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デザインマネジメント専門マガジン

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デザインマネジメント専門家 草野紀親がデザイン思考やデザインシンキングの学び方、そしてデザイン経営における役立つ情報をお届けします。デザインマネジメントは、経営において欠かせない…
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「想い」のないところにデザインはない

日常生活の中で、物事を哲学的な視点で考察した経験はありますか?私たちが日常生活を通じて繰り返すさまざまな行動や選択、一日を始めるコーヒーの入れ方や出勤時の服装選び、夕食のメニュー構成など、これらの日常の細部にも、実は哲学的な背景や考え方が深く関与しています。皆さんは、このような日常の中での自らの行動や選択が、どのような哲学的要素や価値観に基づいているのかを意識的に考えたことがありますか? 例えば、私たちが毎日手にする家電製品やアクセサリー、さらには選んだ服装にも、機能やデザ

かたちなきなきもの とは

人はかたちなきもので 強く結ばれている形あるものとは目に見える存在そのもの。 だが、やがてそれらは壊れ「無」に還る。 かたちなきものとは、知識、愛、友情、感性、 情熱、人との関わりを成す目に見えない存在である。 かたちなきものは一定の形などなく、 常に変化を続け、 その力動によって何かを生み出していく。 人は形あるもので結びつけば、いつかは消えてゆく。 かたちなきものの結びつきは、 互いの糸を引き合い、 手繰りあいながら意識の中で確固たる存在となっていく。 先の不確か

デザインマネジメントとデザインオプスの統合的アプローチについて(2024年解説版)

近年、デザインは単なる見た目の装飾にとどまらず、ビジネス戦略の中核的な要素として認識され、その重要性がますます高まっています。デザイン思考に基づいた製品やサービスは、ユーザーのニーズに深く共感し、革新的な体験を提供することで、企業の競争力(差異)を強化することが可能です。 しかし、組織がデザインの力を最大限に発揮するためには、効果的なデザインマネジメントが不可欠です。近年注目されているデザインオプス(DesignOps)というアプローチもその一例です。 デザインマネジメン

ブルーオーシャンとレッドオーシャンをデザインする(属人化と標準化の戦略デザイン)

ブルーオーシャンとレッドオーシャンのビジネスデザインについて近年、ビジネス環境はVUCA(不確実性、不安定性、複雑性、曖昧性)の特性を帯び、企業はますます激しい競争に直面しています。このような状況下では、新たな市場を開拓することが難しくなり、企業は成長を継続するために革新的なアプローチを模索せざるを得ません。そのためには、ブルーオーシャンとレッドオーシャンという戦略的概念を理解し、適切な戦略を採用することが不可欠です。 本稿では、ブルーオーシャンとレッドオーシャンの戦略を深

ビジネスデザインでビジネスをクリエイトしよう!(ステレオタイプの呪縛からの解放)

画一的な教育の課題とビジネスデザインの視座画一的な教育が引き起こす問題は多岐にわたります。個々の適応力が低下し、異なる学習スタイルや成長ペースに効果的に対応できないことが挙げられます。この制約が創造性や自己表現を阻害し、独自のアプローチやアイデアが適切に機能しない原因となります。また、再現性を重視するあまりに一般的な標準化のスキルの重視が専門的なスキルや深い理解を制約し、将来のキャリアの柔軟性を減少させてしまいます。 特に重要なのは、創造性と再現性のバランスを理解することで

クリエイティブと自然の共振(自然から学ぶクリエイティブな知恵)

クリエイティブと自然の調和生存のために重要な進化するデザインと自然の深い関係は、物理法則によっても支えられています。物理学者エイドリアン・ベジャン氏とJ・ペダーゼイン氏による新しい法則は、クリエイティブと自然の相互作用をより洗練されたものに変える一方で、その関連性を強調しています。以下では、この法則がいかにクリエイティブと自然の相互作用を進化させ、その親和性を強調しているかについて詳しく考察していきます。 I. 流れの最適化とコンストラクタル法則コンストラクタル法則において

質的調査の実践ガイドライン(質的調査研究でデザインを再定義)

グラウンデッド・セオリーの原理に基づくデザインの進化グラウンデッド・セオリーは、1960年代にバーニー・グレイザー(Barney G. Glase)とアンセルム・ストラウス(Anselm Leonard Strauss)によって提唱されたデータ中心の研究手法です。この方法論は、仮説や予備的な仮定を排除し、フィールドから収集されるデータをもとに新たな理論や概念を構築することに焦点を当てています。 デザイン分野においてグラウンデッド・セオリーを導入することは、デザイン思考を更に

クリエイティブブロックの改善方法(創造性スランプの乗り越え方)

クリエイティブブロックの解明(創造性スランプの背後にあるメカニズム)クリエイターがクリエイティブブロックや創造性スランプに直面する際、多くは「感性の深さ」という特有の資質が背後にあるとされます。この資質は、周囲の環境や出来事に対する鋭敏な感受性と、それを独自の方法で創作に取り入れる能力を持っています。この特性はクリエイターの豊かな視点や情熱の根源となるものの、同時にクリエイティブブロックを引き起こす可能性も持ち合わせています。 characteristic.1 感情の過敏鋭

共創型新規事業の実践ガイドライン(革新と成長の共創ダイナミクス)

新規事業における持続的な成長と実践的な行動戦略共創型新規事業の成果を確かなものにするためには、持続的なコラボレーションと具体的な成果の追求が不可欠です。アイデアの発想だけでなく、それを現実のものにするための行動力と取り組みが必要です。市場の変動や競合環境への迅速な適応力、そしてアイディアを実際の実行に結び付けるスキルは、競争の激しいビジネス環境で差異化を図るための鍵となります。この観点から、共創イノベーションを基盤に据えた行動指向の手法とアプローチが必要不可欠であり、その適切

生の調和(プロバイオティクスとの繋がりを考察)

最新研究で見る、プロバイオティクスの無限の可能性プロバイオティクスは、私たちの身体の健康や機能の維持、そして最適化に寄与する生きた微生物として、広く認識されています。その中でも、乳酸菌は、その強力な効果や一般的な知名度から、プロバイオティクスの代名詞とも言える存在です。多くの食品、特にヨーグルトや乳酸発酵食品に含まれているため、日常の食事を通じて容易にその恩恵を受けることができます。乳酸菌は、消化のサポート、免疫機能の強化、腸内環境の整える効果を持ち、これらは多くの科学的研究

言葉の力 (デザインマネジメント考察版)

思考の起源、言葉とともに言葉は人間の生命における基石であり、私たちの日常生活に不可欠な要素として働きかけています。感情を豊かに表現する手段、深い思考を構築する道具、そして他者との有意義なコミュニケーションの橋渡し役として、言葉は絶えず私たちの側に存在しています。さらに、言葉は社会の動きや文化の多様性を映し出し、それぞれの時代や地域の特徴を伝えています。私たちが外界を感じるセンサー、それを理解する鍵とも言えるのが、この言葉です。私たちの感覚や認識は、言葉を介して拡散され、それは

クリエイティビティ溢れる デザイン経営の魅力!

創造的なデザイン経営を追求し、その進化を促進するためにデザイン経営の深層を探ると、その背後には詳細なフレームワークへの洞察とその制約への正確な認識が隠されています。これは、単にビジネスにデザイン原則を適用する以上のもので、背後に潜む哲学的な視点を追求するものです。 フレームワークは、経営やデザインの方向性を示す基盤となります。しかし、これに過度に依存すると、新しいアイディアの欠如や柔軟性の喪失、さらには思考の停止などのリスクが生じます。 真のデザイン経営とは、フレームワー

ブランドブックをつくろう!

ブランドブックは、ビジネスの独自性を鮮明に描き出し、その差異と魅力を効果的に伝えるためのツールです。 企業や製品のブランドは、その企業が重視する価値や理念を具現化したもので、企業のビジョン、価値観、そして文化を総体的に反映します。このブランドの持つ価値は、消費者の選択行動やブランドへのつながりには深い影響を与えます。「ブランドブック」は、ブランドの核心的なメッセージを洗練された手法で伝え、その価値を持続的に維持・発展させるための重要な戦略ツールとして機能します。 ブランド

コラボレーションのススメ(デザインマネジメントの視点から見直す、より質の高いコラボレーションへ)

コラボレーションを次のレベルに引き上げるデザインマネジメントの活用法「コラボレーション」は21世紀のビジネスシーンでよく使われるキーワードとなりました。現代のビジネスデザインの中心的な要素として位置づけられ、革新と持続的な成長の鍵と見なされています。製品やサービスの革新では、アイディア提供だけでなく、市場での反応を検証することが極めて重要です。 コラボレーションの真の価値や、ビジネスにおけるその市場適応力を理解することは、現代の経営者やビジネスパーソンにとっての大きな課題と