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わんこを育てて19年。

犬は子供の頃から飼っていた。厳密には、動物好きな父がどこからか貰ってきたのか、買ったきたんだと思うが、兎に角、うちには犬が定期的にいて、で、実際に餌を上げたりのお世話は母がしていた。散歩は、家族の誰かが近所をちょろっと歩く程度。それも面倒な時は、「ほら、散歩行ってこい。」と、自由を満喫させていた。当然、外で犬小屋に住んでいた。きっと、昭和の時代はどこも似た様な飼い方だったと思う。

当時は、ドッグトレーニングなんて言葉はなかったし、躾と称して、叩いたりもする飼い主も普通にいた。
散歩中、リーシュがアクシデントで離れて自由になると、ここぞとばかりに犬は逃げた。呼んでも来ないし、追いかけると、チラ見して、逃げる。それが犬って生き物ぐらいに思っていた。

だけど、海外(カナダとアメリカ)に住むようになって驚いた。多くの犬がリーシュをしていなくても、常に飼い主の側にいるのだ。公園のベンチで本を読む飼い主の足元で、幸せそうな面持ちで寄り添っている犬たちを見て、日本の犬との違いはなんだ?と思った。そして、ここでは犬は家畜ではなく、家族の位置付けで、だからこそ、子供が学校に行く様に、犬にもドッグトレーニングをするのが当たり前なんだと知った。

人間も教えてもらうから読み書きや計算が出来るようになる訳で、教えてもらうチャンスも与えられないのに、「こんなことも分からないのか、バーカ。」とか言われるのは、非常に理不尽ってものである。犬も一緒だったのだ。ちゃんと人間社会ではこうするのが良いんだよって教えることで、犬も人間ももっと分かり合え、幸せに暮らせるのだ。

これが私のドッグトレーニングに興味を持った始まりだ。

そんなこともあり、約20年前、NY一人暮らしの時に飼った犬・ロングヘアーチワワのミルキーには、パーソナルトレーナーをつけて、パピートレーニングからスタートし、服従トレーニングを受講した。更に、最終的には、アメリカンケンネル協会の、Canine Good Citizen(優良市民犬)テストを受け、合格し、認定証をゲットした。ミルキーが誇りに思うか抜きにして、私は満足していた。

そのミルキーが13歳と10ヶ月で、天に召された後、レスキュー団体からアダプトしたシニア犬のコーディのことも、最初はそのやり方に基づいて、トレーニングをしようと試みた。

散歩の際、「Left(左側について)」のコマンドで、自分の左側にリーシュを使い、コーディを寄せて、真っ直ぐ歩くことから始めた。散歩から上下関係を教える方法でもある。でも、コーディ、全然、言うことを聞かない。リーシュで、寄せようとすればするほど、コーディも逆に引っ張り、お互い、イライラ・ピリピリで非常に疲れる散歩になった。家でのオシッコパッドでのトレーニングも上手くいかない。やはり、歳を取った犬はもう癖がついていて、新しく学ぶってことがないのかな、と思ったが、そこですぐに結論つけず、試行錯誤しようとするのが私である。20年前と違い、インターネットでなんでも情報検索できる時代、保護犬をアダプトして育てている人達の知識や情報もネットで探せばたくさんあるはずだ。

そこで見つけたのが、この本、「犬のエネルギーを読む」だ。

【アメリカの動物救済活動で効果をあげた犬とのコミュニケーション術】
アメリカのシェルター(保健所)にはトラウマや人が問題行動と呼ぶ行動を抱える犬達がたくさん収容されていました。収容動物の保護活動をしていく中で出会った、動物スピリチュアリズムを伝えるチャネラー、ぬいぐるみクマぴんく。「問題行動は犬達からの愛のメッセージ」そう語るぴんくが提案するのは、エネルギーによる犬とのコミュニケーション。犬達の心身の自然治癒力を信じるコミュニケーション術は、犬や人にも負担のない穏やかな方法で、自然と犬達が問題行動を手放し、そして人は犬を通じて自分自身や人生とも向き合っていくようになると言うけれど、その効果は・・・?

頭を金槌で打たれた様な衝撃を受けた。
正しいと思っていたドッグトレーニング方法を根本から覆された様な具合である。えー、オーナーは犬の群れのリーダーであるべきじゃないの?上下関係を認識させること(服従)が重要で、それで犬との関係が上手くいくんじゃないの??

だが、この本を読んで、実践してみると、みるみるうちにコーディとの関係が良くなっていったのだ。お散歩は、気がつけば、ちゃんと、リーシュを引っ張ることなく歩く様になり、お互いストレスフリー。オシッコパッドも特に躾ることなく、自らパッドでする様になった。

昔、あんなに頑張ってやったドッグトレーニングは間違っていたのか?

そうかもしれない。犬は上下関係や服従なんて望んでいない様だ。望んでいるのは、どうやら相互理解。犬の気持ち(オーラ)を読み取ることで、犬は、”このヒト、分かってくれる。スキー💖”となり、本来、サービス精神が旺盛な故、飼い主のコマンドに従うのが嫌じゃなくなるようだ。

因みに、現在のドッグトレーニングは、ポジティブ方法が主流である。服従と言うより、飼い主と良好な関係を築くトレーニングと言えるのかもしれない。”叱らずに褒めまくる=ポジティブ”方法が有効ですよーって言われているのだ。
そう言えば、子供の育て方も同じ様な流れじゃない?家でも学校でも叱ることは減り、「うちは友達親子なんですー」って発言する親子が出現してたりね。(それが良い悪いはさておき)

で、犬に話を戻すと、去年から”くるみ”(詳しくは「保護犬くるみと私の物語」をご参照下さい。)をアダプトしたのですが、ドッグトレーニングは、20年前に学んだドッグトレーニングも活用しています。叱るときは叱っています。
仔犬は犬生経験の深かったコーディと違い、全く何もわかっていません。善悪の区別など繰り返し教えてあげないといけません。きっと、人間の子供も同じかな?自由意志(本能)に任せると大変なことになります(笑)。吠え続ける、家のものを破壊する、嫌なことをされると噛むなどね。

ただ、飼い主がリーダーという上下(服従)関係ではなく、母犬が仔犬に教えるという関係に近い感じで、ダメなものはダメ!と繰り返し注意しています。「犬を従わせたい。」と言うより、「この子がこの社会で幸せに生きて欲しいから必要なの。分かってね。」という気持ち(愛情)を言葉にのせて伝えています。

ミルキー、コーディ、そして、くるみと犬を育てて(飼って)、気がつけば19年。この19年で、誰が一番、育ったかな、と考えると実は自分だったりして。(笑)











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