ツナ缶のかんぽっくり
ツナ缶の缶を洗い、紐を通して竹馬みたいにして遊ぶ。当時そんな遊びが流行っていました。
私はどうしてもそれがしたい! と祖母に言い、両足用でツナ缶をふたつ出してほしいと駄々をこねました。
祖母はそんなに食べられないんだからひとつ食べて、食べ終わったらもうひとつ食べればいいと言いました。
今すぐ遊びたい私は今すぐふたつ欲しいと言い譲りませんでした。
こうなってくるとふたりとも意地の張り合い、話は平行線です。
結局私が2缶全て今すぐ食べるということで話はまとまり、私は意地で2缶食べました。
胃もたれがすごかったです。
そこからしばらくツナ缶が食べられなくなりました。
そして私は胃が油まみれの中、もう半ばどうでもよくなったかんぽっくりを作成していた時、ふと視線を横に向けました。
猫がご飯を食べていました。
むしゃむしゃとおいしそうに。
……。
そしてその横には空っぽの猫缶。
……。
私は何度も何度もその猫缶と手元にあるツナ缶を見比べました。
同じ……もの?
自分の想像力の欠如を憂い嘆いた瞬間でした。
その日私はその猫缶を見なかったことにし、胃の中に溢れる油と戦いながら泣きながらかんぽっくりを作成したのです。
そして上手く出来ずにいびつな形になったかんぽっくり。乗ってみたけどしっくりこず、30分後、ゴミ箱の中に無惨な姿で投棄されたのでありました。
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