『安土往還記』イタリア人船員の「私」が語る信長と、辻邦生が安土城に見ようとしたもの
発行年/1968年
『安土往還記』は辻邦生さんの三作目の長編です。
その昔、村上龍氏は二作目にあたる『海の向こうで戦争が始まる』のあとがきで、友人のナントカいう人物(名前は忘れました)に、二作目に当たる作品を書いたよ、といったら、処女作は云々で(そこも忘れました)、二作目はその勢いで書ける、作家としての技量が本当に見定められるのは三作目だ、といったようなことを言われてくさった、というようなことを書かれていました。
その意味では、本作は辻邦生さんの作品の中でも作家としての立ち位