黒川

好きなものの話をします。

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私と結婚と谷口菜津子の漫画たち

「相変わらずですけど、結婚とか興味ないんですか?」 夏休み中、久々に顔を合わせたかつての教え子に聞かれた。 「興味がないわけでは…でも1人が好きだし、1人で生きていけるってわかってるし…でもそれが寂しいなってときもあって…」 要領を得ない回答であるが、これが今の私の本心だ。 ここで彼女が言う「結婚」は、おそらく「男女が恋愛して入籍して同居して女性が妊娠して出産して子を育てること」を指している。パートナーシップのあり方は多様化しているし、子どもを持たないことを選択する夫

    • 『違国日記』の完結によせて②-未来を生きる彼女たちへ-

      ※上の続きです。 ※以下、最終回までのネタバレを含みます。 フィクションの中に生きる現実ヤマシタトモコ氏は過去にインタビューで「ポリコレがものをつまらなくすることは絶対にありません」と述べている。実際、『違国日記』には、アロマンティックやノンバイナリーと思われる様々なセクシュアリティの人たちがごくごく自然に登場する。 さらにでは現実に起こっている問題がいくつか扱われており、当事者として2人の少女が描かれている。2人のエピソードは6~8巻に集中しており、たとえフィクションの

      • 『違国日記』の完結によせて①-尊重することと庇護すること-

        『違国日記』が完結した。 連載当初から追っていたとても好きな作品であるため、結末に自分が納得できるのかの不安を抱えながら最終巻を読んだのだが、個人的にはとても満足できるフィナーレだった。 わたしは元々作者のヤマシタトモコ氏のファンである。今から十数年前、初めて手に取った作品は『HER』だった。 この年、『HER』は漫画界の大きな賞を受賞して話題になっていて、わたしが通っていた大学のキャンパス側の書店でも平積みになっていた。表紙の色使いに惹かれて購入し読んでみたのだが、「

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