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身内と仕事は長くもたない話。

やぁ、いらっしゃい。今日も元気そうだね。

マスクをつける人が随分減ったね。
夏場暑かったのに、つけてる人も結構いたし逆に倒れそう。

冬場はもともとつける機会が多いけど、暑いのにつけるのは疲れるね。
つけるつけない論争に交じるつもりはないけど、無理しない方がいいよ。

乗っかり高騰か知らないけど、コロナ前よりマスク高くなった気もするし。

花き(花卉)業界。


お花屋さん。と聞くとどんなお花屋さんを想像するだろう。

花き(花卉)業界というらしいけど、観賞用になるような美しい花をつける植物の総称。

切り花、鉢花、観葉植物、盆栽や植木等も含み、その市場規模は約1兆円と非常に大きな経済規模を持っている。

内訳でいうと法人需要(ウェディングや葬式用等)が約7割、個人需要(小売)が約3割を占める。

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単純にプレゼント用、店舗内の装飾用と利用シーンは多い。中には企業のエントランスにサブスクで定期交換をしているものもある。

まだまだIT化の追いついていない業界だけど、それでも花がもたらす空間演出はその市場が物語っている。

花が好きという人もいれば、興味ないという人も多い。
でも、そこにそっと置かれているだけで空気が変わる。そんな力があるお花。

今日はそんなお花にまつわる小さなお花屋さんのお話だよ。

ちいさなお花屋さん。


M氏はとある街角にあるお花屋さんの女性オーナー。

元々学生時代の友人で、社会人になってから会うこともなかったけど、ある時の当時の共通の友人Cをきっかけに話す機会があり、時々会うことがある。

元々はメーカーのテレオペをしていたけど、数年務めた上で自己のキャリアアップに疑念を抱き悶々としていたところでくすぶっていた。

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そんな折、私と話す機会が訪れる。

既に自分で仕事をしていた私に根掘り葉掘り聞かれたのは記憶に新しい。

M氏の母親は花屋の店員さんをして長い。20年以上かな。
そこのオーナーさんもいい年ということで、引退を考えている。

引き払って退店するか。誰かに引き継げないか。
長くやってきただけに軽々に人に譲るというのも難しい。

M氏は母親に、自分がオーナーになって経営することを相談していた。

母親としては、複雑な思いもあるだろうけど、長らくやってきたお店。顧客基盤も仕入れ関係も熟知している。年齢的にも娘がオーナーであれば悪くない。

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そしてM氏もまだ学生の頃に何度か、店に行ったこともあるということで当時のオーナーとしても譲渡先としては、悪くない相手という話。

花の知識や経験は何とか育てていくとして、後継者不足という最大の難関をクリア出来るというメリット面は大きい。

私に相談されたとて、現実的に難しいんじゃ…とアドバイスをしたとしても、やりたいという思いを突き通そうとする力の方が強いことは知っている。

それならばと資金繰りの為の融資先、仕入れ配達用の車両など紹介することで背中を押すに留めておいた。

これが大体5年ほど前の話。
かくして小さなお花屋さんのリニューアルオープンが行われた。

足を運ばせる。


M氏は経営者として、全くの素人だ。

スポーツ系だった学生時代のスタイルはそのまま、整った容姿もしている。

社交的で人見知りのないタイプで優しい性格だ。
業界知識はなくても、これから知っていけばいい。熟知した母親もいる。

素人目にお客さんに好かれるし、サポートさえあれば何とかなるかも。と、距離を置いて観察していた。私もどうなるか楽しみにしていたね。

ノリで始めたと思われても仕方ない花屋活動は、SNSで拡散され地元の人たちや友人関係の一部も巻き込んでオープニングイベントは大盛況に終わる。

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M氏のお店は、駅から徒歩2分。

一見、立地良く見えるがやや郊外であることと、マイナー駅という事が難点。近隣住民に知られる事は当然に必要だが、それなりに遠くの人にも来てもらいたい。

ローカルってこともあって、ライバル店もいない。
小売向けオーダーブーケや、作り置きですぐ買って帰られる花束。園芸向けの植物など色々出来ることをする。

それなりにお客さんの層も固まってきて、お店向けの配達。行事ごとの予約。等々、業界の流れを知りながらM氏のお店は活躍した。

恋をする。


花屋の朝は早い。仕入れは専用の市場があり早い段階で買い付けが行われる。そこにはあらゆるジャンルの花きが並べられ、花屋の傾向もラインナップで変わってくる。

目当てのものを仕入れておきたいと考える同業も多いので、やはり後悔をしないよう朝の4時には車を走らせる。

山間ということもあり、冬場はとても寒くただ好きなだけではやってられない厳しい仕事。

室内にいることが多い私としては、よく絶句させられた。

また、週に何度も足を運んでいれば、同業と仲良くなることもある。
その中で、M氏は恋に落ちることになる。

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度々、恋愛も含んだ相談が行われる。私と共通の友人Cはやれやれと言った感じで話を聞く。

まぁ、恋愛はいいよ。ただM氏、結構先まで考えてるのが引っかかる。
結婚し、子供を産んで、家も買う。

何だかんだ相手さんとは付き合っているようで、相談というより未来予想図の共有という感じなのだろう。店、どうするんだろと思いつつ。歳月は経っていった。

大体、2年くらい前の話かな。

超激突。


M氏の母親は徹底反対。
まだ、店を開けて3年というのに先々どうするつもりなんだと。

ごもっともなご意見。
とは言え、M氏も経営者とプライベートは別物。ちゃんと両立もするという強烈な意思を譲ることはない。

お互い、妥協点を見つけ出すこともなく、M氏は結婚、出産、家まで新築していた。

旦那さんが割とうまくいっている花屋家系ということで、淡々と未来予想図は叶えられていった。

さすがに出産期にまで店にも立てず、仕入れ等は旦那さんが自店舗とM氏の店を両立し、空いた店舗には助っ人を出す。

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M氏の母も不満とは言え、状況が状況。店には積極的に立つし、協力もする。ただ、母娘の関係はもう酷いものだ。

M氏復帰後にお店に行ってみたらお互いニコニコしているが、その怨嗟が見えるような異様な空気が時折感じられた。

母の客は母の味方。娘の客は娘の味方。表立ってぶつかり合うことこそ決してしないが、店の中でも小さく派閥の溝が生まれていく。

ただ、売上は悪くなくコロナ禍も無事乗り切れるほどにお客さんはいた。

母も孫は可愛い。娘は孫の存在を否定されたと考える。
出産前の苛烈な争いと、出産後の冷戦は、決断の引き金を引くことになる。

これから。


2023年8月末をもってM氏の店は閉店。

母親と働くことに心身共に疲れたM氏は涙ながら決断する。
母もまた、最後まで自分の城と考えてきた店の閉店には怒りを持つ。

お互い店のことは好き。これからまだまだ働いていくつもりだった。
相容れぬ思いは1つの船に収まらず、お互い新たな道を歩みだす。

閉店前に引き継げる人は居ないかということで、色々当たって紹介する。
その中には当てはまらなかったが、そこから先の人脈から候補者が手を挙げる。

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幸い、そのまま居抜き。花用の業務用冷蔵庫、什器などを買い上げる形で撤退費を上回る譲渡金を受けとる事ができ、M氏は比較的好条件で売り抜ける。

そのまま店舗引き継ぎという形で、M氏母も引き続きパートタイムとして、働けることを約束してもらう。結果母は三代に仕える重臣として店に立つ。これはまた別の話。

M氏にはまだ、店舗開業時の返済が残る。旦那さんと協力しながら自らもパートとして働いていくことだろう。子供もまだまだ小さい。保育園に預け親として二人で協力していく。

苦労の楽しみもこれから沢山出てくる。
今は様子を見ながら、平和に過ぎることを見守るばかり。

あ、いつもよりだいぶ長くなっちゃった。ごめんね。

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ここまで見てくれてありがとう。

楽しんでもらえたら最高です。
いつも来てくれることの感謝を禁じえない今日この頃。

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それでは、また。

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