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皿洗いは、地獄です。

某SNSでの話題を元に、一度だけちょっと深く考察するだけの文章です。
今回は、皿洗いについて。

「日本の男はちょっとゴミ出しや皿洗いしただけで『家事やってやった』ヅラしてうざい。それか自分の母親を持ち出してきて『うちの母さんはジャムまで作ってた』とか。結婚できなくて当然だろクズオスども!」
というポストがありまして、まぁこれに限らず、家事界隈は最近、女性の方の逆鱗をよくフェザータッチするようです。

とかく、皿洗いを好き、という方はあまり見かけません。今まで生きてきた中で「皿洗い好き」を目にしたのは、「こいずみまり」という漫画家さんのエッセイ漫画「ねこまんが」にて、ご本人が皿洗い好きを公言されており、これが唯一ですね。

かく言う私も、皿洗いに関しては、一人暮らし歴○十年を超えておりますが、すさまじい嫌悪を重ねてきた覚えがあります。というか掃除全般駄目です。
そんな自分……それこそカレー鍋に腐海を育て、炊飯器の保温ご飯をせんべい化し、流しの皿の上に食い終わった皿を重ね、さらに重ね、いつか雪崩を起こして割り、といった悪行の数々を誇るそんな自分……が、研鑽と考察を重ね、一つ一つ問題を取り除いていった結果。
今では「好きでも嫌いでもない」程度に皿洗いを捉えることが出来た、その秘訣について、今日はしゃべったりしていこうと思います。

社会問題ばっかりくっちゃべってると心がすさみますからね。

えー。まずは。
ご家族のいる方。配偶者のおられる方。そう言った方は、「この」やり方をしてしまうとおそらく「否定」というか、「お願いだから普通にやって」と言われるかも知れません…その場合は残念ですが、相手方に合わせてあげてください。家事については、相手の満足度が全てであり、自己満足は家庭不和のもとですので。

さて。前置きはこれくらい。

皿洗いの、なにがそんなにイヤなのか。
それは、はっきり言うと、
「途方に暮れる回数がやたら多い」
から。

一つトラブルが起こったとき、その代替案を探しやろうとすると、それが別の事態によって塞がれており、にっちもさっちもいかなくなる。
この現象を潰すのが、最優先です。
いわば、「皿洗いの最中、事後、一回も途方に暮れなかった」としたら、皿洗いの嫌悪感はおそらく十分の一くらいになります。

では、具体的な方策を述べていきます。

①料理をする前

洗い方を述べるかと思いきや、料理前のお話です。
実は、大事なことがあります。

「料理をする前は、必ずシンクの中に何も残ってない、空の状態ではじめる」

これは、とにかく最重要課題、と捉えていただきたい。

いわば、「食い終わった後、皿を洗いたくない」という無精な気持ちをお持ちの方は、それはそれでいいと思うのです。
ですが。
次回料理を始める前までには、どこかのタイミングで、シンクの中の皿洗いは全て済ませておく。
そして、料理を始める前には、空のシンクの銀色が見える。
この状態をつくることから始めます。
なぜか? それは次項、②で明らかになります。

②料理を作り終えた時

最重要課題は①で述べました。その理由の項です。

「料理をした鍋は、とにかく空にし、食べる前に洗ってしまう」

よく、カレーなどをたくさん作ったとき、鍋のまま保存し、また鍋を火にかけて温め……の繰り返しをやる方がいます。
これは、食中毒(ウェルシュ菌の繁殖などが原因)の遠因にもなりますし、あまり褒められた行為ではない、というのがありますが、洗い物の話で言うならば、
「火入れを繰り返し乾きこびりついた汚れほど落としにくいものはない」
ということなのです。
カレーでも煮物でも、なんでもそうなのですが、「出来たて」の直後が、一番汚れが落としやすいのです。
そして、大事なことをもう一つ言います。
「流しに、鍋などの『大物』が下になり、その上に皿がのっかると、洗い物をする気が一気になくなる」
そういうことなのです。
シンクの、皿の上に鍋を置く人はあまりいないと思います。皿が割れるからです。
なので、空にしたシンクに鍋を置き、ご飯を食べ、空いた皿を鍋の上に乗せる。はい。これ、終わりの始まりです。
鍋は、とにかく器でもタッパーでも、何かにあけた上で空にし、料理直後にとにかく、鍋を洗ってください

「皿が汚れるじゃないか。無駄な洗い物を増やして、めんどくさいだけ」

……いえいえ。
はっきり言いますが、鍋を洗うより、鍋と器を洗う(ただし、別々のタイミングで)方が、遙かにめんどくさくないです。
とにかく、料理前にシンクは空になっている「はず」なので、鍋は簡単に洗えます。汚れ落ちもいいし、すぐにきれいになります。
このタイミングで、洗剤を出したついでに出しっぱなしになっているまな板や包丁、菜箸やトングなんかを洗うのもいいです。というか洗いなさい。

「え、じゃぁせっかくの出来たてを食べられないじゃない」

……はい。そうです
ただ、出来たてと、鍋を洗ったゆえの三分後の料理、味わいががたっと変わるのは、ラーメンとスパゲティくらいです。
ラーメンやスパゲティを作る場合は、なので固めに茹で上げてください。
諦めるんだ。

どーーーーーしても、それがイヤな方。出来たてを食べたい! と思う方。
仕方ないので、ラーメンおよびスパゲティに限り、フライパンをほっといて先に食べることを許可します。ただし!
食べ終わったら、すぐに鍋もしくはフライパンを洗ってください。
すぐにです。
それが出来る者のみ、ラーメンもしくはスパゲティを茹でなさい。それも出来ないなら、以後はラーメンもしくはスパゲティはインスタントしか認めません。

……実は。
皿洗い、と我々は言いますが、皿洗いで一番イヤな仕事は、この鍋洗いなのです。
難敵を最初に退治しておくと、後の皿洗いは正直雑魚いじめに等しいのです。

③皿洗い開始

いよいよ、皿洗い、その中核のお話です。
これは、②の、鍋を洗う時にも使えるテクニックですので、ぜひご活用を。

さて。
皿洗いをする上で、皿洗い嫌い民の方に、ぜったい言っておきたいことがあるのです。

それは、

・「もったいない」は禁止
・「予洗い」の実行
・「中華屋洗い」の実践

この三つです。
一つずつ、お話します。

・「もったいない」は禁止

→どういうことか? と申しますと。
はっきりいうと「皿洗い時は、必ず『お湯を使え』」ということです。
お湯
です。
真冬はもちろん、夏でもお湯です。
ガス代や電気代がもったいないじゃないか! と思う方へ。
その「もったいない」の気持ちで、皿洗いの意欲を削いで、シンクに汚い皿を重ねて。いったいなにがしたいんですか? ということです。
イヤなことをするのですから、イヤなことをするときくらい、少しでもラクになる方法があるなら実行するべきなんです。
お湯で全部の皿を洗ったとて、せいぜいプラス50円くらい。
50円のお駄賃で皿洗いのバイトを雇ったと思えば安いもんです。

・「予洗いの実行」

→文字づらを見ると想像つくと思いますが、皿洗いする前の皿は、汚れがたくさんついています。その汚れは、「食べかす」「ソース」「油脂膜」に分類できます。
この、食べかすとソースについて、先に水を流して落としていくのです。

まず、三角コーナーなりそういう穴の空いた袋を用意します。
そして、お湯を出し始めます。
最初は、多分水が出ると思います。
この、お湯になるまでの水で、「予洗い」をします。
ざっとでいいので、三角コーナーを下にして、水道の水を皿にかけて、一枚一枚さっと流すのです。
お湯になるまでじっと待ってもいいのですが、せっかくのお水です。ここくらいはもったいない、の気持ちを大切にし、このお水を利用する、ということです。

なお、三角コーナーと袋を用意し、その上で洗い流すのすらめんどくさい、という方は。
排水溝にかぶせる排水溝用カバー(使い捨て)を売ってると思うので、それをかぶせて流すだけです。洗い物が終わった後、そのカバーを捨てる。これでOKです。

さて。
予洗いを済ませていると、そのうちお湯になると思いますので、洗い桶に流した皿を積み重ねていき、そのままその洗い桶に「お湯」をためていきます。
七分目までお湯がたまったところで、次の項です。

・「中華屋洗い」の実行

さぁ。いよいよ、洗い方のお話です。
七分目までお湯がたまった洗い桶の中に、予洗いが済んだものの油脂汚れがこびりついたままの皿が沈んでいると思います。
ここで。
中性洗剤を、普段スポンジにしみこませてるくらいの量を、スポンジにではなく、「洗い桶」の中に入れます
湯に、洗剤が溶けるはずです。

ここで、再び水道から「お湯」を出し始めます。
皿を当てても飛び散らない程度の緩やかな量で、出します。
洗い桶のお湯の中で、皿を軽くスポンジでこすり、流れている水道のお湯ですすいで、一枚ずつ洗うだけです。

ここのやり方は自由です。
一枚一枚洗ってはすすぎ、洗ってはすすぎ、でもいいですし、全部洗い終わってから洗い桶の洗剤入りのお湯を捨て、すすぐ、でもいいです。一枚一枚洗ってはすすぎ、の方は、途中スポンジを置かないといけないと思いますが、置く必要はありません。
洗い桶の中にぶちこみ、皿をすすぐ、洗う、スポンジを洗い桶に放り、皿をすすぐ、の繰り返しで大丈夫。

で、最後。
洗い終わったお皿を、水切りかごに全部しまって、終了です。

さて、総括です。
このやり方はいったいなんなのか、といいますと。
皿洗いを、「科学的」に分解した結果、なのです。

予洗いで、水に溶ける汚れは全部落ちます。
水に溶けない汚れは、すなわち油汚れなのです。
この油汚れを、中性洗剤で落とすわけですが。

よくある勘違いに、「洗剤の泡で汚れを落とす」と思ってる方がいらっしゃいます。これは大いなる誤解です。
中性洗剤というのは、いわば脂肪分解剤であり、界面活性剤なのです。
界面活性剤というのは、水に本来は溶けないはずの油を、小さな小さな粒子に分解することで水に溶かす性質のものです。この効果で、油汚れを落としているのです。
なので、「洗剤をお湯に溶かした溶液」は、やはり油を水に溶かします。この効果は、少量の洗剤を大量の水(お湯)に溶かした場合でも起こります。つまり、泡立たなくても汚れを落とす効果に変わりはない、ということなんです。

かつ、「お湯」は、「水」よりも、「油を落としやすく」します。
理由は、フライパンに油をしいて、火をつけるとよくわかります。
熱の入った油は、冷たい時と比べてさらさらしています。
油の粘着力は、温度が高いと弱まります。水では落ちにくいベタベタした汚れは、お湯で落とすのが基本です。

このお皿を「お湯で」すすぐと、さっと油と洗剤の溶けたお湯がすすがれ、流れていきます。
水で洗うよりずっとラクに落ちます。

また、この「洗い桶に洗剤入りお湯を張る」やり方ですと、スポンジの泡切れがいいです。
泡だらけのスポンジをどこかにおき、皿を洗い、最後にスポンジを泡がでなくなるまですすぐ、なんて手間もなくなります。
また、「泡がつきまくった手を洗いながらすすぐ」というストレスがなくなります。この洗い方だと泡はほとんど立たないので、すすぎが本当にラクです。やってみるとわかります。

普通の皿洗い時、途方に暮れる瞬間を、いくつか挙げてみましょう。

・皿が残った状態で鍋を洗おうとして、水道の蛇口に鍋がひっかかり、水が飛び散る
→空の状態のシンクで洗うので、自由に鍋を動かせ、水の飛び散りも少ない

・泡だらけのスポンジを、置くスペースがないので、流しの外に置き、後で手で泡を流さないといけない
→スポンジがそもそも泡立たないので、どこに置いても同じ。というか洗い桶の中に突っ込んでおくだけ

・泡だらけの手をまず洗い流し、そして皿を洗う。一枚洗うのにずいぶん時間がかかる
→スポンジでこすったあとはほぼ洗い終わったぐらいの泡しか残ってないというか泡が見えない。なのでさっと流せばそれで終わり

・冬場は水が冷たい
→お湯なので冷たくない

以上です!
おためしあれ。


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