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温暖化で湖が凍らない!? ワカサギ氷上穴釣りに黄色信号

そうだ、ワカサギ釣りしよう! 一念発起したはいいが、温暖化の影響で湖がなかなか凍らず、本来なら前年末にシーズンが幕を開けるところ、年明けしばらく経っても解禁日が決まらない。果たしてワカサギ氷上穴釣りはできるのか!?


直前に氷上穴釣りの解禁が決定!

今回、体験先として選んだのが長野県の松原湖。猪名湖(いなこ)・長湖(ちょうこ)・大月湖(おおつきこ)の3湖の総称だが、一般的には3つの中で最も大きい猪名湖を松原湖と称する。関東甲信越随一のワカサギ氷上穴釣りのメッカで、同エリアではいち早く結氷する穴釣りスポットとしても知られる。

松原湖は人気のワカサギ釣りスポット

ワカサギ釣り情報PRESS」の解禁日一覧を見ても、2022-23年シーズンの解禁日(長湖)は12月29日。早い年はクリスマス前に解禁している。しかし、2023-24年シーズンは、1月上旬を過ぎてもゴーサインが出ない。
 
松原湖畔の釣り宿「佐久屋」の女将おかみ・佐藤あつ子さんによれば、「凍ってはいるが厚さが十分ではない」とのこと。いつになったら解禁されるのか。「どんなに遅くとも解禁されなかった年はない」と電話口では言うが、記者はやきもきしながらその日を待った。
 
結局、解禁日は1月14日と決定。ただし猪名湖の一部エリアに限られ、全面解禁には至らなかった。地元、小海町観光協会のワカサギ釣り紹介サイトによると、〈今シーズンは暖冬予報で天気予報の気温も高い為、危険と判断した時は午前中で終了や当日の中止もあり得る〉とのこと。
 
油断はならない。
 
寒くなってくれ! と祈るのは、雪遊びが楽しかった子どもの頃以来だ。


新海誠監督の「君の名は。」に出てくる湖

取材前日、記者と編集長はカメラマンの車で松原湖へ向かった。
 
目指すは長野県南佐久郡小海町。映画「君の名は。」や「すずめの戸締まり」などで知られるアニメーション監督の新海誠さんはこの町の出身で、「君の名は。」に出てくる糸守湖のモデルのひとつは松原湖だという。美しい湖の映像は今も目に焼きついている。壮大な景色が期待できそうだ。
 
アクセスは、東京からだと関越道経由と中央道経由の2ルートある。
 
今回は中央道をチョイス。長坂ICで降り、県道28号線と国道141号線を北上。途中、清里などを通る。なお、公共交通機関を使う場合は、JR中央線で小渕沢駅まで行き、そこから小海線で最寄りの松原湖駅までは1時間余り。駅から徒歩だと40分かかるが、150メートル離れた町営バス停・松原湖駅入口(南口)からバスに乗れば6分で到着するそう。ただし、周辺は店もない小さな無人駅なので、事前に時刻表を調べておく必要がある。松原湖駅から一駅北の小海駅ならタクシー乗り場があり、湖まで10分ほどだ。
 
関越道経由の場合は藤岡JCTで上信越道に入り、佐久小諸JCTから中部横断自動車道で八千穂高原ICまで行き、そこから国道299号線、通称メルヘン街道を南下。公共交通機関の場合は北陸新幹線で佐久平駅まで行き、小海線を今度は南下することになる。
 
いずれにしても、車の場合はスタッドレスタイヤやチェーンなど冬の装備が必須だ。

東京から3時間かけて湖に到着

およそ3時間かけて松原湖畔の釣り宿「佐久屋」に到着。日没時間はとうに過ぎ、辺りはすっかり暗くなっていたが、松原湖が目と鼻の先にあるのは分かった。よかった、ちゃんと凍っている!

今回お世話になった釣り宿佐久屋は昭和13年創業

佐久屋ではワカサギ釣りの道具一式をレンタル可能。事前の電話でも「手ぶらで大丈夫ですよ」と女将さん。初心者にとっては心強い限りだ。

穴あけドリルや氷上に置いて座る椅子なども貸し出してくれる
ワカサギ釣り用具一式。右から竿、日釣り券、エサ入れ、エサ、エサを切るハサミ、穴の氷片をすくうお玉、釣れたワカサギを入れる袋。竿はシンプルな手バネ式だ。レンタル用はしめて1,700円

なお、佐久屋のほかにも湖畔には釣り宿があり、日釣り券の購入や道具のレンタルができる。詳しくは、小海町観光協会の氷上ワカサギ釣り紹介ページをチェックしてほしい。
 
夕食は寄せ鍋と前日に松原湖で釣れたばかりのワカサギの天ぷら。ふっくらして本当に美味しい。心尽くしの料理に舌鼓を打ちながら、明日の本番に向けて女将さんに事前リサーチ。

目の前で釣れたワカサギを天ぷらに

「解禁日に来たお客さんは100匹以上も釣り上げていました。今年は良さそうですね」
 
これは期待が高まる! スタートは翌朝6時半。日が高くなるにつれ釣果が下がるという。起床は5時の予定。早起きに備え、その夜は早々に床に就いた。


早朝、氷点下2度の中、スタート!

ワカサギ氷上穴釣り当日。眠い目をこすりながら朝食を食べ、身支度したら、テント付きのソリに釣り道具一式を載せて出発準備。

湖は宿の目の前。一歩外に出ると、来た時とは比べものにならないくらい強烈な冷気が肌を刺す。日の出は7時頃だから、辺りはまだ暗い。湖の前にはすでに大勢の釣りファンが待機していた。

スマートウォッチが表示する気温はマイナス2度。そりゃ湖も凍るわなという温度である。記者はフリースとダウンジャケットを重ね着し、タイツにスノーブーツと防寒対策はしっかりしたつもりだが、足元からじわじわと冷えてくる。これは予想以上の寒さだ。

しかし見送りに来てくれた宿の若女将、えみ子さんが衝撃の一言を放つ!

「今日はあったかいわねえ」

そして、その姿はなんとスウェットパーカー1枚。

たくましすぎる! というか記者が軟弱すぎてすみません!
 
ついに、時計の針が6時半を指した。いざ、人生初めてのワカサギ氷上穴釣りのスタート。果たしてワカサギちゃんとは対面できるのか!?

スタート時刻と同時に一斉に湖上に散っていった釣り客
#てさぐり部 編集部もテント兼ソリに道具や荷物を載せて出発!

(次回に続く)

Supported by くるくるカンカン

クレジット

文・編集:いからしひろき(きいてかく合同会社
撮影:高野宏治
校正:月鈴子
取材協力:釣り宿 佐久屋
制作協力:富士珈機

ライター・いからしひろき https://twitter.com/igamania
新潟県出身。20年以上にわたってフリーライターとして活動。旅、食、人物インタビューを得意とし、『日刊ゲンダイ』『おとなの週末』『サステナブルブランド・ジャパン』などで執筆。2023年6月にライターズオフィス「きいてかく合同会社」を設立。


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