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アイスの棒

年末にジャスコじゃなくてイオンに
とんちゃんのハゲぐすり(本人命名の育毛剤)を買いにいった。

つい、うっかりジャスコっていいそうになってとんちゃんに突っ込まれるから
ちょっと詰まって「イッ、イオン‼︎」って
いう。

ついでにお雑煮用の鶏肉をえらんでいたら
「そういえば、福袋ハーゲンダッツが売り出されるって記事みたんだけどあるかな」って
とんちゃん。

「ハーゲンダッツの福袋だなんて
夢のようだね〜」と
その時点で買う気満々で
お互いニヤリとするなり、
ツルツルな床を小走りに走る。

スケートリンクみたいなイオンは
無駄に広い。

ほの青白いガラス扉ゾーンを抜けて
福袋をさがす。

でも、どんなのか
さっぱり、正解がわからないなーと思う。

「あったよ」
いつのまにか消えたとんちゃんが
ヒョイっとやってきた。

眼鏡の奥のまなこがキラキラしてる。
とんちゃんが食べもの、
とくにアルフォートと唐揚げの時は
こうなる。わかりやすい。

福袋は特設コーナーにあった。
オメデタイ福袋仕様の巾着袋は、
黄色いテープでしっかり止まってて
中身はわからない。

どこかに書いてないかなと
キョロキョロ見回したら
上のボードに書いてあった。
どうやらどれも同じフレイバーの
バラエティカップと
クリスピーサンドとバーが
入っているらしい。

この1年程で、
童謡のサッちゃん並みに
バナナもアイスも半分でギブ。
1カップはとてもムリ。

それでも「食後のアイスは別腹」
うん、やっぱり別腹。

一日目の別腹は、クリスピー。
一回りちんまりなクリスピーの
真ん中をナイフでザクッといく。
最中の皮(クリスピー)が割れる事なく
綺麗に真っ二つになった。

喉が痛いくらいキャラメルが激甘で
濃ゆさから半分で充分だった。
クリスピーは、森永チョコジャンボモナカに
負けておらず、香ばしくて食感が楽しい。

二日目は、バー。
シーズン限定のザッハトルテ。

パッケージにある製造所は
サンタ株式会社だって。
恰幅のいい白ひげサンタが
作っている空想をして
なんだかワクワクする。

北欧フィンランドからソリに乗って
ウィーンでザッハトルテを
ピックアップしてきたみたいで
贅沢な気分になる。

バーの木の棒に当たらないように
テキトーに当たりをつけて
ナイフを立てながら集中して一気に切込む。
限定のザッハトルテは
チョココーティングが分厚くて
ナイフは、刺さったものの進まない。

チョコを割らないよう慎重に。
息が止まる。
棒に当たらず綺麗にカットできた。
ヤレヤレ「ふぅ〜」
もう、息してだいじょうぶ。

お皿にのせるとザッハトルテそのもの。
見た目にもわかるアプリコットジャムなだけに甘酸っぱさがきわ立つ。

わたしはお気に入りのかいらぎの小皿で
とんちゃんは棒のほう。
師走の夜更けにふたり無言になり齧る。

「アレ?なんかかいてある?」

「えっ、当たり?」
福袋ってそういうこと?

「ほら」
とんちゃんが差し出したアイスの棒には
かわいい顔とセリフ。
当たりではなかった。
当たりじゃなくて残念だけど、
それよりかわいい。

モノを捨てるのが苦手なわたしは、
アイスの棒もちょっと躊躇する。

モノのお役目を全うしたいけど、
わが家には、金魚もカブトムシも
いないのでお墓用に使うこともないなと
思っていた夏に
4連カップヨーグルトに
アイスの棒を刺して凍らせることにした。

それからは、あずきバーの棒を
ヨーグルト用に洗って乾かし
棒を刺したヨーグルトを凍らせる。
この再利用は、
棒の再就職にもってこいだ。

いつも早く乾くようにコンロのそばに
立てかける。
棒がならんでいる風景はたまらない。

このハーゲンダッツの棒も洗って乾かそう。

夏まではけっこう先だな。

待てそうにないなー。

使いたいな。

ホットチョコで使おうかな。

あれこれ考えながら、
棒も含めて洗い物をするじかんが好き。

ダジャレをいうかわいい棒

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