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志賀原発危機一髪継続中ーーー経団連の言いなりに再稼働はありえない 2月2日


志賀原発は廃炉するしかない 政府の言う「安全」には何の根拠もないことが露呈

NPO法人CNIC 原子力資料情報室スタッフ松久保肇氏の寄稿『今回の地震を受けて原発再稼働の危険性』は、断層の連動が想定外だったこと、志賀原発のさまざまな故障と地殻変動の激しさが示す原発の脆弱性、不可能な避難計画、政府の言う安全に何の根拠もなかったこと、原発の経済性の悪さなどさまざまな観点から志賀原発は廃炉しかないと結論づけています。

離れた断層の連動
 志賀原発の地震想定では、今回の震源域にある断層は能登半島北部沿岸域断層帯の96kmとされていました。ところが、今回の地震では約150kmに渡って複数の断層が動いたとみられています。また、日本地理学会の断層調査グループは、今回の地震でずれ動いたとされる能登半島北部沿岸に伸びる複数の活断層とは別に、南におよそ20km離れた内陸部にある富来川南岸断層が連動して動いたことを現地調査で明らかにしています。これまでこれほど離れた断層が連動して動くことは想定されていませんでした。志賀原発だけでなく、他の原発でも地震の再評価は必須と言えるでしょう

日本を救った反対運動
 能登半島には北陸電力志賀原発以外に今回の震源地のほど近くで関西電力・中部電力・北陸電力の3社が珠洲原発を計画していました(高屋地点、寺家地点)。幸いなことに地元住民とそれを支援する全国の根強い反対運動の結果、2003年に計画は撤回されています。この珠洲原発の2地点の地盤について資源エネルギー庁は1977年、珠洲市長に対して「地盤が相当固く、原発立地には別段の支障がない」との判断を伝えていました。計画地点の至近が震源地になっていたことや地盤の隆起を考えると、珠洲原発が運転していた場合、大事故に至った可能性があります。反対運動は日本を救ったと言っても過言ではありません。

下記は主に元国会事故調のメンバーで構成され、福島第一原発事故の事故原因の解明、原子力発電の危険性について調査研究している自主グループ「もっかい事故調」の無料オンラインセミナーです。

1.「原発安全審査の根本的見直しを迫る能登半島地震」
お話:石橋克彦さん(地震学者・神戸大学名誉教授)
(石橋先生より概要説明)私は、今回の能登半島地震は、日本列島全域の原発の地震安全性に根本的な警鐘を鳴らしたものだと捉えています。「震源を特定せず策定する地震動」「地震時地殻変動(特に隆起・沈降)」「深層防護の第5層」「大余震の影響」といったことを中心に、新規制基準の欠陥を考え、それを修正するだけでは国民の安全と国土の清浄は護れないことを述べたいと思います。

2.質疑応答とディスカッション: 
参加予定メンバー:小倉志郎、田中三彦、後藤政志、渡辺敦雄
         伊東良徳、上澤千尋、武本和幸、澤井正子

もっかい事故調オンラインセミナー「日本の原発の全廃を迫る能登半島地震」2024/01/25 https://cnic.jp/50487 (このページにこのNPOの活動への支援先が記載されています)

1月30日 志賀原発 変圧器の復旧時期は見通しが立たない

北陸電力は30日、能登半島地震の影響で外部から電気を受ける系統が一部使えなくなっている志賀原子力発電所の状況を説明し、原因となっている変圧器の復旧時期について、見通しが立たない状況だと明らかにしました。

石川県志賀町にある志賀原発では、外部から電気を受けるために使われる変圧器の配管が壊れて、絶縁や冷却のための油が漏れ出し、3系統5回線ある送電線のうち、1系統2回線が現在も使えなくなっています。

北陸電力は30日調査状況などを説明し、それによりますと、変圧器本体と、油の熱を放出する「放熱器」と呼ばれる設備をつなぐ太さ50センチほどの配管の接続部で、20センチほどにわたって亀裂が見つかったということです。

また、変圧器内のガスを分析したところ、内部が故障している兆候が見られたということです。

NHK 志賀原発 “変圧器の復旧時期 見通し立たない状況” 北陸電力 2024年1月30日 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240130/k10014340741000.html

 「今回、言われている150キロにわたって断層が動くなんて、北陸電も想定していなかったし、そんなことを言う学者もほとんどいなかったんじゃないでしょうか」
 「地震による揺れを予測する『強震動地震学』の進歩のためには、過去の地震の詳細なデータが必須ですが、日本で詳細なデータが取られるようになったのは、阪神・淡路大震災(1995年)以降です。20年ちょっとのデータだけで将来の地震が正確に予測できるはずがありません」

朝日新聞デジタル 「避難計画は絵に描いた餅」 志賀原発差し止め判決の元裁判長の警句

2月1日で発生1カ月となるが、一部で寸断が続く。また、原発周辺9市町の住宅被害は2万件超。屋内への一時退避も組み合わせ、30キロ圏外へ確実に逃げる計画の実効性が揺らいでいる。

 30キロ圏内の輪島市と穴水町では、道路が寸断し1月8日時点で8集落435人が孤立状態となった。避難計画は再稼働に欠かせず、原子力規制委員会の指針に基づいて自治体が作り、政府が了承する。規制委は指針見直しを検討しており、原発のある各地の自治体に議論が波及する可能性がある。

KYODO 志賀原発の避難道路、過半が寸断 能登地震で7路線、実効性揺らぐ 2024/01/30 https://nordot.app/1125033645424575315

1月17日 1日に震度7の揺れを観測した志賀町では震度6レベルの余震が続いている

1月6日 気象庁は午後11時20分ごろ、能登半島沖を震源とする地震があり、石川県志賀町で震度6弱の揺れを観測したと発表しました。しかし北陸電力志賀原子力発電所に設置されている震度計では震度2の揺れを観測した、林官房長官は「重大な影響は認められない」と発表しています。本当なのでしょうか。北陸電力は臨界事故を隠蔽した過去があります。志賀原発の現状が心配です。

能登半島地震、志賀原発については以下の記事もご参照ください

16日には志賀町で震度5弱。翌日志賀原発で試験運転中だった非常用ディーゼル発電機1台が自動停止

北陸電力は、石川県志賀町にある志賀原子力発電所で17日、試験運転中だった非常用ディーゼル発電機1台が自動停止するトラブルがあったと発表しました。志賀原発では、地震の影響で外部からの電気を受ける系統が一部使えなくなっていますが、北陸電力はほかにも複数の非常用発電機があることなどから、安全上重要な設備の電源は確保されているとしています。

北陸電力によりますと、17日午後5時すぎ、試験運転を行っていた志賀原発1号機の非常用ディーゼル発電機1台が運転開始から15分後に自動停止しました。

NHK 志賀原発 非常用発電機1台が自動停止するトラブル 試験運転中 2024年1月17日

現地は北陸電力志賀原発の北約9キロ。北陸電はこの活断層の存在を否定していたが、2021年5月に原子力規制委員会に修正を申告。活動性が否定できないとして長さ9キロの活断層としているが、調査の上で再評価を迫られる可能性もある。 チームの鈴木康弘名古屋大教授(変動地形学)は「今回のずれが何を意味するかを考えないといけない。地下を掘って断層がどんな地震を起こしてきたかを調べる必要がある」と指摘する。一般的に活断層が動くのは数千年に1回などと考えられている。だが、これとは別に他の活断層による大地震でも連動し、想定より活発に動く危険性が示されたという。

kyodo [内陸の活断層、ずれ確認 志賀原発の北9キロ、能登地震] 2024/01/16

1月15日 輪島市では1分間で4mも土地が隆起したが、岸田政権は志賀原発の被害の詳細も発表しないまま再稼働する方向を示す

 また、地震で施設にトラブルが生じた北陸電力志賀(しか)原発(石川県志賀町)の再稼働について問われ、「新規制基準に適合すると認めた場合のみ、地元の理解を得ながら再稼働を進める方針は全く変わらない」と語り、原子力規制委員会の審査を尊重する考えを改めて示した。

朝日新聞デジタル 2024年1月14日

今回の地震で、能登半島の北岸およそ90キロにわたって地盤が隆起しましたが、輪島市では1分間で4mも土地が隆起しました。志賀原発の真下でこのような現象が起こる可能性もあるわけです。岸田政権は志賀原発の被害状況の全容もわからないのに「再稼働は変わらない」とありえない発言をしました。巨大地震が多発する日本で原発の再稼働はありえません。志賀原発から数キロで起こったこの地殻変動、5分ほどの動画、ぜひご覧ください。

青木准教授:「ここまで行くと4m30~40cmというくらいでしょうか、この分が地面が隆起した部分になります。元々は色が変わったところまで海があった」
稲垣アナウンサー:「どれぐらいの速度で上がったんですか」
青木准教授:「これは地震動が起こっている間に地殻変動が起きていますので、基本的には地震が起こっていた1分間」
長期的にみると能登半島はこういう地震活動を繰り返しながら、たくさんの海岸段丘を作ってちょっとずつちょっとずつ高くなってきた土地。今回だけが特別なことなのではなくて、長い能登の自然の営みの一つを見せられているんだという理解はしないといけないですね

石川テレビ 1分間で約4m隆起か…能登半島地震での地殻変動量を大学准教授が調査 港の復興「東日本の時以上に大変」01/15(月)

 また、地震で施設にトラブルが生じた北陸電力志賀(しか)原発(石川県志賀町)の再稼働について問われ、「新規制基準に適合すると認めた場合のみ、地元の理解を得ながら再稼働を進める方針は全く変わらない」と語り、原子力規制委員会の審査を尊重する考えを改めて示した。

朝日新聞デジタル 2024年1月14日

何千年に一度の地殻変動が起こっており、今後も大地震に見舞われる可能性が高い能登半島。再稼働はありえない

被害各地で “津波”も観測され、家屋流出などの被害も起きました。

専門家の分析では、発生からおおむね1分以内に珠洲市の沿岸に津波が到達していたとみられ、珠洲市でおよそ3メートル、志賀町では4メートル以上の高さまで津波が陸地を駆け上がったことが確認されました

NHK 能登半島地震の特徴と原因は?最大震度7の揺れと津波「「津波」 志賀町で4m超遡上か」

1月10日 志賀原発前の海面で油膜を確認。変圧器から漏れた2万リットルの油の一部である可能性

油の量は6リットル程度と推定され、7日に確認された約5メートル×約10メートルの推定100ミリリットルよりも多いという。

朝日新聞デジタル 1月10日志賀原発の前の海にまた油膜 約6リットル 北陸電「反省している」

志賀原発は知られているだけでも敷地内に断層が多数ある原発

新規制基準では、重要施設の直下に活断層がないことを求めている。ずれが生じれば事故につながりかねないためで、12万~13万年前以降に活動したことが否定できなければ、再稼働できずに廃炉を迫られる。
規制委の有識者会合が「活断層と解釈するのが合理的」などと指摘。北陸電は追加データを示して否定。昨年3月になって活断層でないことが認められた。
ただ、周辺の活断層の審査は、まだ始まったばかり。これが終わらないと、原発での揺れや津波の想定も固まらない。
審査では、まさに断層の連動を検討中で、北陸電は今回の震源断層と重なる断層帯が96キロにわたって連動すると評価したものの、その東西に隣接する断層とは連動しないと説明していた。

朝日新聞デジタル 1月10日 志賀原発の断層連動、想定の96キロ超える 再稼働審査で見直しも

「令和6年能登半島地震における原子力施設等への影響及び対応」

原子力規制庁が発表した志賀原発の被災と対応を記した53pの資料です。北陸電力が発表したプレスリリース第1報~5報も掲載されています。
志賀原発の敷地内で地割れが起こり「最大35cmの沈下によって」段差が出来ている、「防潮壁の基礎が沈下し、数センチ傾いている」ことなどの写真はありますが、原子炉建屋内部の写真はありません。施設の内部はどのようになっているのでしょうか。

令和6年1月 10 日 原子力規制庁:https://www.nra.go.jp/data/000465120.pdf

令和6年能登半島地震では、令和6年1月1日(月)及び6日(土)に原子 力事業所の所在市町村である石川県志賀町において震度6弱以上が観測され警 戒事態に至ったことから、原子力規制委員会・内閣府原子力事故合同警戒本部 (以下「警戒本部」という。)を設置し、北陸電力株式会社志賀原子力発電所 (以下「志賀原子力発電所」という。)、東京電力ホールディングス株式会社柏 崎刈羽原子力発電所(以下「柏崎刈羽原子力発電所」という。)等を対象に情 報収集や関係機関への情報共有、対外的な情報発信等の対応を行った。

令和6年能登半島地震における原子力施設等への影響及び対応 1月10日

パンツ高木の父、高木元敦賀市長「原発は金になる」


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