読書記録:星野源『そして生活はつづく』
星野源さんを初めて知ったのはいつだろうかと振り返ってみると、おそらくNHKの『LIFE!』というコント番組だと思うから、2013年頃でしょうか。逃げ恥のドラマが2016年なので、大ブレイク前から知っていたということにはなるのだけど、まぁだから何だという。改めて略歴などを読むと、それ以前から各所に引っ張りだこであったようですし。
私はファンを自称するほどのファンではないと思います。CDを買ったことも無いし、逃げ恥以外で俳優をしているところも見ていないし、ラジオも聞いていない。でも新曲が出たら聞くし、音楽番組に出ていたら見るし(横でギターを弾いている長岡亮介さん目当てでもあるけれど)、Spotifyの星野源プレイリストを流しながら料理をすることもある。彼の作る音楽が好きです。ライトなファン、いわゆる『にわか』なのかもしれません。
そんな私が彼を知る前の2009年に出版されたエッセイ本を読んでみました。星野源 著『そして生活はつづく』(文春文庫)。
誰にだって苦手なことはあるだろうけれど、彼の場合は生活全般についてそれが当てはまるようです。そしてできないことに対して自分に怒ったり思い悩んだりする。共感できることもあれば、ドン引きしてしまうこともあって、こんな人だったんだなぁ、まぁイメージ通りだなぁと思いながら読みました。
私自身も生活は苦手なことが多くあります。掃除全般は汚さの限界がくるまでしない。服をきれいに整頓して片付けることができない。床に何か落ちてても、落ちてるなぁでそのままにしてしまう。星野源さんが1か所掃除しだすと他にも連鎖的に掃除してしまうのと一緒で、ある日突然スイッチが入って半日くらいずっと掃除しつづける日がある。夫もキレイ好きというわけではないので、大人ふたりが健康に暮らせる最低限の基準は守りつつ、生活はつづいています。
人付き合いもあまり得意ではないので、狭いコミュニティにいるなぁという自覚があります。特に苦手なのが電話で、お店に予約を入れるだけでも緊張で手が冷たくなってしまう。仕事でお客様センター的な電話を受けることもあるのに、何年経っても慣れないでいます。
あれ?
私も彼に負けず劣らず苦手なことばかりか。
お腹が弱いのも一緒だし。
だから曲を聞いていいなぁと思えるのかもしれません。
このエッセイを読んでから最近の彼の曲を聞くと、この15年間、変わらぬ世界観を持ちつづけていることに気付かされました。私の好きな2曲の歌詞を引用させてください。
こちらはTBSの世界陸上とアジア大会のテーマソング。スポーツの躍動感や疾走感とともに、ラストの『そして つづく』が人生の一部としてのその瞬間、勝利も敗北も通過点であるという希望を感じます。間の空白に入るものは十人十色でしょう。昨年の紅白歌合戦のステージもカッコよかったなぁ。
もう一曲はこちらを。
アニメ『SPY×FAMILY』の第1期エンディングテーマであり、そのストーリーと照らし合わせるにつけ、良い曲だなぁとしみじみします。普通の生活と無縁だった登場人物たちが、それぞれ秘密を抱えて家族として暮らす日々。願わくばその生活がつづきますように。
先日、とても悲しいことがあり落ち込んでいたのですが、ふと『そして生活はつづく』という言葉が頭に浮かびました。あぁそうだ、落ち込んで何をする気も起きないつもりでいたって、ご飯を作ったり洗濯をしたり、私の生活はつづく。掃除だってしなきゃいけない。前を向くにはまだ時間がかかりそうですが、十分に幸せなこの日常をつづけていくことで何とか心が修復できるような気がしています。
今回も読んでいただきありがとうございました!
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