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#9【58歳女子 ロンドン留学日記⑥】~ただいまロンバケ中~

人生のうち、一度でいいから外国に住んでみたい!
この夢を、いま叶えることにしたロングバケーション中の58歳女子。

この前の土曜日、ベルギーのブリュッセルへ日帰り旅行に行ってきました。
学校のあとに一人でミュージカルに行ったり、一人で美術館を気ままに楽しんだり、おひとりさま活動はついに海外へ。

アローンはいけないこと?

学校の授業の最初には、よく「昨夜はどこかに行ったの?」「週末はどんな予定?」といったおしゃべりタイムが設けられます。
「昨日は推しの日本人ピアニストの演奏を聴きにいきました!」
「レ・ミゼラブル、すごかったです!」
先生に「誰と行ったの?」と聞かれ、「アローン(ひとりで)」と答えると、とたんに先生の顔が曇ります。
「どうして友達を誘わないの?」
クラスメイトも、「誘ってくれればよかったのに~」などと言っています。
いけないことなの?一人で行動するって??

私は日本でもわりと単独行動を好む傾向にあり、とりわけ美術館や博物館などは絶対一人で行きたいタイプ。
また、せっかちで貧乏性なので、映画も行けるなら今行っちゃおう!とかチャンスやタイミングを逃したくないタイプ。
約束の必要がないことが、単独行動の最大の魅力です。
振り返れば、昨年までは仕事がずっと忙しく、急に都合が変わることもしょっちゅうで、約束の時間に遅れたり、ドタキャンせざるを得なくなるということが頻繁にありました。仕事帰りに誰かとバッタリ会って、そのまま飲みに行く、なんてことがあれば最高にラッキーなのですが。
相手に迷惑をかけることも、そのたびに落ち込む自分もイヤになり、気づけば約束不要のおひとりさま=アローンの快適さに目覚めてしまっていたのでした。

コッツウォルズツアー

アローン好きの私だったはずなのに、留学当初はクラスのみんなに馴染むために一生懸命でした。先生も「友達とたくさん英語を話しましょう」っていつも言ってるし。毎日マジメに必死。
そんな「学校で友達つくらなきゃ」のプレッシャーに疲れてきたある日、イギリス郊外のコッツウォルズへ行く日帰りバスツアーに申し込んでみました。もちろんアローン。

当日の土曜日、バスの隣の席に座ったのが、ギリシャ人のエレナでした。彼女は銀行に勤めていて、ロンドン支店で8年間勤務し、6月に退職してギリシャへ帰るとのこと。これまでは猛烈に忙しくて週末は寝るだけだったけれど、最後の1か月は毎週バス旅行に参加して、イギリスの名所を巡ることにしたのだそう。
すっかり意気投合し、バスの一番前の席で二人のおしゃべりは続きます。彼女のこれからのこと、私のこれまでのことや今の学校のことなど。

バスツアーは様々な国の観光客も参加していて、家族連れやカップルもいれば、おひとり参加の人も結構います。日本人男子とモロッコ女子も加わって、私たちは4人で各村を散策し、お茶を飲んだり写真を撮りあったりしました。

美しいバイブリーの景色
昭和天皇が滞在された老舗ホテル
ストウ・オン・ザ・ウォルドの広場

ツアーが解散してバスを降りると、日本人男子ユウスケと私は、近くのパブでビールを飲みました。彼は3か月の企業派遣の留学生で、私よりずっと英語が上手です。聞けば相当努力している様子。お互いのロンドンライフについて話すうちに、私はユウスケにエレナのことを語りました。
「言葉ができなくても、相性が合う人となら話せるってことがわかったよ!今日は学校の外に出てきてよかったよ!」。

オックスフォード&ケンブリッジツアー

次に参加したバスツアーはオックスフォードとケンブリッジ観光。残り少ない週末、行ける時に行っておかないと!ということで申し込んだのは3日前でした。
バスは、ロンドン市内数か所のバス停で参加者をピックアップしてくれます。前回同様、前日にバス停を下見し、今回も一番最初のバス停から一番に乗って一番前の席を確保。静かにおばさんパワー全開です。

こんなバス

全ての参加者が揃うと、バスは世界の知の拠点、オックスフォードへ出発しました。
到着してガイドさんの案内をひとしきり聞いた後(英語なので私にはよくわからない)、2時間ほどのフリータイムに。

セント・メアリー教会
オックスフォードの街並み

オックスフォードの街は大きくありません。もらった地図で、今いる場所と集合場所を再度確認して、ひとりでブラブラ歩き始めました。
「たまには何か美味しいものでも食べちゃおうかな~。せっかくの旅行だし」。ロンドンを離れると、少し開放的な気分に。

しばらく歩くと、「ハ~イ!あなた、同じグループよね!?」と話しかけてくる女性がいます。ガイドにやたら質問したり、大きくうなずいたりする明るいインド人のタルヤ。しばし一緒に公園の中を歩きます。初夏のイギリスは新緑がきれいです。

オックスフォードは遊歩道などの自然も豊か

「あとで、お昼一緒に食べる?(美味しいものを想定)」と聞くと、彼女は昨夜エジンバラ(スコットランド)の旅行から帰ってきたところでお金があまりなく、駅で小さなサンドイッチを買ってきたとのこと。そこで、私も近くでサンドイッチを買うことにするも…。観光地でめちゃ高い。
その後、別の近くの公園でお昼を食べたのですが、彼女の前で高級ビッグサンドを食べるのは、ちょっと気が引けるのでした。体の大きな彼女に何度も「おいしい?おいしい?」」と聞かれ、ナイフがあれば本気で半分差し出したかった。

ハンバーガーの2倍以上あるサンドイッチ。
(半分以上持って帰った)

次に向かったケンブリッジも、名門カレッジが集う趣ある美しい街です。
ざっくり言えば、オックスフォードは文系、ケンブリッジは理系の名門なのだとか。私はケンブリッジの方が、より若者文化も取り入れた気楽な印象を受けました。

グレート・セント・メアリ教会
教会の塔の上から眺めた景色
街にはこんなお店も
自分へのお土産(世代です)

そうこうしているうちに、集合時間間が迫る中、私は迷子になってしまいました。常にグーグルマップ頼りですが、時に動作が遅くなったり、反応しなくなることがあります。
どうしよう・・・!
マップに聞くも、毎回違う方向を指します。そっちはさっき行ったけど違ったよね・・・?
するとなんと、道の向こうからタルヤがやってくるではありませんか。アイスクリームを食べています。
私は大きく手を振って「タルヤ~!私、道に迷ってしまったの!もうバスに戻らなきゃいけないし、私、トイレにも行きたいの!」。
タルヤは最初「あなたもアイスクリーム食べたい?」などと呑気に言っていましたが、すぐに緊急事態を察し、「まかせて!」とどんどん私の前を歩き、公共の無料トイレに案内してくれて、その後無事にバスに間に合うことができたのでした。

アローンも悪くない

一人で行動していると、いくつもの出会いがあります。
コッツウォルズで出会ったエレナとは、ぜひまた会おうね!と約束し、先週の日曜日に二人でロンドンのキューガーデンへ行ってきました。

キューガーデンを3時間近く散策
その後はビールとフィッシュ&チップス!

オックスフォードで出会ったハチャメチャに明るいタルヤは、インドの高校の先生で、英語を教えています。3週間の夏休みを利用してイギリスを見に来ていたのでした。インドか日本でまた会おうね!と約束して別れました。

ロンドンの日々が始まってから、大変なことが、大変に嬉しいことに変わる瞬間を、私はすでに何度も体験しています。
5週間経った今では、学校の中でもたくさんの出会いやラッキーが。

この流れで、海外一人旅、ブリュッセルへも行ってみたのでした。

次回に続きます。

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