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空虚なる。

僕が生きてきた道の中で、
誇れるものなんて何も無い。
ただ、貧困から抜け出したかった。
ただ、普通になりたかった。

それだけの為に、苦悩を抱えながら生きてきたなんて、滑稽でしかない。

あの時、別の選択をしていれば、今よりも輝いた未来が待っていたのだろうか。
もし、他の誰かとして生まれていれば、こんなにも苦しむことは無かったのだろうか。
考えたところで、それは無意味でしかないことだ。

大人になれば、自由になれるかもしれないと淡い期待を抱いていたけれど、今だって社会の歯車の中で縛られた僕の人生は、一週間という虚しい時間の繰り返しで消費されている。

平日は仕事をして、週末は物思いにふける日々。仕事は決して嫌いではない。それなりにやり甲斐だって感じている。でも、誰かの為に僕の思考を使い切ることに、少し嫌気が差してきた。

いや、もしかしたら自分と向き合うことが怖くて、誰かに依存しているのは僕のほうかもしれない。

夕暮れ時、玄関を開け、見慣れた景色の中少し散歩に出かけた。2月中旬だっていうのになんだか少し暖かい気がする。だけど頬に当たる風はやっぱ冷たいや。

ただ、真っ直ぐに同じ道を歩く、その先に広がっている景色だって僕はもう知っている。
だけど、明日はあの道を曲がって、まだ歩いたことのない道を散歩してみようかな。だって、その先の景色を僕はまだ知らないから。


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