スナック・ライ。
やぁ、いらっしゃい。今日も来てくれてありがとね。
やたらに夜遅くなる日、そして朝が早い日。
まぁそんなこともあるよ。
ただ、この2つが交わる時が極稀にある。
その次の日は地獄さ。朝起きる所から勝負は始まってる。
頑張るかどうかじゃない、起きれるかどうか。
ダブルワーク。
「副業をしている」という人は、概ね20%くらいだという。
割合で言うとコロナ禍から比べやや減少傾向。
経済的事情や社会情勢を鑑みると、将来はおろか、現状すら不安で仕方ないという意見も少なくない。
だからこそ、本業のお仕事に加え別のお仕事でも収入を得る。
多くの理由は生活費を稼ぐ為。
女性の副業となると、更に割合は上がる。
年齢を更に絞ればより上がることだろう。
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誰しも、月々かかる支出に対し、
満足のいく収入は得られているという訳ではない。
副業の自由は法律でも守られている。
とは言え、多少の緩和はされているものの、
多くの企業が好ましいと考えるものでもない。
正社員として働いているのに、違う仕事をすることでパフォーマンスが落ちるなんて許されない。
だったら、もう少し給料あげてよとも言いたくなるが、そこは難しい話。
結果、彼女らは無言で副業に専念することになる。
今回はそんなダブルワークを頑張るお話だよ。
上京しました。
Y氏はとある地方から上京してきた20代女性。
地元はかなりの農村地区で、住民は大体兼業農家。
ある種、本業と農家を切り分けて生計を立てている副業のメッカとも言えなくもない。
親が地元の食品製造企業を運営しているということで、Y氏はそれなりに経済的不満を持つことなく育った。
ただ、3姉妹の長女で将来は会社の跡継ぎとして、父から期待の圧を若い頃から受け続けてきたY氏はその生活に息苦しさを感じながら育つ。
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そして、田舎ではありがちなプライベートのなさ。
ちょっと買い物をしようものなら、「◯◯さんの長女の子があの店で買い物をしていたよ」なんて、井戸端会議のトピックの一つに上げられるほど、話題のないネットワーク。
進むテクノロジーのおかげで、スマホ世代として情報を得続けていたY氏はその環境の異様さに辟易することになる。
その後、逃げ出すように上京。
話はそこから始まる。
大手企業。
運良く、しっかりした企業に採用されたY氏は単独で田舎を後にする。
職場はバリバリの大都会の一角。
家賃の兼ね合いで、やや都会から離れた市内のマンションを借り、ひっそりと引っ越していく。
東京よりの田舎から引っ越した先は、関西圏の大都会。
この話は親にはしておらず、東京にいるものと錯誤している。
Y氏は親と仲が悪い訳では無い。
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ただ、父の会社を継ぐレールが完全に敷かれているという事実を受け入れることが出来なかった。
私の人生は何なのか。
そう考えた結論が家を飛び出す形となる。
逃げるようと言われようと構わない。彼女は現状打破に必死だった。
職場の仕事は事務関連業務を担うが、それはあくまで一部の話。
大手商業施設に入居しているテナント向けに、SNS用の運用代行などを行うこともまた彼女のワークの一つに組み込まれる。
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細かくマーケティング分類されたセグメント。
文言一つ一つに対するコンプライアンスのクロスチェック。
迫る納期、更に重なる次以降の予定。
業務中は息がつまるような空気感で窮屈なものだそう。
そして上司の女性もまた、キャリアウーマン思考を絵に書いたようなタイプ。
同性の新人若手、そして中途採用のY氏には心なしか当たりがきつく感じられた。
就職してから、半年。
満足のいく給料とは言えず、心労と不安が積み上がる。
現代社会にありがちなワーキングプアと言ったところか。
手に職。
Y氏には夢がある。大きなものではなくとも、自分の会社を自分で作る。
その為には自身にスキルがないことには始まらない。
その中で彼女が惹かれたのがアプリ制作。自作でもアプリが当たれば多くの人の手にわたり、課金収入や広告収入が期待できる比較的新しいビジネスモデルのひとつ。
粗削りで青さの残る発想であることは否定出来ないが、彼女は行動力に長けている。
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アプリ教材を購入し、サポートを受けながら勉強する。
聡明なY氏は早い段階で基礎の技術を習得する事ができた。
とは言え、基礎は基礎。
最低限のものは出来たが、アプリ界といえばそれはもうレッド中のレッドオーシャン。ちょっとした代物じゃ見向きもされないのは仕方ない。
出来る出来ないで、出来るの一歩を踏み出したY氏。
とにもかくにも形に残るものが出来るようになるのは素晴らしい。
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ただ、その代償も小さくはない。
教材とサポートをクレジット購入。重なる固定費。
本業の収入だけではやっていられない。
将来の開業も含めて考えると尚更このままじゃ前進なんて状況にならない。
Y氏は副業を決意する。
スナックキャスト。
教養があり、社交的、容姿もよいY氏は本業の退社後に働ける水商売を選択。
選んだ住居が完全な都会でなく、やや離れた市内ということが功を奏し、都会と逆側の郊外都市のスナックを選択する。
コロナ禍の傷跡で、キャストの大量ロストをしてしまった小規模スナックは少なくない。
とにかくキャストを囲って、お客さんに来させる店にしよう。と気概のある店に応募する。そういう店は表示時給も高く、面接に来た女性を選ぶ事ができる。
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無事、採用されたY氏の時給は3,000円。
キャバクラではなく、スナックで3,000円は高額だ。
それだけ、高額なお客さんの相手だって必要になる。
ボトルを開けて、罰ゲーム一気など狂気のゲームが始まる団体などが接客相手となると、下手をすれば相当飲まされることになりかねない。
ボトルを開ければ売上は上がる。
時給がかかっているキャストは必死にボトル消費を促すよう、狂気のゲームに拍車がかかる。
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リミットいっぱい、やばいキャストが出てきたらママが仕切る。
ゲームの強制終了さ。
お客さんはいいが、キャストまで馬鹿なノリに巻き込まれて潰されてはたまらない。
お客さんの限界は超えさせ、キャストはスレスレまで耐える。
タフなバトルゲームって話。
Y氏も度々、酒臭いまま翌日出勤なんてこともある。
そりゃ本業の会社も副業を嫌がるってもんだよ。
これから。
高い時給の担保は、出勤をある程度で留めるから可能な芸当。
週に2~3日。
月収にして7~8万円をコンスタントに稼ぐということで、Y氏はたくましくやっている。酒を一滴も飲まない日はラッキー。セクハラがなければ更に良し。
目標額に届けば、夜職は辞めて一本に絞る。
それも期間を決めて、低空飛行からでも自分で開業する。
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ストイックな姿勢のY氏は、スピード感をもって進み続ける。
時間が有限であることの焦りもあるのかも知れない、冷静に頃合いをみてうまく起動に乗せられることを願うばかり。
地元のプライベートのなさや、ご両親。特に父親の影響による環境で恋も長続きしないようなY氏。
色々羽を伸ばしても良いんじゃないかと思うほど、都会は自由。そして残酷なものさ。
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