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手抜き介護 95 りんごを買うアホ

実家で「もう止める」と言いながら、まだ続けているコープの宅配。また注文していないものが入っていた、と怒っている。かなり小ぶりなりんご3つ入りが2袋で1700円ほど。「これ、どう? 値段相応と思う?」と、母が現物を持ってきた。

ちょっと高めではあるけど、ふじりんごと書いてあるから、まあそんなものかも。カタログにも糖度12.5以上ふじりんご、とある。でも注文票を書き写した自作ノートには、確かにりんごが入っていない。「今時期りんごを買うアホはいない」と、父が吐き捨てた。そこまで言う?

コープが売れ残りを適当に分散させているという、母説が濃厚になってきた。ノートの字は父のものだから、母の注文票を見ながら写し書いているのだろう。「りんごを買うアホ」というくらいだから、リストにりんごがあったら黙っていないはず。季節外れだけど妻が食べたいなら、なんて譲るような男ではない。

注文票は本来番号で記入するのだけど、その読み取りが母には難しいので、品名と数量を手書きで頼んでいる。乱れた字を店の職員が読み取って、本来の用紙に記入してくれるシステム。確かに手間はかけているが、これだけ繰り返されるとさすがに気になる。でも電話で確かめようとしたら、父に止められた。

「大騒ぎしなくていい」(大騒ぎしてるのはあなたたちだけどね)

そういう電話を入れると、後で仕返しされるという。昔、お米や塩が決まったところでしか買えなかった時代、何か店と行き違いがあると値段を吊り上げられたりしたそうな。今はそんなことないんだけどねえ。

ところで先週、仏壇に供える果物を頼まれて私が買って来たのが、美味しそうな大きいりんご。「今時期りんごを買うアホ」は、つまり私に向けた言葉だった。


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