#トランプ に勝てる男 #マイケルブルームバーグ とは!? #文藝春秋 #大西康之

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2020/02/04 07:00
ジャーナリストの大西康之さんが、世界で活躍する“破格の経営者たち”を描く人物評伝シリーズ。今月紹介するのは、マイケル・ブルームバーグ(Michael Rubens Bloomberg、前ニューヨーク市長、ブルームバーグ創業者)です。

マイケル・ブルームバーグ
500億ドルでトランプに挑む「金融情報」の先駆者
「トランプに勝てるのはこの男しかいない」

 いま、米国でこう評されているのは、昨年11月に米大統領選挙の民主党候補者指名争いに出馬することを表明した前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグだ。

 元は共和党の支持者だったが、トランプが「米国とその価値観を脅かしている」こと、民主党の候補者選びが混沌としていることに痺れを切らせ、自ら立候補した。

 ブルームバーグはこう警告する。

「トランプを打ち負かし、米国を立て直すために出馬する。トランプ大統領による無鉄砲で倫理観を欠いた行動がさらに4年続くことに、米国は耐えられない。再選された場合、米国が受けるダメージは二度と修復できなくなるだろう」

 ポーランドから米国に渡ったアシュケナジム系ユダヤ人移民の両親の元、1942年にマサチューセッツ州ボストンで生まれた。1964年に、ジョンズ・ホプキンス大学電気工学科を卒業し、ハーバード・ビジネス・スクールで経営学修士(MBA)を取得した。

 卒業後は、証券会社大手のソロモン・ブラザーズで敏腕トレーダーとして鳴らし、システム部のトップに就任した。さらに、金融マンとしての成功の証である共同経営者(パートナー)にも上り詰めた。

 だが会社が商品取引会社フィブロに買収されると、パートナー制が廃止され、「クビになった」。

 とはいえ、30代でソロモン・ブラザーズの重役になった逸材である。再就職の道がなかったわけではないが、大企業の権力争いに嫌気がさしていた。

「大企業では肩越しから君の考えは間違っているという人間がたくさんいる。小さな会社ではそれがない」

 1981年、ソロモン・ブラザーズから受け取った1,000万ドル(約10億円)の退職金を元手に金融情報会社「ブルームバーグ」を設立した。金融の世界で生きてきたブルームバーグには1つの確信があった。

「顧客に必要な金融情報を時間や場所を問わず提供すれば、成功できる」

 金融情報の配信サービスにはロイター、テレレートといった先行組がいたが、トレーダーの経験があり、自らが情報サービスのユーザーだったブルームバーグは、「使いやすい情報」の提供で大手を猛追する。

ブルームバーグ前NY市長「自信ある」 米大統領選(20/02/16)

テレ東NEWS  2020/02/07
集計トラブルで3日経ってようやく最終結果が発表されたアメリカ大統領選に向けた民主党の候補者指名争いの初戦、アイオワ州の党員集会。
再集計の可能性は残るものの、38歳で最年少のブティジェッジ前サウスベンド市長が、サンダース上院議員を僅差でかわし、トップに。
女性初の大統領を目指すウォーレン上院議員とバイデン前副大統領が続いた。
全米の平均支持率を見てもトランプ大統領の対抗馬はこの4人に絞られたように見えるが、ここに来て「ある人物」が”大穴候補”として急浮上している。
前ニューヨーク市長のブルームバーグ氏だ。
去年11月24日に出馬表明して以降、支持率をじわじわ伸ばし、2月5日時点では10.6%で第4位に浮上している。
2002年から2013年まで3期に渡ってニューヨーク市長を務めたブルームバーグ氏。
巨大金融メディア企業「ブルームバーグ・ニュース」を一代で築き上げ、その資産は600億ドル、およそ6兆6,000億円に迫ると言われている。
支援者などからの政治資金を一切受け取らず、私財を投じて選挙戦に臨んでいる。
その資金力を生かして、ブルームバーグ氏は全米で1憶人が視聴するとされるアメリカ・プロフットボールの年間王者決定戦「スーパーボウル」のコマーシャル枠60秒をおよそ10憶円で購入。
また、社会保障などの財源として10年でおよそ5兆ドルを徴収する税制改革案や1兆ドル以上のインフラ投資案などの政策を訴えるため、これまでテレビやラジオ、インターネット広告に推定で3億ドル、およそ340億円以上を投じている。
さらにアイオワ州の党員集会での混乱をチャンスととらえ、攻めの姿勢で宣伝費を2倍にすると表明し、さらなる支持の拡大を狙う。
ブルームバーグ氏はアイオワの党員集会やニューハンプシャーの予備選といった、今後の候補者指名争いの行方を左右するとされる、いわゆる「序盤州」には参加せず、カリフォルニア州やバージニア州など10州以上が一斉に予備選などを実施する3月3日の「スーパーチューズデー」に狙いを定めた。
しかし過去の大統領選候補者指名争いの結果を見ると、アイオワかニューハンプシャーのいずれかで勝利しないと、党の候補者に指名されていない。
例外のクリントン元大統領もニューハンプシャーで僅差の2位だった。
このような戦略でブルームバーグ氏は「打倒トランプ」の挑戦権を勝ち取ることが出来るのか?


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