文房具漫談(後半)

朗読は、1分ごろからです。

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文房具へのこだわり、前半は特に毛筆愛であったが、後半は、原稿用紙。日本紙、西洋紙を使い分けているというだけでなく、自分で罫を刷っていたという。いつでも、どこでも手に入れられる色に落ち着いて安心。旅先でも困らないように版木を旅の荷物に入れていたとか。
今は、ノートパソコン一つで、いつでもどこでも、だろうか。スマホ一つでも用が足りてしまう。
考え考え、書いて

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