黒珈|くろこ|ビジネスラノベ作家

モノづくりの会社で働いている🐈‍⬛です。ビジネスSS【営業課長の心得帖】 新感覚学園小説【…

黒珈|くろこ|ビジネスラノベ作家

モノづくりの会社で働いている🐈‍⬛です。ビジネスSS【営業課長の心得帖】 新感覚学園小説【twenty all】 ライティング手法【あのストーリーの向こう側へ。】Kindle出版。 noteでは【備忘録】シリーズ、新感覚学園小説 【straight(駅伝)】を連載中。

マガジン

  • 週末ストーリィランド

    週末にひと繋ぎのものがたりをご提供いたします🐈‍⬛☕️✨

  • 【黒珈の雑記帳】

    お知らせやつぶやきなどなど🐈‍⬛☕️

  • 【小説】straight(ストレイト)

    新感覚の学園小説です。 ある事件の責任を取るカタチで地方に左遷された、某飲料メーカーに勤める元箱根駅伝選手、澤内悠生。 ひょんなことから地元の女子高校駅伝部のコーチを引き受けることになり……。

  • 午前7時の時差出勤

    通勤電車やオフィスでのクスッと笑えるエピソードを纏めました。

  • 【備忘録】シリーズ

    「四条畷紗季の備忘録」シリーズを纏めました。 【主な登場人物】「四条畷紗季」某食品メーカー本社マーケティング部担当課長。真面目で優秀だが少し天然。「寝屋川慎司」紗季の上司。家族とトンカツを心から愛する副部長。

記事一覧

固定された記事

【新刊発売】『あのストーリーの向こう側へ。』Kindle出版しました!

2024年5月1日(水)新刊発売! 『あのストーリーの向こう側へ。 〜ものがたる電子書籍作家のひとりごと〜』 ビジネスラノベ作家の黒珈が、 「キャラクター」「ストーリー…

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」最終話

「インタビューしても、いいですか?」  大量の花束と格闘していた悠生に、ある女性記者が近付いて来た。 「ええ」  係の人に花束を預け、ようやく落ち着いた彼は、襟元…

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第13話

 レンズの中に居る、浅緒久深。  彼女の白いワンピース、ミューズ、麦わら帽子……  その全てに光が、光が満ち溢れていた。 「風色の粉が、弾け飛んでいる」  波風…

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第12話

(綺麗な、蒼い空だ……)  窓枠に肘を掛けて、悠生はずっと空を眺めていた。 (この光景は、ずっと変わらないだろうな) 「ユウ、お客さんだ」  彼を呼ぶマスターの…

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第11話

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【黒珈の雑記帳】「文学フリマ東京38」に出展しました。

5月19日『文学フリマ東京38』に初参戦した Kindle作家集団【オトナの電子文藝部】 メンバーのひとりとして無事完走しました! 会場にお越しいただいた皆さま 温かい応援を…

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第10話

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【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第9話

 一週間、何も起こらなかった。 (やはり、今年じゃなかったのか?) (それとも、もう現れたあとだったのか?)  苛立ちと焦りがピークに達した8日目に、異変が生じ…

【黒珈の雑記帳】「straight」完結記念&Kindle書籍計画のお知らせ🐈‍⬛☕️✨

 皆さま、お早うございます。  Kindleライトノベル作家の黒珈です。  昨日『straight』全114回の連載が無事終了いたしました❗️  最後までお付き合いいただき、誠に…

【小説】(最終回)「straight」114

 二人が去った後、河川敷では先ほどの男の子達が集まって話をしていた。 「やっぱり『YES』は全然ダメだな」 「ねえねえケンちゃん知ってる? 今度出たスポーツドリ…

【小説】「straight」113

「ん、何か付いてます?」  何気なく光璃を眺めていた悠生は、彼女と視線が合い、慌てて言葉を付け足した。 「……俺は、あの二代目をぶん殴った訳だから、本社復帰はあ…

新感覚学園小説【straight】
明日の公開予定は以下の通りです。
最後まで宜しくお願いいたします。

113話 4時公開
114話(最終話) 4時半公開

【小説】「straight」112

『陸上部に復帰? 誰が?』 『お前だよ、お前』  訳の分からない悠生に、じれったそうな豊田が言った。 『もう疑惑は晴れたんだ、また陸上をやって何が悪い』 『しかし…

【小説】「straight」111

「ウソつきジュース、飛んでいけえーっ!」  河川敷で遊んでいた男の子達が、大声で叫んで足元の缶を蹴る。  『YES』と印刷されたそれは、むなしく宙を描いて、川の…

【小説】「straight」110

「澤内さん」  ズンズンと歩を進めていく悠生に、光璃が声を掛けた。  彼の心中を察してか、その口調は幾分控えめである。 「どこに行くんですか?」 「そうやそうや、…

【小説】「straight」109

 記者団が風の様に消えたあと、しばらくその場に佇んでいた稔流が、悠生の方をゆっくりと見て言った。 「という訳だ、君にも迷惑をかけたな」 「……」  悠生は、むっつ…

【新刊発売】『あのストーリーの向こう側へ。』Kindle出版しました!

【新刊発売】『あのストーリーの向こう側へ。』Kindle出版しました!

2024年5月1日(水)新刊発売!
『あのストーリーの向こう側へ。
〜ものがたる電子書籍作家のひとりごと〜』

ビジネスラノベ作家の黒珈が、
「キャラクター」「ストーリー」「ライティング」を全力でものがたる一冊が纏まりました。

✅『文章が単調と言われる』
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✅『提供したい価値のクオリティを上げたい』
こんな悩みを解決します。

ブランド・コンダクターの【さ

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【週末ストーリィランド】「風のように、また。」最終話

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」最終話

「インタビューしても、いいですか?」
 大量の花束と格闘していた悠生に、ある女性記者が近付いて来た。

「ええ」
 係の人に花束を預け、ようやく落ち着いた彼は、襟元を正して向き直る。

「この度は、大賞受賞おめでとうございます」
「有り難うございます」
「『風の色』素敵なシーンですね。光の粉が舞い降りてくる感じが」
「ええ、苦労しましたよ」
 当時のことを思い出した悠生は、軽く微笑んだ。

「それ

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【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第13話

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第13話

 レンズの中に居る、浅緒久深。

 彼女の白いワンピース、ミューズ、麦わら帽子……

 その全てに光が、光が満ち溢れていた。

「風色の粉が、弾け飛んでいる」
 波風によってすくわれた水しぶきに、太陽の光が反射して出来た光の衣。

 彼女の姿は、まるで風の衣を纏った天女が、地上に降り立って来た様であった。

「そうかっ!」
 悠生は、思わず叫んでいた。

(分かりましたよ、お兄さん)

『風の色は

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【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第12話

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第12話

(綺麗な、蒼い空だ……)

 窓枠に肘を掛けて、悠生はずっと空を眺めていた。

(この光景は、ずっと変わらないだろうな)

「ユウ、お客さんだ」
 彼を呼ぶマスターの声に、大きく一つ伸びをして立ち上がった。

「ヨーロッパに、行くの……」
 波打ち際を歩きながら、久深が言った。
「ヴァイオリンの技術を磨くため、留学することにしたの。四年、五年、もしかしたら、それ以上掛かるかも」
「そっか」
 彼女

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【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第11話

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第11話

 風の森に広がる海面に、雨水が一粒落ちた。
 輪を描いて広がっていくその数が段々増えて来て、夕立となった。

 打ちつける豪雨の中、久深は膝の間に頭を埋めて座っていた。

「やっぱり、ここだった」
 聞き覚えのある声に、彼女は少し顔を上げた。
 潤んだ瞳に、心配そうな表情の悠生が映り込む。
「忘れ物」
 目の前にヴァイオリンケースを差し出された久深は、ゆっくりと首を横に振る。
 彼は、彼女の傍らに

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【黒珈の雑記帳】「文学フリマ東京38」に出展しました。

【黒珈の雑記帳】「文学フリマ東京38」に出展しました。

5月19日『文学フリマ東京38』に初参戦した
Kindle作家集団【オトナの電子文藝部】
メンバーのひとりとして無事完走しました!

会場にお越しいただいた皆さま
温かい応援をいただいた皆さま
本当に有り難うございました♪

良かった点、反省すべき点はしっかり振り返って、次の目標(文学フリマ東京39)への準備を進めて参ります。

目指せ、東京ビッグサイト!
俺たちの戦いはこれからだ!

黒珈先生の

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【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第10話

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第10話

 翌日。
「さあて、現像現像っと」
 バイトが上がった悠生は、フイルムケースを片手に、いそいそと控室から玄関に向かっていた。

「何だユウ、どこかに行くのか?」
 そんな様子を見て、彼のOBである海の家のマスターが声を掛ける。
「ええ、昨日いい写真が撮れたんで」
「ああ、風吹橋か」
「そうなんですよ……え?」
 軽く流して出て行こうとした彼の足が、思わず止まる。

「先輩、何でその事を」
 悠生の

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【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第9話

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第9話

 一週間、何も起こらなかった。

(やはり、今年じゃなかったのか?)
(それとも、もう現れたあとだったのか?)

 苛立ちと焦りがピークに達した8日目に、異変が生じた。

「篠原君、あれ!」
 双眼鏡を覗いていた久深が、突然叫び声を上げた。
「……これは」
 彼女が指差した方向にレンズを向けた悠生は、言葉を失った。

 異変は起こっていた。
 しかし、それは二人の想像を遥かに上回っていたのだ。

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【黒珈の雑記帳】「straight」完結記念&Kindle書籍計画のお知らせ🐈‍⬛☕️✨

【黒珈の雑記帳】「straight」完結記念&Kindle書籍計画のお知らせ🐈‍⬛☕️✨

 皆さま、お早うございます。
 Kindleライトノベル作家の黒珈です。

 昨日『straight』全114回の連載が無事終了いたしました❗️
 最後までお付き合いいただき、誠に有難うございました。

 前作と違って「勧善懲悪」「王道」のストーリー展開となりました。
 澤内コーチと光璃ちゃんの恋の行方は少し気掛かりですが(笑)

 ぜひ皆さまからも、コメントをいただけると嬉しいです😊

 陸上

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【小説】(最終回)「straight」114

【小説】(最終回)「straight」114

 二人が去った後、河川敷では先ほどの男の子達が集まって話をしていた。

「やっぱり『YES』は全然ダメだな」
「ねえねえケンちゃん知ってる? 今度出たスポーツドリンク」
「知ってるよ、ストレートって言うやつだろ」
「それがさぁ、ママが言ってたんだけど、あれを作った人って、実は鳥人間なんだって」
「鳥人間?」
 ケンちゃん、と呼ばれた男の子は目を丸くした。
「すっげぇーっ、そんな人ホントにいたんだ」

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【小説】「straight」113

【小説】「straight」113

「ん、何か付いてます?」
 何気なく光璃を眺めていた悠生は、彼女と視線が合い、慌てて言葉を付け足した。

「……俺は、あの二代目をぶん殴った訳だから、本社復帰はあり得ないよ。クビにならなかったのが奇跡なくらいだ」
「そんなこと無いと思いますよ」
 光璃は、両手に抱えていたアルミ缶を彼に差し出した。
「こうして毎回、新商品の試作品を送ってくるということは、期待されている証拠です」

「それが余計なん

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新感覚学園小説【straight】
明日の公開予定は以下の通りです。
最後まで宜しくお願いいたします。

113話 4時公開
114話(最終話) 4時半公開

【小説】「straight」112

【小説】「straight」112

『陸上部に復帰? 誰が?』
『お前だよ、お前』
 訳の分からない悠生に、じれったそうな豊田が言った。

『もう疑惑は晴れたんだ、また陸上をやって何が悪い』
『しかし、それとこれとは……』
 躊躇している悠生。
 豊田はニヤリと笑って言った。
『知っているんだぜ、ここ数か月は毎日トレーニングして、既に現役時代のコンディションに戻っているらしいじゃないか』
『な、何でその事を』
『西野さん、って分かる

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【小説】「straight」111

【小説】「straight」111

「ウソつきジュース、飛んでいけえーっ!」

 河川敷で遊んでいた男の子達が、大声で叫んで足元の缶を蹴る。

 『YES』と印刷されたそれは、むなしく宙を描いて、川の手前のよどんだ湿地にぼちゃんと落ちた。

 その様子をボーッと眺めていた悠生は、背後に人の気配を感じて振り返る。

「ホントは、戻りたかったんじゃないですか?」
 缶ジュースを両手に持った制服姿の光璃が、彼の横に腰を下ろしながら言った。

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【小説】「straight」110

【小説】「straight」110

「澤内さん」
 ズンズンと歩を進めていく悠生に、光璃が声を掛けた。
 彼の心中を察してか、その口調は幾分控えめである。

「どこに行くんですか?」
「そうやそうや、ウチはもうクタクタやで」
 額に大きな絆創膏を貼った真深は、思わず本音を漏らした。
 彼女だけじゃない、他の4人も心身共に疲れ切っていた。

「……ここら辺でいいか」
 競技場から少し離れた公園で、悠生は足を止めた。
 しかし、背中は向

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【小説】「straight」109

【小説】「straight」109

 記者団が風の様に消えたあと、しばらくその場に佇んでいた稔流が、悠生の方をゆっくりと見て言った。

「という訳だ、君にも迷惑をかけたな」
「……」
 悠生は、むっつりと黙り込んでいる。
 そんな彼に構わず、稔流は幾分弾んだ声で話を続ける。
「先代同様、俺は君の商品に大変興味を持っていてね。どうだい、もう一度研究所に戻って、会社復興の為に力を貸して貰えないか?」

 この言葉に、悠生は一歩前に進んだ

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