マーケティングタウントレースを受講して、自分の仕事を知って貰いたくなった

第3期Nサロンには「マーケティングタウントレース」と言う講座がありました。2020年6月6日土曜日に開催されました。もうかなり前。。。。

これはマーケティングタウンと言う企業研修に用いられるボードゲームと、マーケティングトレースと言う企業の戦略を再分析するマーケターの筋トレを組み合わせている講座でした。

前半がマーケティングタウン(経営の実践)、後半がマーケティングトレース(会社戦略の俯瞰)をする構成になっています。

マーケティングタウンでは、経営ってのを擬似体験ができるこのボードゲームで5人1組で出店、プロモーション、セールス、バイヤー、リサーチの役割に分かれて、それぞれの役割を果しつつ、営業利益を最大化するのが目的のゲームでした。

そしてマーケティングトレースでは、食パンの乃が美のマーケティングトレースのワークを通じて、どのような戦略を用いているのかを特に4Pでの分析と重点顧客、業界のポジショニング、成功要因の整理、そして自分だったら次にどのような打ち手をするのかといったことを学びました。

今回の講義を受けていて、今している仕事のことをちょっと皆さんに知って貰いたいなぁと思いnoteを書くことにしました。なぜならば、なんか今回やったことと私のやっている仕事が結構違うからってことと、私が関わる製薬業界のことを知って貰いたいなぁって思ったのが発端です。

<その前に前提情報として今の会社と仕事について>

私は仕事で主に製薬企業向けの仕事をしています。私が現在働いている英国企業 Evaluate は製薬企業向けのデータベースを持っています。

Evaluateの日本Twitterのプロフィールに業務の概要をこう書いています。

医薬品・医療機器企業向けに開発状況や疫学などの基礎情報に加えて、戦略策定や事業性評価に必要な価値の高いビジネス分析(マーケット情報や売上予測、NPV、成功確率や開発コストなど)を提供しています。

そして私はこの会社の中の Custom Solutions と言うチームにいて、Senior Custom Solitions Manager という仰々しい肩書を頂いています。

何をしているかと言うと、当社が持つデータベースのデータを様々に組み合わせたり、必要に応じて外部のデータを取得・整理したりとお客様のニーズに合わせてカスタムメードのデータ提供やレポート作成サービスを提供しています。

<製薬業界向けの仕事と一口に言っても>

製薬業界での企業分析と言った場合には様々な切り口があります。

まず、大前提として医薬品の開発(いわゆる治験)では以下のような流れで進みます。
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/04/dl/s0421-4c_0002.pdfより

画像1

そして製薬企業が他の業界と明らかに違う点は、臨床試験は各国の規制当局(日本であえればPMDA、米国であればFDA)から治験許可を得ないと進めることができません。許可がでると公表されるため、各企業が「どんな物質」「どんな疾患を対象」とした「どの開発段階の臨床試験」を進めているのかを発売前に知ることができるのが明らかに違う点です。

そのため私たちは、例えば車やスマホなどの開発状況などよりも、もっと早くから医薬品の開発状況を知ることができます。

また、医薬品の価格(薬価)は、国が決めたルール(日本を例に出します)に則り決めることになっています。

日本では、医薬品医療機器等法に基づいて承認を得た(=有効性と安全性が確認された)医療用医薬品薬は、ほぼすべて公的医療保険の適用となります。保険が適用されるためには、薬価を決めて薬価基準に収載されなければなりません。
(薬価の)算定原案は、有識者で構成する薬価算定組織で検討され、ここで薬価の算定案を決めて製薬企業に通知。企業側もこれに不服がない場合は、厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)に報告し、了承されれば晴れて薬価収載となります。

詳細は以下のサイトがとても良くまとまっていてわかりやすいので、ご興味があればどうぞ(ちょっとマニアックだとは思いますが。。。)

<さて企業分析する分析軸って?>

ちょっと横道にそれましたが、企業分析をするときに先ほどの例で言うと、「どんな物質」
「どんな疾患を対象」

「どの開発段階の臨床試験」
と言う3つの軸があったと思います。この3つだけ見ても実はかなりの情報量をその中に含んでいます。どのような分析の軸がその中にあるかを紹介してみたいと思います。

<物質について>
・どんな種類の技術が使われているか?
(低分子医薬品、抗体医薬品、細胞治療薬、遺伝子治療薬など)
・医薬品としての作用メカニズム(作用機序)は?(新しいの?)
・どのような投与経路か?(飲み薬、注射剤、塗り薬や湿布など)
・関連特許の状況は?(いつ特許切れるの?ジェネリックの参入は?)
などなど
<対象疾患について>
・患者数などの疫学情報は?(多いの少ないの?増えてるの?国別には?)
・他社の開発状況や承認済み医薬品数(競合の状況は?参入できそう?)
<臨床試験の開発段階について>
・Phase1~3、申請、承認、上市のどれか?(競合の状況は?国別には?)
・次のステップ移行する確率は?(投資回収は?)
・開発の負荷は?(費用は?患者数は?開発期間は?)

とかなりざっくりと書きましたが、色々とあるのが少しはお分かり頂けましたでしょうか?

ちょっと例示もしておきます。

ケース<どの疾患にしようか問題?>
人間で医薬品の効果を調べる臨床試験を開始する前には、ほぼすべての製薬企業がこれってビジネスになるの?ってのを調べます。いわゆる市場調査ってやつです。たとば、医薬品の候補の対象疾患を決定する際に、候補対象疾患についての大雑把にいうと以下のような軸で調査します。

 市場規模:患者数、売上規模、今後の成長とか
 競合状況:参入企業数、販売中の医薬品、開発中の医薬品とか

そうした視点で、候補となる疾患A、B、Cのデータを集めて、その数字を疾患別(縦)に並べた表を作ると、以下のようになります。

画像2

この表で疾患A、B、Cを見比べてみるとこんなことが分かります。

<疾患A>
患者数は多く、現状の売上規模は他の疾患を圧倒しているものの、今後売上規模は減少し、他の疾患を下回ることが見込まれている。また、現在上市済み医薬品に比べると開発中の医薬品数が少なく、成熟した疾患であることが伺える。
<疾患B>
患者数も現状の売上規模も疾患Aの半分であるが、売上規模は若干増加することが見込まれている。上市済み製品と開発中の製品の数は同等であるが、P3(後期試験)に4製品が入っており、今後この疾患における競争は激化することが予想される。
<疾患C>
患者数は疾患Bと同じ規模で現状の売上規模は一番小さいものの、今後売上規模は3疾患中最大となることが見込まれている。上市済み医薬品が少ない疾患で、3社が3製品の開発を進めているがまだP2が1製品とまだ混み合ってはない。

凄く選びやすい事例にしたのであれなんですが、疾患Aはもう成長しきっているし、疾患Bは激戦すぎる。一方疾患Cはまだ参入もそれほどではなくて、一番進んでいるのがP2なので頑張れば二番手になれるかもしれない。

そこで疾患Cで開発されている医薬品を詳しく調べてみると・・・
という流れになります。

他にも、色々な調査があるのですが、今日は例を出しておいて終わります。
興味がある人がいれば書いてみたいと思いますのでリクエスト下さい。

・企業活動の生産性・投資効率の比較
・潜在的なアライアンスパートナーの特定
・市場のマクロトレンド予想
・競合分析調査
・製品別の売上予測モデル
・疾患領域別の市場性調査
などなど

本当は色々な人がどんな仕事をしているのかってのを詳しくしる機会が欲しいなって思うんですよね。こればっかりは時間がかかりますが、そうしたおはなしに触れられると本当に楽しいんですよね~。


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