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瓶が変われば…。

「瓶」に入っている加工品はいろいろありますが、こういう「保存食」ものに並々ならぬ思いを持っている私たち。

旅先でかわいい瓶ものがあればつい買ってしまうし、瓶に保存食を詰めてキッチンに並べて…みたいな暮らしに憧れを持っています。

今日はそんな「瓶」に関するお話。

いつもお世話になっている雲南市の「うすの会」さんに、ジャムと一緒に「いちじくコンポート」を発注しました。

「うすの会」さんは、雲南市掛合町でお餅やジャムなどの加工品を製造されているグループさんです。「いちじくコンポート」は雲南市内のいちじくをまるごと使って、時間をかけてあまーく煮詰められた一品。

しゅっとした瓶に入ってて、私たちも自信を持ってお勧めするデザインと味。

こちらの商品、「シマシマしまね」にいつも置いているわけではないのですが、特にイベントの時など、人気がある商品なのです。

ワインを隠し味にした甘ーいコンポートは、そのままお茶うけとして食べるもよし、ヨーグルトやアイスに添えるもよし。
そして、何よりこの細いスタイリッシュな形状の瓶が、イベントでは特に目を惹くようです。

手間のかかる商品なので、いつもお願いできるわけではありません。今回は、3月末の「とのまち 春のおくりもの展」に向けての発注でした。

「うすの会」さんのジャムやコンポートのパッケージはすべて、くらしアトリエが担当させていただいています。一番はじめに商品を作る段階からお手伝いもさせていただき、パッケージデザインも試行錯誤をしながら、かわいくて食べるのが楽しみになるようなものを…と考えた、私たちにとっても思い入れの強い仕事でした。

ちなみに「いちじくコンポート」のパッケージは、雲南・奥出雲地方の森をイメージしたグリーンがベースです。

「奥出雲から森の恵みをおすそ分け」と喋っているクマは、私たちが勝手に「うすの会」のAさんのご主人であるTさん(餅つき名人なのです)をイメージしてキャラクターにしています。本人はそのことを知りません…。

コンポートは、スリムなデザインが好評だったため、殿町の「おせわさんセンター」のイベントでもきっと間接照明の棚に映えるであろう…と考えていたのでした。
こちらがイベントレポート。会場の様子が分かるかと思います。


ところが…イベントの少し前に、いざ商品を受け取ったらなんか…あれ?瓶が太ってる…。

ちょっとふくよかに…なられたような。

なんと、知らない間に瓶が変わっていたのです。
あのスリムな瓶に合わせてデザインしたのに…っていうか、この瓶なんとなく「佃煮」感があるんだけど…なんで変えちゃったの?と、瓶を片手にぶるぶると震えました…。蓋が、特に蓋が…醸し出る佃煮感。

ショックを受けるも今から「瓶を元に戻してください」ということもできず、細身のシルエットから中肉中背のシルエットへと変貌した「いちじくコンポート」を棚に飾ってイベントはスタートしたわけですが、やはり、思ったように商品は動きませんでした。

その後、「うすの会」の皆さんのところにお邪魔した際に、「いちじくコンポートの瓶が変わってたんだけど、なんで?!」と聞くと、「分かったぁ?」と「バレちゃった」みたいな顔をするAさんとTさん。

「分かりますよ〜!」「おいしいのはもちろんだけど、瓶のかわいさで買う人もいるから、けっこうダイレクトに影響がありました」と正直にお伝えしたら、ご主人のTさんが「形が違うだけでそんなに売れ行きが変わるもんかね」と、すごくびっくりされたのです。

Tさんは高齢の男性ですし、普段は和牛の飼育をしてらっしゃるので、雑貨屋さんや輸入食材のお店など、いろいろな加工品のパッケージを見るということがほぼ、ありません。

だから、瓶の種類によって売れ行きが変わる、ということが「自分ごと」としてとらえられていなかった、ということなのでした。

よくよく聞けば、「あの瓶は細くて、いちじくが入れにくいんだよ‥」とTさん。

確かに、細い瓶に大きないちじくをきれいに入れるのは、簡単ではないことなのでしょう。でもきっと、だからこそかわいくて、だからこそ人の目を惹くのだと思うのです。

「形で商品を選ぶ人がそんなにいるのか」と、私たちがお伝えしたことで初めてパッケージの意義を身をもって感じてくださったTさん。

その話をしながら…思い出しました!一時期、ジャムの瓶が(これも知らないうちに)八角形の瓶に変わっていたことを。

クマが折れてしまっている…かわいそう

(仕方ないのでネットショップ用に写真を撮り直しましたが、「うすの会ジャム瓶カクカク」というフォルダを作ってその中に写真を入れています。)

あの時も、「丸型の瓶に貼るっていうのが前提のパッケージデザインなんですよぉ」と瓶を片手に震えたのですが、要するにTさんの中では瓶が丸だろうが八角だろうが、そんなに大きなことだとは考えておられなかったようです。あの時にちゃんと「デザインの意味」を伝えていたら、今回の瓶にはならなかったのかもしれません。

「そんなに違うんだねえ、へええ」と何度も感心されていたTさん。

今回のことをきっかけとして、シールだけではなくトータルで「おいしさ」「素朴さ」「かわいらいさ」のバランスをとっていく、ということを、あらためて考えてもらえたら嬉しいな、と思います。

「うすの会」さんのジャム、我が家でも愛用していますがどれもとてもおいしいです!「別に特別なことはしてないよ」とのことですが、たぶん同じレシピで作ってもこういう色や味は出せないんだろうな…と思っています。

コンポートも、とろーりとしたシロップごとぜひ味わっていただきたい!

そしてTさんが主導で作っていらっしゃるお餅も…今の時期は販売はありませんが、冬場は毎週末、飛ぶように売れています。昔ながらの杵と臼でついたお餅は、格別ですよ~!

最後に、5月末から6月には出雲地方の郷土食である「笹巻き」のネット販売も、私たちくらしアトリエが担当させていただきます。

これはもう、伝統芸の域だと思っているので、遠方の方で興味のある方はぜひ、HPをチェックしておいてくださいね!
うすの会さんいわく「今年は笹が早いから、販売も早めになると思うよ」とのことです!

過去の「笹巻き」への愛を綴った記事はこちらからどうぞ。


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