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3行日記 #180(畑仕事、脱輪、鯖江の家)

五月四日(土)、晴れ

午前、実家の畑仕事を手伝う。畑には、にんにく、じゃがいも、ミニトマト、ブロッコリー、モロヘイヤ、つるむらさき、などが植えられていた。まずは、じゃがいもの苗に土をかぶせた。畝の斜面の端にある乾いた砂をスコップですくって、苗の根本にかける。次に、にんにくの畝の草むしり。普段は草としてなんとなくしか見ていなかったことに気づく。意識しながら向き合うと、草の種類などがわかるようになってくる。きれいにしたあと、苗の間に白い粒の肥料をまいた。最後は蔦状の草を刈った。広い範囲にひろがっていて、水仙の葉っぱにびっしりと絡みついていたのを、ていねいに外した。

余った米で梅のおにぎりを握って、父の車に乗ってうるしの里のイベントへ向かった。お父さんは鯖江に車で向かうのがかなり久しぶりらしかった。途中、マッスルセンター(パワーセンター)の近くを通る。裏道を走っていて、昔の記憶が刺激された。まだ父方の祖母が鯖江に入院しているときによく、この裏道を通って見舞いに行った。あるとき、路肩の溝に車輪が落ちてしまったことがあった。助けを呼ばなければと焦っていたところ、通りかかった車の運転手が助けてくれた。たまたま路肩に転がっていた丸太を車輪の下に挟み込んで、脱輪したタイヤを路面に戻した。不安だったから強く記憶に刻まれていたのだろうか。うるしの里に到着。漆の箸と柿渋を塗ったまな板、漆器の汁椀を買った。まちのなかを歩いていると、自転車にのった小学生が、こんにちは! と勢いよくあいさつしてくれた。

昼、おろし蕎麦、梅おにぎり。父は当初、蕎麦屋で持参したおにぎりを食べようとしていたが、さすがに言い出すのをやめたようだった。となりの雑貨屋に入り、にんにくを保存するためのネットと鯖のTシャツを買った。

午後、うるしの里をあとにして、和紙の神社に移動した。本殿の装飾がめちゃめちゃ細かった。灯籠の穴に和紙が貼られていた。参道に飛騨高山のサルボボのような人形が吊り下がっていた。和紙のつかみ取りをやっていた。帰りに、一時期住んでいた家の跡地に行ってみた。土地を売ったあとに整地され、昔の面影はなくなっていたが、近くを流れる川と堤防の風景は懐かしく感じた。来れてよかった。

夜、中華料理。昨日、駅から実家に父親が運転する車で向かうときに、明日の晩はここに行くからね、と父に言われ窓から覗くと、営業しているのかいないのか怪しい店が見えた。歴史のある町中華といったたたずまいだが、ガラスの扉は固く閉ざされ、もう何年も開けられていないように見えた。思い切ったところに決めたな、と珍しく思った。だがそれは勘違いで、現在はその店から少し離れた場所に新しい店を建てて移動していた。牛肉と野菜の炒め物のなかにあった、小さなじゃがいもがおいしかった。

帰宅後におばあちゃんにご飯をあげた。のどに詰まらせて咳き込むことがあるので、どのくらいの量まで大丈夫なのか心配だったが、よく食べた。梅干しと磯じまんをいれたお粥に、ごま豆腐、温泉卵、とろみをつけたお茶。お粥、お茶、豆腐、お茶、温泉卵、お茶。お茶を挟んで交互に。

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