見出し画像

「日本羊毛工業発祥の地」「井上省三君碑」「井上省三像」

軍需だった羊毛工業、早世の偉人が貢献

★ジャンル【産業】
★場所 荒川区南千住6-27-7
★最寄駅 都電荒川線荒川一中前停留所もしくはJR、東京メトロ南千住駅または東京メトロ三ノ輪駅

★解説文
「明治12年(1879)この地に官営の千住製絨(せいじゅう)所が設立された。それまで輸入に頼っていた羊毛製品の国産化を意図して建てられたもので、初代所長にはドイツで毛織物技術を学んだ井上省三(1845〜1886)を迎え、ここに日本の羊毛工業が始まった。昭和20年操業が停止するまでの70年間、大規模な毛織物の製造が行われ日本の羊毛工業の発展に寄与した。地域の人々から「ラシャ場」と呼ばれた赤煉瓦洋風建築のこの工場は、荒川区が近代工業地帯として発展するきっかけとなった。」

★解説
 ちょっと不便な場所です。都電停留所からであれば5分ほどで着きますが、都電自体が利用しづらいですよね。メトロの三ノ輪駅か南千住駅からだと徒歩で10分強です。目標は荒川総合スポーツセンターです。駅から行くと奥になる正面入り口の先、グラウンドが続く歩道わきにいくつかの記念物があります。
 真ん中にある滑り台のような形のモニュメントが「日本羊毛工業発祥の地」の記念物です。左右の「滑り台」の間の金属板に目立たない文字で「日本羊毛工業発祥の地」の文字と上の解説文が書かれています。このモニュメントは紡績機械をかたどったものと言われますが、よくわかりません。中のコンクリートのものは古そうなので、旧工場などから
持ってきたものかもしれません。
 明治の繊維産業というと生糸生産や絹織物工業が思い浮かびますが、毛織物は寒冷地の多い日本では軍服として必須のもので、維新当初は全て輸入していました。軍需品であるため政府は国産化を目指し、まず1875年には千葉県に牧羊場が設置され、羊毛生産が開始されます。
 この牧場はのちに宮内庁下総御料牧場となり、今はその多くの部分が成田空港となっています。牧羊場設置は大久保利通きもいりの事業でした。
 そして欧州留学中の元長州藩士・井上省三(いのうえ せいぞう)を一旦呼び戻

これより有料です。以下には記事全文のほか、写真、地図、関連情報リンクなどがあります。ご購入いただく場合、この記事だけで100円お支払いいただくより、マガジン「東京23区発祥の地めぐり」全体を500円でお買い上げいただく方がお得かと思います。最終的に数百本近い記事をご覧になることができます。よろしくお願いします。

ここから先は

943字 / 9画像
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?