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第29回全日本レディース愛媛県予選②

全日本レディース愛媛県予選、決勝戦。
この試合も後攻と決まる。

先発は予定通りゆみちゃん。
先ほどの試合の先発でガッチガチに緊張していたあゆみんは、自らの重役を終えてすっかり余裕の表情。
相も変わらず美咲だけは緊張していたみたいですが。

初回の守りを、テンポよくショートゴロ、ピッチャーゴロ、セカンドゴロで打ち取る良いスタート。
このセカンドゴロ、センターに抜けるかと思う打球をななみんのスライディングキャッチからの好送球でアウトを取った。
あの体制からは投げるのが難しい。だけどななみんは暴投をしない。
日頃からキャッチボールを大事にしているからこその成果だと思っている。

1回裏、
1番紗央里がヒットで出塁すると、2番詩音には送ってもらって、ワンアウトランナー3塁としてから、先ほどの試合不発でフラストレーションMAXの3番ななみん。
ストレス発散とばかりに初球を振り抜きセンター方向へのツーランホームラン!!
3人で2得点と、何とも順調な滑り出し。
良い守備は打席にも好影響。

ツーアウトから5番ゆみちゃんが内野安打で出塁すると、テンポラリーであゆみんにランナーを交代、今度は同じく先ほどの試合不発でフラストレーションを貯めた6番もえぴのライトへのツーランホームランが飛び出し、6人で4得点と初回から試合の主導権を握ることに成功。

2回表、
好打者の4番を迎え、伸びのあるライナー性の当たりを打たれるも、センター紗央里の守備範囲内でまずはワンアウト。
得点後のトップバッターを抑えることの意味は大きい。ナイスセンター!
「あそこに飛んだら安心」と、いつものばーばの口癖。
後は三振でツーアウト、ワンヒットを挟んでセカンドフライでチェンジ。

2回裏、
9番なっちゃんがヒットで出塁すると、1番紗央里もヒットでチャンスを広げる。
ノーアウトランナー1.2塁で絶好調の2番詩音。
送りバントが警戒される中、今度はバスターで進塁打を期待したものの、打球はファーストライナーとなり、スタート良く飛び出していた紗央里が1塁でアウトとなりダブルプレーのツーアウト。そのままで終わらず2塁を飛び出していたなっちゃんもついでにアウトとなり、トリプルプレーという希少な場面を見ることになった。

後から聞けば、私が無意識にエンドランをかけていたらしい恐ろしいミスが発覚。
本当に申し訳ございませんでした。
サイン変更して初めての大会、夏までにこの手のミスはゼロにしなければ。

3回表、
キャッチャーフライと、三振2つの3者凡退で抑える。

3回裏、
ツーアウトから死球で出塁のゆみちゃん、足を負傷中なので先ほど同様にテンポラリーランナー制度がありがたい。
続くもえぴが2ベースヒットで、1塁ランナーあゆみんは一気にホームへ。
これで5点目が入る。これは大事な中押し点。
ツーアウトランナー2塁とし、7番あやてぃんは内野安打。
2塁ランナーを刺しに送球が3塁へ行くのを見て、バッターランナーは2塁を狙うもアウト。
アウトにはなったが、得点差、回数によってこういう攻める走塁はどんどんして欲しい。
1点を争うゲームこそ、ひとつの走塁がゲームの雌雄を分ける。
こういう試合でどんどん攻めて、自分の走塁力の勘を研ぎ澄ませていって欲しい。

4回表、
ワンアウトからヒットを許すも、キャッチ綾乃とショートもえぴコンビが走塁阻止で2アウト。
これで守備の雰囲気も最高潮。みんなで大喜びした。
先月、あつみねさんに一番時間を割いて指導していただいたこと。
これがうまく決まったのはかなり気持ちよかった。

続く4番打者をファーストゴロで打ち取り、この回7球の省エネピッチング。
ライトに抜けそうな当たりだったが、ファーストあやてぃんナイスキャッチ!
あとはバッターランナーとの競争。
なんとか先にベースに着いた!ベンチから一生懸命応援したよ。 

4回裏、
ワンアウトから9番なっちゃん、鬼の粘りで10球投げさせるも、最後は拍子抜けのピッチャーゴロ。
サードコーチャーの私も打球が掠る被害に遭った。
数々の特大ファウルは、御年72歳の町田さんがダッシュで取りに行ってくれた。
観戦中のジュニアの子たちも走ってはくれたものの、町田さんに勝てなかったらしい。

ツーアウトランナー無しから、紗央里がヒットで出塁すると、2番詩音もヒットで続く。
このワンヒットで紗央里が相手野手の隙を見落とさず3塁を陥れる。
紗央里の好走塁は想定内だっかが、その隙を見て今度は詩音も2塁へ進塁。
これには私も大喜び。
最近詩音の走塁が冴えてきた。紗央里につられてうまくなったのだろうか。次の塁を狙う姿勢が格段に上がった。

ツーアウトランナー2.3塁としてから、3番ななみんもヒットで6点目が入った。
4回終わって0対6と、随分気持ちの余裕もでてきた。
この試合は時間制限なし。優勝まであと3回。

5回表、
トップバッターを三振で切ると、続くバッターを厳しい判定もあり四球で出塁させた。
次の進塁打でツーアウトランナー2塁。
続くバッターがセンターに抜けると思われた当たりを打つも、またしてもセカンドななみんがスライディングキャッチ、今度は送球が間一髪間に合わず内野安打となったが、2度目のナイスプレーに盛り上がった。

その隙を突いて2塁ランナーが3塁を回ってホームを狙うも、ファーストあやてぃん冷静にホームへ送球し、難なくアウトとしてチェンジ。
常に次のことを考えてプレーできている、さすがあやてぃん。
なかなか練習に参加できないけど、こういうところがこの子がスタメンである理由の一つ。当たり前のプレーではあるけど、当たり前を当たり前にできることは素晴らしいと思う。

5回裏、
この回トップバッターゆみちゃんのところで、代打竹ちゃんに行ってもらう。
ツーアウトから今度は代打にかのんを送り出す。
決して綺麗な当たりではなかったものの、レフトへのヒットとなった。
こういう大会は結果がすべて。打った方は気持ちよくなくても、チームのためには大事なヒット。よい仕事をしてくれたと思う。
後続途絶えてこの回無得点。

6回表、
ゆみちゃんに試合を作ってもらったお礼を述べて、ここからマウンドは竹ちゃんに託す。
6点リードで気楽に投げてもらって、昨年のリベンジになればと思った。
トップバッターを1球でライトフライに打ち取る。
ワンアウトランナー無し。

四球で出塁を許すと、被安打でワンアウト1.2塁とし、四球のランナーが得点に絡むのはよくあること。ここで迎えた4番打者、ホームランでも3失点で3点差。
フェンスの無い大会は外野の間を抜けたらホームランとなってしまう。
まあホームランは仕方ないかと腹を括った。

ベンチに居るゆみちゃんに、「2失点したらまた行くよ」と声を掛ける。
なっちゃんを捕まえて自主的にアップし始めてくれた。

結果は四球。これで満塁。
打たれるよりもランナーがじわじわ溜まるのがしんどい。

次のバッターはセカンドゴロ。
点差を考慮して、内野にはホームアウトは諦めて下がって守ってもらっていたが、ななんみんはホームを狙う。
びっくりするぐらいのしっかりワンバウンド送球が帰ってきたが、キャッチ綾乃もしっかり捕球しこれでようやくツーアウト。
何とか無失点でツーアウトまできた。

ここまで0対6、ツーアウト満塁。

しかし、次のバッターに初球で死球を与えてしまい、なんだかあっさり1失点。
打たせて守った直後だけに、これはショックな失点だった。
気持ちよく打ってもらう方がランナーも消えてリセットできると踏んだが、残念ながら結果は押し出し。
ランナー満塁の重苦しさからは解放されず、1失点となった。
守備のテンポが悪く、野手もどう声をかけるべきか戸惑っているのがわかる。
相手ベンチの盛り上がりも最高潮。
その次のバッターにタイムリーを打たれた。
2対6、ツーアウト満塁。
四死球ではないものの、下位打線に打たれた痛手はある。

4点リードとはいえ1打同点の場面。
ここまでは順調に得点してきたが、同点にされても取り返せる保証はどこにもない。
この流れは経つ必要があると感じ、即決でピッチャーをリエントリーした。
相手も代打で勝負を掛けてきたが、ここはサードファウルフライでゆみちゃんに軍配。
この回のピンチを無事切り抜けてくれた。

なにせ全国行きが懸かった大会。失敗は許されない。
ベンチに戻ってきた半べその竹ちゃんに掛ける言葉が見つからず、すまなかったと肩をポンポンポン叩いた。

6回裏、
ワンアウトから紗央里が内野安打で出塁、この試合4-4で10割と絶好調のキャプテン。
その後ツーアウトからななみんもヒットで出塁。
これをまたも抜かりなく3塁を陥れる紗央里、2塁へ進むななみん。
だいぶこの前向きな走塁も身についてきた。
ツーアウトランナー2.3塁から、迎えるバッターはスワロー不動の4番、あゆみん。

この子は私の中で、侍ジャパンの村上宗隆選手と同じポジションにいる。
どれだけ打てなくても、どれだけ三振しても、うちの4番にドンっと据わっていて欲しい選手。
基本、私は4番打者に拘りはなく、ただ4番目に打つ役割の人との考えだったが、この選手はその考えを覆してきた。
初戦はその期待に応え、好投手から3打数3安打1ホーマーと大暴れも、この試合は鳴りを潜めていた。
その4打席目だった。

打ったボールはレフトの頭上をはるかに超え、フェンスがあっても文句なしのホームラン。
私がこれまで見てきた中で一番のホームランだった。
ランナー2人が帰り、打ったあゆみんもホームイン。一挙に3点が入る。
さっきまでの嫌な流れも綺麗さっぱり流してくれるスリーランホームラン。
さすがうちの4番です!

もうその打球に呆気に取られて、ただただ喜ぶだけの私でしたが、審判団から集合が掛る。
2対9で、得点差コールドゲームが成立したことを知った。
両チームが整列し、挨拶をしようとしたところにようやく外野陣が戻ってきた。
それくらいはるか彼方にボールが飛んで行っていた。

これで全国大会行きを決めた。
ホッとする気持ちと嬉しい気持ちが錯綜する。
2014年からの連勝記録も更新した。
たくさんの応援団の前で優勝を決めることができて本当に良かった。

年季の入った優勝旗がまた手元に戻ってきた。
閉会式で監督の場所から選手たちの晴れ姿を見るのは好きだ。
誇らしい気持ちにさせてくれる。

美咲は選手として最後の試合。
涙ぐんでいたようで、それにつられて涙ぐむ子もいたようだ。
美咲はレフトのプロだった。
この10年、研ぎ澄まされた感覚のポジション取りで救われたことは数知れず。
何度も感心させられてきた。
学生時代はクリーンナップを任されてきただろうに、スワローでは9番を任せることが多かった。
それでも腐らず、チームのために自分はどのように役立てばいいのかを常に考え、理解し、フォア・ザ・チームの精神で尽くしてくれた。
それができる人間が多ければ多いほど、組織は強くなる。その象徴のような選手だった。
本当にお疲れ様でした。
これからはコーチとしてチームに携わることになる。
これからもみんなのために尽力よろしく頼みますね。

さて、今回の大会は大勢がノリノリで打ってくれた大会となった。
もちろん思うような結果を出せない選手もいて、周りが打てば打つほど焦ったと思う。
だけどバッティングは水もの。
どの試合も全員が打たなくても誰かが打ってくれればいいし、みんなが打てない時に一人打てる子がいてくれてもいいし、相手投手との相性もある。
打てない試合があっても腐らず、進塁打でもなんでも自分のできることにシフトチェンジしてもらいたい。
結果がどうあれ、どの打席も意味があるものとしてもらいたい。
次の打席への伏線でもいいし、相手バッテリーや守備を悩ませてもらいたい。
相手との駆け引きを楽しんでもらいたい。

個々に出た課題を、次にどう生かすかが重要。

以下、ある人のコラムを引用する。
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「悪い失敗は手抜きや不注意に基づく失敗で、これは経験する必要がない。良い失敗は人の成長に必要な失敗だ。新しい価値の創造には仮説を立て、検証することの繰り返しが必要で、それは良い失敗と表裏一体だ」

「失敗はどんどんした方がいいよ」と言われて、手抜きしたり不注意で失敗を繰り返しても、学びはほとんどありません。周囲に迷惑を掛けるだけです。これは「悪い失敗」です。

むしろ「成功するにはどうすればよいか」を考えた上で、仮説を立てて、全力で実行してみる。そしてもし失敗したら、仮説のどこが悪かったのか、実行段階のどこで問題があったのかを考える。これが「良い失敗」です。

経験すべき「良い失敗」とは、「成功しよう」と努力した上での失敗なのです。
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チームとしても個人としても、どれだけ良い失敗を積み重ねられるかが成長のカギとなる。
言い換えれば「意味のある失敗」と「意味のない失敗」で、走塁も暴走と好走塁は紙一重と言われるが、数々の暴走の中から好走塁を編み出してきた結果だと思う。
様々な場面やタイミングを見計らってチャレンジを積み重ね、判断力を研ぎ澄ませていく。

また、誰でも調子が良ければ、大体は満足のいく結果を出せると思う。
調子が上がらない時こそ、どう修正しながらやればよいか考えて行かなければならない。
調子が悪くても、最低限の仕事をしながらチームが勝つという目標を達成するために自分ができること、自分がするべきことを常に考える癖をつけていく。
様々なことにアンテナを張って状況を把握し、たった90分の間に冷静に判断していかなければならない。

表彰式のあとはみんなでお花見がてらおにぎりを食べ、そのあとは美咲パパに無理を言ってお店を開けてもらいお祝いの食事会となった。
美味しいおにぎりやおかずを用意してくれた土居さん、いつもありがとう!
中途半端な時間帯に急にお店を開けてくれた美咲パパありがとうございます!

これから5月の九州遠征、8月の全国大会の遠征段取りが忙しくなる。
練習試合もどんどん入れていきたい。
松山商業高校さん、アイクラブさんには既にお世話になり、西条高校さん、北条北中学校さんにもお世話になる予定。
練習だけでは気付けない課題が浮き彫りになるし、試合勘を掴むのに実戦は必須。
昨年まではとにかく経験不足が多すぎたので、今年はその悔いだけは残さないように不安要素は潰しておきたい。
大会では試せないことを試す機会でもある。

但し、釘をさしておくが、だからと言って練習のための練習は不必要。
常に試合を想定し、大事な試合だと思って練習に臨まないものは、試合で結果が出せるはずもない。
限られた時間しか練習できない社会人チームだからこそ、限られた時間をどれだけ有効に使うかで差が生じる。

キャッチボールも、ティバッティングも、フリーバッティングも、ノックも、常に自分で場面を想定して臨んで欲しい。
今この1球を自分は何のために練習しているのか。
スタートの意識や、ボールの打つ方向や、わざとイレギュラーで取るとか、あえてカットの練習でもいいし、自分なりに目的をもってその1球に向き合って欲しい。

特にゲーム形式は、守備もランナーも試合と同等に必死でやってくれないと何の意味もないものになってしまう。
その瞬間を臨場感をもって練習を積んでいければ、本番でもうまくいくことが増えると思う。
どんな練習メニューでも、どれだけ少人数でも、取り組む姿勢で生じる差は雲泥の差だと思う。

これからの3か月半、どう過ごしていくか。
本気で全国の上位を狙ってみたい。
今年はまずベスト8を目標に置いた。
来年はベスト4以上を目標に。
それができる力を持っていると信じている。