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熱中症から身を守る話

皆さんの中に、熱中症の恐ろしさについて「暑さで体が蒸し焼きにされる病気」というような持論をお持ちの方はいませんか?残念ながら、それは見当外れなので直ちに忘れて下さい。

熱中症の予防法として”こまめな水分補給”などが推奨されていますが、それら以上に意識すべきことがあります。それは、以下の2点です。

①油断しない

②熱中症の症状は急激に進行する

1つ目の「油断しない」とはどのような意味かと申しますと。
例えば、私が熱中症で救急搬送されたときの症状としては、頭痛・めまい・動悸・吐き気などといった、風邪や二日酔いと勘違いしそうな症状ばかりでした。つまり熱中症の恐ろしさというのは、暑さで体が蒸し焼きにされることではなく、むしろありふれた症状だからこそ起こる油断にあるのです。
そして、その中でも私が最もヤバいと思う症状は”めまい”です。

なぜなら熱中症に伴う”めまい”とは脳に十分な血液が流れていない状態であり、これはいつ失神して意識を失って倒れてもおかしくない危険な状況であることを意味するからです。

”めまい”について簡単に説明すると、
①熱中症になると体温を下げるために皮膚の血管が広がる。
②皮膚の血管に多くの血液が流れることで血圧が下がる。
③血圧が下がることで脳に十分な酸素が送られなくなって”めまい”が引き起こされる。
以上のような仕組みで”めまい”が起こるとされています。

毎年、夏になると農家の高齢者が熱中症でなくなる事故がニュースになりますが、高齢農家が熱中症で亡くなりやすい理由は、高齢であること以外にもあるんです。

先に『熱中症に伴う”めまい”とは脳に十分な血液が流れていない状態であり、これはいつ失神して意識を失って倒れてもおかしくない危機的な状況である』と書きましたが、実はここが落とし穴なんです。

畑で草むしりをするために”しゃがむ”と、脹脛(ふくらはぎ)や太ももが圧迫されますよね。本来であれば”めまい”などの症状が表れてもおかしくない状態なのに、下半身が圧迫されていると血液が頭に廻るから体調の異変に気付けないのです。

そして熱中症レベルの高体温になっていることに気付かずに作業を続けてしまい、「そろそろ休憩にするか」と思って立ち上がった瞬間、下半身の圧迫が解放されます。すると上半身に廻っていた血液がストンっ!と下半身へ落ちて失神してしまうのです。

次に、2つ目の「症状が急激に進行する」とはどのような意味かと申しますと。

私が救急搬送されたとき、動悸から始まり、その後に頭痛や吐き気、最後に失神でした。正確に時間を計った訳ではありませんが、動悸を感じてから失神するまでの時間は、おそらく10分ほどだったと記憶しています。吐き気を感じてから意識が朦朧(もうろう)とするまでの時間はもっと短いのです。

つまり「このままではヤバイ!日影に逃げよう!」とか「キンキンに冷えたジュースを自販機で買って首を冷やそう」とか考えても、その時点ですでに失神寸前であり、手遅れなんです。移動している間に失神して高温のアスファルトの上に倒れてしまうと、炎天下とアスファルトで両面焼きにされてしまいます。「スマホで救急車を呼ぼう!」と考えたとしても、意識が朦朧とした状態で自分の居場所を口頭で正確に伝えられるはずがないですよね?

では、どうしたらいいのか??
答えは簡単です。熱中症になる前提で準備をするのです。具体的には、手の届く範囲に体を冷やすための水道を確保したり氷袋を大量に用意しましょう。ただし、凍らせたペットボトルはダメですよ。ペットボトルは口が細くて、凍っている部分を取り出せないですから。首に押し当てて冷やそうとしても、ペットボトルが邪魔をして体に密着させられないですからね。

何度も書きますが、熱中症の恐ろしさは症状が急激に進行するところにあります。動悸・頭痛・吐き気などを感じてから失神するまでの時間はわずかしかありません。「日影に逃げよう!」とか「キンキンに冷えたジュースを自販機で買おう」と考えて動き回っている間に手遅れになるのです。

特に炎天下での作業やレクリエーションにおいては、手の届く範囲に水道を確保したり大量の氷袋を用意しましょう。『この準備が生死を分ける』くらいの気持ちで胸に刻んで下さい。 

#真夏日 #熱中症 #猛暑日 #真夏日 #水分補給 #高温注意 #猛暑

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