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今の円安は「良い円安」

共同通信社のアンケートによると、今の円安を「良い円安」と回答した企業はゼロだったという。

だが、ちょっと待って欲しい。同じアンケートを報じた私の地元の地方紙では、この記事には続きがある。それによれば、自社の業績に対しては「プラス影響」が「マイナス影響」を上回っている。

共同通信社のページに後半部分がないのは、地方紙など配信先との契約によるのだろう。記事全てが共同通信社から見れるのであれば、地方紙の意義がなくなってしまう。ヤフーニュースなどでも前半部分しかなく、同じことなのだと思われる。

私はこの見出しには非常に憤慨している。わざわざ企業に聞いているのだから、それぞれの企業業績にどう影響するか、という回答の方がより具体的で実態に近い質問ではないか。業績にとってプラスという企業がマイナスという企業を上回ってるのだから、それは「良い円安」というしかない。

そうではなく、最初に「良いか悪いか」と漠然とした質問をし、それを見出しに持ってきているのであれば、悪質なミスリードである。通信社も新聞社もテレビも、およそマスコミというところは「大変だ!大変だ!」と危機を訴え、煽らないとニュースが売れないと思っているのだろう。毎回毎回、悪いニュースや極端な結果、つまり目を引くニュースのみを大きく報じる悪癖がある。

回答している企業の判断も良く分からない。自社の業績にとってはプラスでも「悪い円安」としている企業が一定数ある、ということだけは明白である。ではその判断基準は何か。恐らくは「新聞に書いてあるから」といったところだろう。それ以外に考えようがない。

つまり、
①新聞テレビが「悪い円安」と煽る
②企業の(恐らくは広報)担当者が「悪い円安」と認識する
③アンケートに回答する
④新聞テレビが悪い円安の根拠とする
以下、①に戻る
という循環が出来てしまっているのである。

新聞テレビが発火点となり人々がそう認識することでさらに新聞テレビが煽る・・・という完全なマッチポンプで、拡大された自作自演でもある。

こうして「日本は不景気だ」「先行き暗い」「日本はダメだ」という言説が広まり、それがために消費が冷え込み投資が減り、本当に不景気になってしまう。この30年、繰り返された光景でもある。

年老いた両親が読むから新聞購読はしているが、たまにうっかり見てしまうと、このザマである。やはり新聞テレビなど見るものではない。まさしく元凶である。

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