黒須友香

趣味で小説書いてます。今まで書いた長編のテーマは「少年バディ異能力バトル」「自然・動物…

黒須友香

趣味で小説書いてます。今まで書いた長編のテーマは「少年バディ異能力バトル」「自然・動物・環境問題」「クラシック音楽(ピアノ&パイプオルガン)」イラストや自作曲も少し置いてます。

マガジン

  • 小説『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』

    カナダ極北、夏。白い獣の仔を助けた少年・蒼仁(アオト)は、天空の大精霊より特殊能力を授けられる。 翌年の春、日本の学校に通う蒼仁に正体不明の集団が襲いかかる。危機を救ったのは、かつて彼が助けた白き狼犬――が変化した、雪のような白い髪の美しい少女・シェディスだった。 極北では、地球を震撼させる天変地異が発生。「闇のオーロラ」が空を侵食し、極北から太陽が消えた。 黒の世界から襲いくる脅威に立ち向かえるのは、蒼仁が天空の大精霊から受け継いだ召喚能力のみ! 世界を救うため、蒼仁はシェディスと共に再び極北へと旅立つのだった―― 秀才少年・蒼仁と人間になった狼犬少女・シェディス、個性豊かな人間たちと動物たちが織りなす、国境も種別も世界も越えるファンタジック・アニマル・アドベンチャー!

  • 小説『空飛ぶたまごと異世界ピアノオルガン♬アンサンブル』

    不思議な「たまご」が三つの世界を繋げます♪ 主人公・理音とピアニストの兄がいる、「パイプオルガンがない世界」。 楽器を研究する女性・ミラマリアがいる「楽器が一つもない世界」。 オルガンを愛する師弟がいる「全てのパイプオルガンが解体・撤去されようとしている世界」――。 実力派イケメン音楽家たちによる、世界をまたぐ「ピアノとオルガンの尊い協演」は果たして実現するのか。 音楽家たちと楽器の数奇な運命は? 今、乙女たちの推し活パワーが炸裂する! 華麗なるアンサンブルの調べ、ここに開演!

  • 小説『あなたの「音」、回収します』(完結)

    後頭部に指揮棒、肩にはおたまじゃくし。その男は、「命の音」の回収人。 回収人・音廻卓渡(おとめぐり たくと)が、債務者たちからそれぞれの「命の音」を回収する。 ピアノ、チェロ、パーカッション、フルート、ヴァイオリンetc.……命の音はやがて美しき音楽となり、人々の心を繋いでゆく。 ※主にクラシック音楽の有名な曲を扱っています。クラシック以外のワールドミュージック(民族音楽)も。

  • 自作小説イメージイラスト

    自作小説のイメージイラストです。AIは使用していません。

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    カクヨムで公開中の自作WEB小説のご案内です。

最近の記事

『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第36話 アニマル・レスキュー隊、発足

 薄汚れてはいるが、確かに白い体毛の犬だった。首輪をつけている。  垂れ耳で大型の犬。ポインター種だろうか。  犬は、蒼仁たちに向かって吠え始めた。犬がいるのは、崩れた瓦礫に近い住宅横の、狭い空き地。ひしゃげたフェンスに阻まれて、こちらへ来ることができないらしい。 「助けて、出して、って」  シェディスがそっと近づいていく。フェンス越しに少しかがむと、吠えるのをやめた犬がシェディスをまっすぐに見た。 「このままだと、死んでしまう」  短い言葉で、蒼仁にも状況が理解で

    • 『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第35話 地球を旅する霊狼たち

       蒼仁はまた、白い光に包まれた。  三度目の光。  眩しさに目を閉じると、どこからか激しい水音が聞こえてくる。  音が近づいてきたかと思うと、次の瞬間、急激な氷の嵐に自分の体が勢いよく流されていくのがわかった。  もう、どこが天か地か、煌界か地上かもわからない。  周囲に渦巻く気配を感じる。  地球に生まれた生物たちか。地上での役目を終えた、霊たちの放浪か。  狼王の記憶か。悪しき感情を取り込んだ、悲しき記憶のなれの果てか。  黒い急流が何度も襲ってくる。  全身をなぶ

      • 『空飛ぶたまごと異世界ピアノオルガン♬アンサンブル』 第29話 『革命』の日

        「さあ、あの世界で何が起こってんのか、知ってることぜーんぶ話してもらおうか?」  いづ兄の、虎のような眼光に凄まれて、哀れな若者が「ひぃぃッ」と悲鳴を上げる。 「おっ、俺は何も! 俺が命じられたんは、あんたが無茶やらかしたらすぐに報告しろ、ってことだけなんス! だから雨の日も風の日も、草葉の陰からそーっと温かく見守ってたのに、その見守り相手に首根っこつかまれて引きずられるなんて、あんまりっス! 横暴っス!」 「よく言うぜ。ヘマやらかして別の組織に連れ去られそうになって、俺

        • 『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第34話 これが人間の「感情」だ!

          「……すまんなぁ、蒼仁」  達月が心底すまなそうに入れる謝罪の言葉は、とうぜん何の慰めにもならなかった。 「達月さん。俺、まだ、言ってることがわかんないんだけど……」 「今ハムが言うたとおりや。ほかのみんなの事情は知らんけどな。ワイが、なんで今まで普通の人間みたいに動けとったのかはわからんけど――」  ここで、達月は一呼吸置いた。次の言葉を口に出すのに、それだけの覚悟が必要だったようだ。 「――ワイは、もう死んだ人間なんや」 「なんで! なんで今になってそんなこと

        『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第36話 アニマル・レスキュー隊、発足

        • 『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第35話 地球を旅する霊狼たち

        • 『空飛ぶたまごと異世界ピアノオルガン♬アンサンブル』 第29話 『革命』の日

        • 『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第34話 これが人間の「感情」だ!

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        • 小説『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』
          36本
        • 小説『空飛ぶたまごと異世界ピアノオルガン♬アンサンブル』
          29本
        • 小説『あなたの「音」、回収します』(完結)
          21本
        • 自作小説イメージイラスト
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          『空飛ぶたまごと異世界ピアノオルガン♬アンサンブル』 第28話 曲の続きを探して

           あれから、一週間ほどが過ぎた。  リーネルトさんが鏡を隠したのは、たぶん教会の応接室の床下だ。  あらゆる音が、床板や壁に遮られ、鈍く、途切れ途切れにしか聞こえない。  礼拝堂のバルコニーにあるオルガンがどうなったのか――わずかながら伝えてくる音さえも、二日ほどで完全に消えてしまった。  今はもう、牧師さんが行う礼拝も、人の気配すら聞こえてこない。  礼拝もないなんて……。この教会は、敬虔な人々の心の寄りどころだったはずなのに。  オルガンとオルガニストを、理不尽に

          『空飛ぶたまごと異世界ピアノオルガン♬アンサンブル』 第28話 曲の続きを探して

          『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第33話 王の記憶を救うのは

           カナダへ来て、みんなと一緒に初めて見上げたオーロラは、最も出現頻度の高い「グリーン・オーロラ」だった。  天空を龍のように揺れながら渡っていくオーロラを見上げた時、蒼仁は、まるで父が自分を呼んでいるような声を聞いた。  父を思い出す声音、抑揚。聞き慣れた懐かしい響き。  でも、この世の人の声のようには聞こえなかった。  天空へ続く氷の階段を昇った時、再び「龍」が現れた。まるで自分たちを『煌界』へと導いてくれるかのように。 「父はカナダのどこかで生きている」という思い

          『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第33話 王の記憶を救うのは

          『空飛ぶたまごと異世界ピアノオルガン♬アンサンブル』 第27話 兄と弟の本音

          「何でだよ! 何でもう行っちゃいけねえんだよ!」 「ダメと言ったらダメだ!」  廊下で、二人の兄が言い争っている。  久しぶりに見る、いづ兄(本体)だ。  いつもピアノに忙しい音兄と、ここ五年ほどずっと家にいなかったいづ兄。二人が顔を合わせること自体レアなのだから、言い争う光景なんてレア中のレアだ。子供の頃でも、ここまで激しく口ゲンカをしたことがあっただろうか。  二人の視線がわたしに向けられた。  懐かしいいづ兄の顔が、心底困ったように眉尻を下げている。 「なあ、理

          『空飛ぶたまごと異世界ピアノオルガン♬アンサンブル』 第27話 兄と弟の本音

          『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第32話 オーロラの向こう、狼王の森へ

           イヌイットの人々は、オーロラを見上げながら様々な絵を思い描いてきた。  ――祖先の霊がボールを蹴っている。  ――浮かばれない魂が、仲間を求めて彷徨っている。  ――大勢の人が手を繋いでいる。  ――死んだ人の魂に、大昔の祖先が明かりを持って道を照らしてくれている――  自然の恵みのすべてに精霊が宿ると伝え、自然現象の中に神聖な霊の力を感じるからこそ、自然を崇め、何よりも大切に扱う生き方が染みついてきたのだろう。  現実には地表から100kmを隔てているはずの、オーロ

          『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第32話 オーロラの向こう、狼王の森へ

          『空飛ぶたまごと異世界ピアノオルガン♬アンサンブル』 第26話 引き裂かれた音楽

           こちらの世界でも、鏡の向こうの世界でも、ずっと拍手が鳴り止まない。  音兄とレヴィンさんは、何度も協演相手を讃えるように手を広げては恭しくお辞儀をする。二人が同じ世界にいたら、きっと固い握手を交わしていただろう。  わたしも鼻をすすりながら、存分に拍手を送り続けた。  有言実行し、最高を超える演奏をしてくれた音兄に。  この曲と音兄の音を、最高に輝かせてくれたレヴィンさんに。  すっかり「やりきった」顔の音兄が、 「すっげえ、気持ち良かった……」 「もう、他のオケじゃ

          『空飛ぶたまごと異世界ピアノオルガン♬アンサンブル』 第26話 引き裂かれた音楽

          『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第31話 天空のパノラマ・スクリーン

           カナダ北極圏、五月。  彼らは岸に立ち、流氷を見ていた。  秒ごとに地形を変えては移りゆく、氷海の地、北極。  蒼仁が、頬を刺すような凍った風の中、声を上げる。 「南極点には南極大陸があるけど、北極点って海なんだよね」  北極圏の海沿いに立つと、自然と「北極点」を意識する。  まだ、彼らがいるカナダのトゥクトヤクトゥクから、2,200kmの隔たりがあるのだが。  厳しい海からの風にさらされても、不思議と蒼仁の心は温かかった。  これも、ゲイルとブレイズの――いや、

          『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第31話 天空のパノラマ・スクリーン

          『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第30話 白き少女の降臨

           カナダ極北、三月。  この地を襲った「太陽光消失」発生の日から、約七ヶ月。  空はいまだ「闇のオーロラ」に覆われ、終わりの来ない極夜が延々と続いている。陰鬱な空気と、日に日に勢いを増していく吹雪の猛威が、人々の心をも重く深く覆い尽くしている。  日本の少年・森見蒼仁に特殊能力が発現するのは四月のこと。  その前月、ユーコン準州にて。  日本の学生・折賀美仁は、狼犬のゲイルとブレイズを連れて、無謀にも吹雪の針葉樹林の中を歩いていた。積もったばかりの柔らかな雪が、靴底五セ

          『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第30話 白き少女の降臨

          『空飛ぶたまごと異世界ピアノオルガン♬アンサンブル』 第25話 愛しきものに捧げるコンチェルト(2)

           この曲の始まりは、唐突に感じられるかもしれない。  突然鳴らされる、オケによるフォルテのたった一音の後、ピアノソロがさらに強いスフォルツァンドを連続して叩きながら鍵盤上を駆け下りていく。  初っ端からオケとピアノのタイミングを合わせるのが大変そうだといつも思うが、レヴィンさんと音兄はきっちりと完璧に合わせてきた。 ♬ロベルト・アレクサンダー・シューマン作曲  『ピアノ協奏曲 イ短調 作品54』  わずか三小節の短い前奏を経て、曲の主題である『クララのテーマ』が、オーボ

          『空飛ぶたまごと異世界ピアノオルガン♬アンサンブル』 第25話 愛しきものに捧げるコンチェルト(2)

          『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第29話 「煌界」へと続く空

          「ヴィティ!!」  蒼仁の悲痛な声が響いた。 「無茶だ、ヴィティは霊狼じゃない! 動物霊と戦う力は持っていないのに!」  それでも飛び出さずにはいられなかった彼女と、今まさに飛び出さんとする蒼仁の衝動がシンクロする。  ヴィティも助けずにはいられなかったのだ。  ウィンズレイとは、血の繋がりどころか同じ群れの仲間でもなかったはず。  それでも、同じ狼王に関わる者として。たった一頭で脅威に立ち向かう気高い同族に、力を貸さずにはいられなかったのだろう。  ヴィティの驚く

          『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第29話 「煌界」へと続く空

          『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第28話 イヌイット料理と流氷の幻影

           イヌイットの女性は、自分の名前を「シルミク・アパク」と名乗った。  彼女の集落へはすぐに着いた。霧に包まれて荒涼とした海岸沿いに、一階建てと二階建てのこじんまりとした家屋が建ち並んでいる。 「先住民族」の集落だからといって、さすがに皮張りのテントが並んでいるということはなかったが、ほんの数十年前までは本当にテントばかりだったらしい。  霧が達月の太陽を遮っているのに、なぜか集落全体がほんのりと明るいのが不思議だった。この霧は、「闇のオーロラ」さえも地上へ届かないようにし

          『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第28話 イヌイット料理と流氷の幻影

          『空飛ぶたまごと異世界ピアノオルガン♬アンサンブル』 第24話 愛しきものに捧げるコンチェルト(1)

          「やっぱノータイは楽でいいなー」  鏡を見ながら、ベストのボタンの締め具合を確認している音兄。  今日の音兄の服装は、黒シャツにダークグレーのベストとスラックス。シャツの首元のボタンは外したままだ。  黒系の引き締まった色がよく似合う。シュッと細身に見えるけど、演奏に必要な筋肉がちゃんと付いている。ピアノのために鍛え抜かれた身体は、男らしさとしなやかな色気を兼ね備えている。我が兄ながら、やっぱりいい男なのだ。 「タイってあんまり好きじゃないんだよね。付けさせられてる感が

          『空飛ぶたまごと異世界ピアノオルガン♬アンサンブル』 第24話 愛しきものに捧げるコンチェルト(1)

          『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第27話 霧の向こうの集落へ

          「なー、あれなんや? 太陽がぎょうさんあるように見えるんやけど」  走るそりの上で、達月がのん気な声を上げる。 「ひとつはほんまもんの太陽で、もひとつはワイが投げた『光架』の太陽。それ以外に、ちっこい光がいくつか見えるんや」 「ああ、あれは『幻日』ですねえ」  達月の襟元から、ハムがひょこっと顔を出した。 「太陽光が、氷の結晶で屈折して見える現象ですよ。太陽の左右に小さな光が現れるんです。今日は凄いですね。本物の太陽と達月くんの太陽、両方にそれぞれ幻日ができてますよ

          『煌(ひかり)の天空〜蒼の召喚少年と白きヴァルファンス』 第27話 霧の向こうの集落へ