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読み物】ミスの種類と、格ゲー

例1) 明日はテストだ。でも今回は面倒くさいから勉強しなくていいや。テスト本番、当然分からない。0点だった。

例2) 明日はテスト。今回0点だとヤバい。急いで勉強するぞ。テスト本番、必死に考えたが公式を思い出せなかった。0点だった。

例3)明日はテスト。勉強も充分にした。テスト本番で自信を持って回答したが0点だった。なんで?


これはよくある話で、皆さんも経験があるはず。結果としては同じ0点だけど質が全く違うし、改善方法も異なる。例1はそもそも勉強してないから点取れないよねって話だし、例2はもっと事前に勉強していれば正解できたかもしれない。例3は勉強方法が悪いか、解釈を間違えている可能性があるので見直さなきゃいけない。

そんな当たり前の話だが、これが別なジャンル…例えば私が好きな格闘ゲームの話になると、途端にめちゃくちゃなことを言い出す人が出現する。

「5分勉強したのにテストで100点取れなかった。格ゲーは初心者に厳しいから衰退する」とか「出題者が私のことを考えてくれないから0点しか取れない。私は格ゲーそのものが苦手だ」とか「出題者は何も分かってないのに俺が0点なのはおかしい」とか

お前頭大丈夫か??と言いたくなる気持ちを抑えて、確かに格ゲーってハードル高いよね〜とか、楽しく対戦するまでに準備しなきゃいけない項目多いのは難点だよね〜と歩み寄ることを覚えた。大体が嘘だ。

もっとちゃんとやってから文句言え、だからガチャ回すだけの紙芝居がゲームを名乗って流行るんだろうなぁぬるま湯野郎共が、と口に出してはいけないんだ。悔しいだろうが仕方ないんだ。

確かに結果だけ見れば失敗、0点かもしれない。だが、全く何も調べず練習もせずに迎えた0点と、何とか正解を選ぼうとして外した0点は本質的には別なものではなかろうか。そんな話をします。


ミスの種類?


初めまして。格ゲー中毒者の無名雑魚、星川実業と申します。冒頭で大体書きたいことを書いてしまいましたが冷静になりましょう。

格ゲーの面白さは多角的ですが、その一つは試行錯誤して、己の力で正解行動を成功させることにあると思っています。


画像は話題のスト6より 攻撃が当たりました。ここからどんなコンボを選ぶかで貴方の未来が変わります。


対戦をしていると「負け」「ミス」「攻撃を喰らった」という結果がハッキリと表示され、言い逃れできない状況に陥ります。この状況とどう向き合うかで、格ゲーを楽しめるか否かが決まるのではないでしょうか。


ちなみに私が格ゲー初心者の頃は「なんだか分からないまま負けられるか、許せねぇぞ」と怒りで乗り越えました。人によってはここでつまんね〜と投げてしまったり、自分には無理だ〜と萎えやすいポイントにもなります。

冒頭で述べたテストと一緒です。知らなきゃ正解を選びようがないし、知った上で自分で解けないと意味がない。取り組みが間違っていた可能性もありますし、問題文を正しく読めていない可能性もある。

直感とかゲームセンスで正解を選べる人もいれば、知能の高さですぐ仮説を立てて自分で正解を選べる人もいます。しかし多くの人間は私のように「今のは何??」という壁に何度もぶち当たります。そして「あぁ〜正解これかぁ〜舐めやがってカスが〜〜!」と問題を解き相手を破壊した時に、それまで苦しめられていた分のカタルシスも合わさって最高の達成感が身体を包みます。

私はその瞬間、自分は格ゲーセンスが無くて且つ頭が悪くて良かったと思っています。一発で正解を選ぶセンスや知能があったら、このカタルシスを味わえていないわけです。ゲームが下手故に人の倍苦しんでいるかもしれませんが、たぶん3倍以上は格ゲーを楽しんでいる自信があります。


0.1点を重ねるしかない


わかりやすい例が、対空です。相手がジャンプ攻撃をしてくる。自分は上方向を攻撃して、迎撃したい。多くの格ゲーでよくある構図です。


飛んでくる中国風なお姉さんを蹴り返す軍人。世界的に有名な「対空」の構図です。



ジャンプ攻撃を喰らってしまったら不正確、0点で、対空が成功したら1点だとします。

最初は全然反応できずに攻撃を喰らってしまうでしょう。0点。そのうち、ジャンプ攻撃をガードはできるようになります。0点。なんとかボタンを押そうとしますが反応できません。0点。うわ〜自分に格ゲーは無理だぁ〜対空すらできねぇ😭 苦手な人はこうなりがちです。

ここで大切なのは「対空失敗しても良いから、とにかくボタンを押すぞ」と諦めないことです。そうすると、最初はボタンを押そうとしたけど指が動かない!となるはずです。結果としては0点ですが、貴方は自分自身に、小数点以下の得点を与えるべきです。0.1点。指を動かそうとしたわけですから。


そのうち、ペチン!とボタンを押せるようになります。全然間に合ってないのでジャンプ攻撃を喰らってしまい結果は0点ですが、貴方は0.5点を自分に与えましょう。ついにボタンが押せました。


何度もジャンプ攻撃を喰らいながらも、少しずつボタンを押せるようになって行きます。早すぎたり、距離を誤ったり、今のは惜しかった!という場面が出てきたらもう0.8点くらい取れています。

そしてどこかで、相手キャラクターをべチンと殴っている瞬間が訪れます。ついに成功、1点取れました。この時に「みんながやっている行動を一回成功させただけ。自分は下手くそだ喜ぶ資格なんてない」などとスカすのはやめましょう。できなかったことが、できたんです。全力で喜びましょう。

考えてみてください。赤ちゃん👶が初めて立った時に「いや大体の人間は歩行するんで別にめでたくはないでしょ笑」とか言ってたらサイコパス扱いされます。稼げなかった次元の逆張りひろゆきとして身内から嫌われるでしょう。それと一緒です。格ゲー赤ちゃんが飛んでくる悪漢を殴って追い返したんです。感動で泣いちゃうでしょ

「いやそんなの誰でもできるから」とか言い出す奴は2ちゃん出身だろ(偏見)


そして実戦を重ねるうちに、当たり前のように対空を出すようになります。いつまで赤ちゃん👶でいるわけにはいきませんから、そのうち感動も無くなりミスした時のストレスが強まるでしょう。しかしそれでも、成功まで重ねた取り組みと、初めて成功した時の喜びの価値が下がるわけではありません。こういう小さな喜びを沢山収集できるのが格ゲーの良い所の一つだと思っています。

大事なのはこの「成功に向かうまでの、画面に反映されない0.1点」の積み重ねなんだとご理解頂きたい。ミスった、だけで片付けてしまうのはとても勿体無い。


発達は老人まで続く


発達心理学の分野では「大人になっても、老人になっても発達は続く」と考えられています。発達した子供が老いと共に失っていくのではなく、それぞれのライフステージに合わせて別な課題があり、それと向き合っていくのが人生だと(雑なまとめ


格ゲーでも一緒です。上級者に向かう過程でも、なんなら世界大会レベルのプロでも同じ道を進んでいます。ミスと向き合い、調べ、練習し、失敗し、ついに実戦で成功させる。その過程には、成功未満の小数点以下のスコアが存在しています。


失敗の質が重要です。全然知らないのか、知ってて失敗したのか、認識できていないのか、間違ったのか。自分が読み負けだと思っている場面は実はテクニックでズルされているかもしれませんし、鋭い攻めだと思っている行動は見てから対処が簡単な行動なのかもしれません。

(私の場合は「多くの選択肢に対応しようとして、結果全部に間に合わなくてミスってる」というパターンが多いです。下手くそが。)

それらを踏まえた上で、自分がやろうとしていることはなんなのか。相手は何をしているのか。そういう行動一つ一つと真面目に向き合えた時、格闘ゲームの最も面白い「具」の部分が味わって頂けるんじゃないかと思っています。


初心者の方や、伸び悩んでいる方への励ましになれば幸いです。


皆様、対戦よろしくお願いします。



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