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無痛予定なのに発熱で緊急帝王切開出産した話②

この時陣痛はすでに、
呻いてフーフーしたくても悲鳴になる痛さ。
もうちょっとで無痛・・・と頑張ってきた私に
青ざめた研修医からの報告でようやく発熱を知った医師が、
悲しいお知らせをする。

医者
「熱があると無痛の麻酔はリスクがあるので
まず下げないと無理なんです。
だからまず下げてね」


「(陣痛来た)ウグゥ〜・・・(・・・下げてね、!?)」
え、自力なんですか
気力で下がるなら医者いらなくないですか
と、悪態が溢れ出てくるのに陣痛が言葉にしてくれない

というか、
39度からそんなすぐ下がるものなの??

というかというか、
こんな高熱出て赤ちゃん大丈夫なの??

と、いろいろパニックになる。

そしてこのタイミングで
隣の部屋の妊婦さんが無痛の処理に入った。

隣の助産師
「もう陣痛辛いですか?まだたえられますか?」
隣の妊婦
「もう無理です〜〜」
隣の助産師
「はい!良くここまで頑張ったね、無痛の準備するね!」

「(頼むこっちもお願い)」

こうして余計に心が荒んでいく。

■19時
陣痛の間隔変わらず。
熱が出た理由を調べる為か、点滴と採血の嵐。

研修医が、ここで注射を2回ミスる。
私の血管が細くて、うまく刺さらず液が溢れてしまった。
そして、謝らない研修医。
「あ・・・あぁ〜・・・逆でした」とか何とか言いながら、
横にいる先輩助産師に
「この場合はこうしないと」と現場実習が行われている。

ただ、これが結構痛く、陣痛と相まって、
「こんなボロボロの状態の妊婦になんてことしてんだよぉぉぉ!」
と、メンタル不安定な私はここで初めて泣いた。

そりゃ研修中は失敗はつきものかもしれないけれど
こっちは命懸けで今耐えてるんだぞ、と。

でも、喋る余裕はない。陣痛は続く。
「お腹の子供を守れるのは私だけ」
と言う気持ちだけで耐える時間がここから続く。

■22時
熱が全然下がらない。
子宮口は9センチまで来ている。
もう私は虫の息。精神力も切れかかっている。

ここで、
隣の無痛処置中の妊婦さんの部屋が慌ただしくなる。
赤ちゃんの容体が変わったみたいで
緊急帝王切開になった模様。

その日の当番の医師や助産師がバタバタ準備に入り、
私の部屋から誰もいなくなる。
急な孤独。自分のうめく声だけが部屋に響く。

先のことが何も考えられないまま、耐える時間が続く

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