見出し画像

2023年3月 燕三条で社会科学習

一昨年、去年と同じ時期にオオミスミソウ(雪割草)を見るために、上越へ来ている。今年は1泊して、たっぷり花にまみれようと意気込んだが、土曜日はあいにくの雨。

新座駅6時半集合、関越自動車道の越後川口SAで朝食。かき揚げ天そば。

今年は3月になって気温が高い日が多かったせいか、トンネルを抜けた湯沢でも屋根に雪がなくて驚いた。昨年は長岡のあたりまでびっしり雪に覆われていたのだが。ひょっとしたら、早めに雨が上がるかも、という仄かな期待は見事に裏切られた。そうとなれば、雨でも楽しめる所を巡ろう。
まずは、最近、この仲間の間でブームとなっている縄文。馬高縄文館。200円の入館料を払って館内へ。まず目に飛び込んできたのは、初めて火焔土器と命名された重文の土器。

この地は明治時代から土器石器が出ていた。近藤家は3代にわたる遺物採集家。
昭和11年の大晦日に出土した破片を自力で復元すると、珍しい形になったため、
学者に見せたところ、火焔土器と命名されたという。

陳列物を見ていると、時間があるなら無料ガイドがあると教えられ、お願いした。まずは、自分たちで勝手に見ていてもイマイチ区別が難しかった、火焔式と王冠式の違いを解説。なーるほど。途端にくっきりその違いが見えてきた。

火焔型土器は、鶏頭と縁の波模様が特徴。
王冠型土器には、鶏頭を波模様がない。右下は火焔型。

火焔型、王冠型、いずれにせよ祭祀、儀式など特別な場で使用されたと考えられている。出土する縄文土器のほとんどはシンプルで飾りのない素焼きの土器だという。さらに、火焔型や王冠型の縄文土器が制作されたのは500年間のみとも。どうしてそこで終わったのだろう。

ミス馬高、と命名された土偶。頭部が平べったい。小さく平たい頭部だけの土偶もある。

土偶は基本的に女性。面白いのは頭部や手足のない三角の土偶も多いこと。ガイドしてくれた女性は、特別な展示品を紹介する際に、必ず、自慢じゃないですが、と前置きをするのだった。そうそう、そういう逸品のひとつに小型石皿に木の実を擦って練り上げ焼いた跡がそのまま出土。縄文時代のクッキーというわけ。大変面白く勉強になった。

出土品の保存庫には、近藤家に残された採集品保存箱があった。

さて、妙法寺の様子をうかがうと、さすがに駐車場に車はほとんどない。すぐ近所の昨年寄った池浦酒造へ。会長がひとり事務所に。酒を売ってもらう。代表銘柄は和楽互尊。ぼくは今年はしぼりたて生の四合瓶。

事務所の玄関には酒林。
お酒を蔵から出してくれた女性が、登山靴を見て、ああ去年も来て下さったね、と。
ここの酒は地元以外、ほとんど出回っていない。裏庭はものすごく広くて立派。

こっち方面へ初めて同行してるD君が、気になる団子屋があると言うので三条の店へ。

豆大福も皮の部分が美味しかったが、これが名物おこわ団子。しょうゆおこわの中に大福が丸ごと入っていて、不思議なお味。ちょっとやみつきになりそうな気配。

お次は燕市産業史料館。まず燕市の歴史をビデオで。たびたび氾濫する信濃川のため、江戸時代、副業として和釘造りが奨励された。後に信濃川は、明治時代に弥彦山の南の山を切り崩し、大河津分水路へと流す大工事の結果、肥沃な農耕地となるが、金属加工の方も和釘から鎚起銅器やヤスリや煙管などを製造するように発展し、今や世界中に金属洋食器の生産地として知られるように発展した。人間国宝の作品なども多数展示されていた。

モダンな史料館。
人間国宝玉川宣夫氏の作品。鍛金技法の中で最も難易度が高いとされる木目金(もくめがね)。

で、その製造現場を見学しに行った。玉川堂(ぎょくせんどう)。

昔ながらの建物。この手前の左手はショールーム。
円い円い銅板を叩いてのばし、湯沸に仕上げていく。もちろん注ぎ口もここから叩き出す。
7~10日ぐらいで完成するという。
叩く際に下に当てる鉄製の当金(あてがね)は数百種類もある。
30分叩くと銅を炭火で熱して水に漬け冷ます。こうして柔らかい状態を保つ。

案内してくれた女性が、ここで働く職人は30数名、平均年齢34歳、女性は7名で今春さらに1名増えるという。芸大を卒業してから来る人も多いようだ。ひとりで作業ができるようになるまでに10~15年。史料館の展示にもあったが、こちらは1人前の職人になると暖簾分けして独立する人も多い。それも魅力なのかもしれない。

これが大槌目。同じ場所を何度も叩き続けて多面体を生み出していく。
そして裏面には、会社のマークと生産年の干支、製作者の名前が刻まれる。
こちらの商品は永久に修理をしてもらうことができる。ちなみにぐい呑み5万円。
この火鉢も銅器。しかも弥彦山の海側、間瀬で産出した銅で造られたものとのこと。

うわー、やばいなあ。ほしくなってしまうよなあ。これは眼福でもあるけど目の毒でもある。冒頭の人間国宝玉川宣夫氏の花器は440万円。
さて、チェックイン前に、燕三条地場産業振興センターで欲しいものチェック。

何度か来たことがあるが、手打の包丁など高級品から100円ショップものまで幅広く販売。
ジャイアント馬場さんはここの出身だったんだ。へええ。

今夜のホテルは三条燕駅前のアパホテル。以前、泊まった大浴場のあるアパヴィラは、コロナ罹患者用に借り上げられていて宿泊できず。地域クーポン、2000円のつもりで何を買おうか考えていたが、今日は土曜のため1000円。あちゃ。

訳の分からぬ像が立っていたアパホテル。雨もようやく上がった。

駅構内の燕三条WINGで地域クーポンが使えることが分かり、まずそちらへ。ぼくは1000円分の買い物を。さらに地場産業振興センターへハシゴ。みんなあれこれ積極的に買い物をしている。ぼくは110円の斜めピーラーをゲット。
さあ、夕食のお時間。あらかじめ予約しておいた味覚天国たまや。予約なしでは入れない人気店。生ビールで乾杯。

燕三条駅前の人気店、たまや。
大人のポテトサラダ。ひしおがトッピングされている。
サバサラ。何かと思いきや、サバ缶と生のタマネギ。なんでメニューにあるのか。
マルハニチロの前身、ニチロの創業者が三条市の出身だからという。へええ。
刺身盛合せ。ニシン、ワラサ、タイ。なかなか旨かった。

生ビールの後は日本酒。地元三条の五十嵐川、魚沼の緑川、上越の和希水などを飲んだ。銅のぐい呑みがいい感じだったが、1回こっきりで残念。そして、びっくり仰天がこのメニュー。

車麩の玉子綴じ。どひゃー。でっかい。しかも美味しかった。

今後の山の計画など相談しつつ、美酒美肴に舌鼓。2時間ほどでお勘定。若い2名は、〆のラーメンをご所望。以前は三条名物のカレーラーメンだったが、今夜は別の店の同じく名物背脂ラーメンに挑戦。

玉ねぎ中華そば。830円。さすがに完食は無理。三分の二ほどでギブアップ。
勘定の時に、お兄さんに不味かった訳でなく、ジイサンだから食べられないのと、
仁義を切ったら苦笑いしていた。

ホテルに帰り、思いがけず盛りだくさんになった1日を振り返り、メモをまとめてからシャワーを浴びて、寝酒を吞んで寝た。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?