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Kindle出版の呼び声#2、あるいは高慢なクリエイター向けの冴えたやり方、あるいは作品が燃えあがるとき

 こんにちは。黒崎江治です。前回こんな記事を書きました。

 勢いのままに綴った割には反響があり、驚いています。不遇な物書きが多いか、Kindle出版に関心を持っている人が多いか、あるいはその両方なのでしょう。

 前回記事のコメントにおいて、X(旧Twitter。以下用語はTwitter時のものを使用します。老害かな)でのプロモ広告をおすすめされました。なるほどそういうものもあるのかと思いやってみることおよそひと月。思ったよりも効果やメリットを感じたので、今回はこれについて書いてみようと思います。ちなみに大事な点として、Xプレミアムに登録しないとプロモ広告が使えません。青いマークのやつですね。ちなみに青いマークがついてるの恥ずかしいなと思って非表示にしておいたら、広告を出せなかったので、表示しておく必要があるようです。

X(Twitter)のプロモ広告とは

 通常のTweetと同じようにタイムラインに表示される広告です。ビジュアル的に広告感があまりないのが特徴。そのほか大きな特徴としてふたつ。

広告の対象を絞れる

 ターゲッティングと呼ばれています。性別、年齢層、興味のあるジャンル等々。今回の場合は小説なので、「読書垢」「読了」「本格ファンタジー」みたいなキーワードを設定すると、その語を含むTweetをしている人に対して優先的に広告を表示してくれます。アカウントを指定して、「そのアカウントをフォローしている人」をターゲットにすることもできます。私は同じジャンルの小説を書いている有名作家のアカウントや、ファンタジーをカバーしているレーベルのアカウントを指定していました。ダイエットアカウントに広告表示しても効果は薄いでしょうから、広告の効率を高めるのに役立ったと思います。

予算を任意に設定できる

 見出しのまんまです。「ゴールデンウィーク中に50,000円の広告費を投入するぞ!」もできますし、「1日あたりジュース1本分(160円)の定額制でいくか」もできます。私は後者でやってます。あんなに巨大なSNSで広告を打つなんて、べらぼうなお金がかかるに違いない、というイメージを持っていましたが、思いのほかコスパがよくて驚きました。最低額はないのでもっと安くできると思います。さすがに10円とかだと厳しいかも。

どんな広告を出したか

 こんな感じです。紹介文&画像にリンクを埋め込みました。画像は小説をnoteにアップしたときに表示させていたものなので、用意する手間はほとんどありませんでした。実際の表示はもう少し横長。

プロモ広告の効果はどんなもんか

 思っていたより大。やる前にざっと調べたときの感触では、1,000インプレッションあたりの費用が40~50円というのがだいたいの相場。つまり1,000円で20,000インプレッション。ちなみにインプレッション数のほかにクリック数やフォロー数に応じた費用を設定することもできます。

 しかし実際に広告を打ってみると、1,000円あたりのインプレッション数はおよそ1,700,000(!)でした。桁は間違っていません。170万です。なぜこんな差が生じているのかというと、RTやいいねで拡散された分については費用がいらないからです。つまり168万のインプレッションはタダ。うまくターゲッティングをしたり、文言や画像に凝ったりすれば拡散されて、コスパのよい広告ができるわけです。

 もちろん広告を見てもらうだけでなく、実際に販売ページを訪れて(そして購入して)もらうことが大事です。こちらの結果は1,000円あたりおよそ3,000クリック。100円払うと300人を販売ページに連れていける。すげえ。

 広告の最終的な結果とはすなわち売り上げであり、収支であるわけですが、一か月で広告費を6,000円かけて、売り上げがおよそ8,600円。正直広告費は回収できないだろうと思っていたので、これも驚きました。もちろん広告以外からの流入もあるでしょうし、コンテンツ自体の諸要素もありますが……。あとはレビューとかランキングとか口コミで広がるといい感じ。

プロモ広告に対する個人的な所感

だって私は高慢だから

 私はプライドが強かったり引っ込み思案だったりするので、SNSで必死に宣伝したり、ファンを囲い込んだり、相互に褒め合うようなコミュニティを作るのが嫌でした。物書きで似たようなタイプの人は多いんじゃないだろうか。偏見かな。

 その点プロモ広告は軽く外見を整えてお金を払えばいいので、ビジネスライクです。作業はちょいと煩雑ですが、私は性に合っている感じがしました。めちゃくちゃバズった投稿でも、1,000人を販売ページに連れてくるのは大変だと思うので、単純なコスパという点から考えても優秀なのでは、という印象です。

よりセンチメンタルな感想

 SNSでの投稿に対して悪い意味で注目が集まることを「炎上」と言ったり、いい意味で人気になることも「火がつく」と言ったりしますね。プロモ広告を打つことに対して、私もなんとなく「火」とか「燃やす」みたいなイメージを持ちました。広告を打つことは、コンテンツを外から火で炙ることなのではないか、と。

 燃えあがる=売れる、みたいな例え方をすると、可燃性の高い(=キャッチー、斬新な)ものはちょっと火をつければ燃えあがる。可燃性がやや低くても、持っている熱量(作品のクオリティ)が高い場合、いったん火がつけば長く大きく燃える。かなり燃えにくいものでも、滅茶苦茶強火で炙る(コマーシャルやパッケージに力を入れる)と、かりそめの人気そのものが油みたいになって、コンテンツとはあまり関係なく燃えたりする。そういう情景。

 あとこれはポジショントークめいた発言なんですが、やっぱり自分の作品を愛している場合は、それを薄暗くて冷たい場所に置いておく(誰かが発見して評価してくれるとひたすらに信じる)のではなく、日の当たる場所においたり、うまく火をつけてやったり(=宣伝)するのが、ある種の責任かなとも思いました。

 おしまい。プロモ広告に関するリンクは、途中で読者がいなくなっちゃうので貼りませんでした。狡猾ですね。

 以下宣伝。

 偉そうなことを言っている筆者を試すつもりで読んでみてください。

『蒸気機関車に竜を乗せて』

 ピーター・ポール & マリーの『パフ』を聴いたことはあるでしょうか。大人になった少年が魔法の竜のもとを離れ、竜は悲しみに暮れる……という内容の歌詞が心に染みる名曲です。この曲をモチーフにした本作は、成長と友情、懐かしい子供時代がテーマです。産業革命を経た架空の王国で、記者見習いのジャックラインと竜の双子が、四百年前にいた少年の足跡を辿ります。ヴィクトリア朝の雰囲気が好きな人にはおすすめ。

『アブーバースの妖石術師』

 千夜一夜物語(アラビアンナイト)をリスペクトした本作。罪を背負った魔術師と秘密を宿した少女の旅が、いくつもの説話や回顧とともに語られます。西洋風ファンタジーとひと味違った世界を駱駝で旅しつつ、いにしえの賢人や妖霊ジン屍食鬼グールの気配を感じましょう。

 

 以上。お読みいただいてありがとうございました。

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