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第8回 映画『THE FIRST SLUM DUNK』を語る!!〜一体私たちは、なぜスラムダンクにこれほどまで感動するのか?なぜ山王戦が最後の試合だったのか?自分の帰る場所を探し続ける男達の姿を描き続ける井上雄彦の狂気にも似た情熱とは。

くに:2連チャンです!!

たけ:8/31で劇場公開がやっとこさ終了したね。1年近く映画館でやってたのか、、、、とゆうこともあって、コレをやりましょう〜。

くに:まー聞くまでもないけど、どーでした?

たけ:最高だよね。

くに:最高だよね〜。

たけ:くには漫画全部読んだしょ?

くに:もちのろんよ!!

たけ:まーそうだよね〜。一回統計とってみたいね、日本人がスラダン読破してる率(笑)

くに:たけはどこで読破したんだっけ?(笑)

たけ:入院中にベッドの上(笑) 膝の手術で3週間入院してる時に、暇だから病院に全巻揃っていたスラダンの単行本の1巻目を何気なく読み始めたら、気づけば夜でした(笑) 漫画置いてあるロビーと病室が凄い遠くて、だんだん取りに行くのめんどくさくなって、看護士さんに「今からスラムダンク全巻読むので、全部病室に持って行っていいすか?」って聞いたら、「あ〜ハマっちゃいました?(笑)」みたいな(笑) 22歳くらいの時だったかな。しかも向かいのベッドに入院してた男の人が、バスケットで怪我した人っていうね(笑)

くに:ウケる!!看護士さんも読破してるんだ!!

たけ:若い看護士さんは全員読破してた(笑)

くに:もはや通過儀礼かよってくらいの威力だよね〜。

たけ:それだけ人の心に刺さるんだろうね、、、。
井上雄彦が特集されたある番組で言ってたことで印象的だったんだけど、「ストーリーにあんまり興味がない」んだって。

くに:ほう、どうゆう意味??

たけ:登場人物同士の生身の人間としてのやりとりを描けば、必然的にストーリーが生まれるってゆうことなんだって。だから、人間が持つ感情や倫理観や弱さ、他者への振る舞い、善悪の判断、未熟さゆえの過ち、その他色んなことにとことん向き合っていくから生みの苦しみは半端ないだろうな〜と思うし、実際にその番組でも全然うまくできなくて毎日追い込まれてたね、、、。自分の納得する物語の着地のさせ方が、本当に大変そうでした。

くに:なるほどね〜。コレだけ多くの人が感動してるけど、何に感動したのかをズバッと一言で説明するのって実は意外と出来てないよね?ミッチーの「先生バスケがしたいです」とか、山王戦のラスト数十秒とか、具体的な感動ポイント色々あるんだけど、つまるところあたしらはスラムダンクの何に感動してるんでしょうか?ってとこ、行ってみるか?!

たけ:難しいね〜、、、、、、、、、、、。個人的に思うのは、一個めはやっぱり画力。画力が物語の可能性を広げているのと、読む側の感情をブーストしてるのは間違いないと思う。今回の映画でいうと、映像表現、度肝抜かれたよね、、、、、、。これがないと、バスケットボールっていうスポーツの持つスピード感や、身体的な迫力や緊迫感が伝わってこないよね。特に山王戦のラスト数十秒は、あの画力なしでは感動しないよね。逆にいうと、バスケットを描くからにはそれが求められるっていうのが、1巻から最終巻までの絵の変化が物語ってるよね。映画もそうだけど、原作漫画のキャラクターがバキバキだったり、肉体を酷使する人物が出てくる場合、やっぱり肉体が出来上がってなかったらやっぱり説得力ないよね。『変態仮面』っていう映画あるじゃん?鈴木亮平のカラダ、漫画そんまま!ホントすげーって思った。突出した画力でしか表現できない世界があるってことをすごく認識してるんだと思いました。

くに:『バガボンド』もそうだよね。バガボンドの話始めるともう止まらなくなちゃうからやめとくけど、画力で身体操作の表現を極限にまで突き詰めた感半端ないよね。確かに、画力無しではバガボンドも感動しないね。

たけ:バガボンドはまた別の回だね(笑) 映画になるんかいね?というかまだ完結しとらん(笑)

くに:二個目は?

たけ:二個目ね、、、ちょっとまとめるの難しいけど、、、、、、その画力で描かれているのは、「帰る場所を探し求める男」の話なんだと思うんです、スラムダンクって。テイスト全然違うけど、バガボンドも実はそうだと思う。花道、流川、宮城、ゴリ、ミッチーが主要メンバーだよね。花道は、毎日ケンカばっかしてふらふらして、家庭環境もあんまり良くないね。ゴリはバスケ部のキャプテンだけど、周りのメンバーが冷めきっていて、自分の熱量と同じ熱量の人、すなわち「仲間」がいない中でなんとかやってるよね。ミッチーは完全にダークサイドに落ちてダース・ベイダーになっちゃったじゃん(髪型ダース・ベイダーまんまで本当に似せたのかって思うくらい)。でも、そのダークサイドが自分のいるべき場所とは思ってないよね。で、今回の『THE FIRST SLUM DUNK』では、宮城にフォーカスが当たるよね。バスケットが大好きなんだけど、それを教えてくれたお兄ちゃんが死んじゃって、家庭が荒れちゃって、でもバスケ続けるんだけど、イマイチ本気になれる場所やキッカケもない。唯一違うのは流川だけ。自分にはコレだと思うもの、つまり自分がおさまるべき器が”バスケットボール”だと確信しているから一切迷いがないじゃない?安西先生に相談する内容も、バスケットが前提の話だから、他のメンバーとはやっぱ違うんだよね。いつも無口でクールだから花道と対照的なキャラクターとして描かれるけど、実は流川が光で、花道が影なんだよね。同様に、花道以外の3人も流川と対照的な存在に見えたわけ。で、自分のおさまるべき場所、帰るべき場所を見つけて、そこで生きて行くためには、自分勝手なままではいられなくて、少なくとも誰かと力を合わせる、つまり利他的な存在にならなきゃいけないじゃん。それが、ゴリの「俺はお前らとは大して仲が良いわけではない、だが、このチームは最高だ」とか、花道の「俺は、今なんだよ」っていう名セリフ。コレ、終盤でやっと出てくるけど、コレに全部詰まっている気がするんです。今まで相手のことを打ちのめしてきてばかりだった男が、なけなしの勇気で利他的な行動を取る存在になるって、そりゃ泣くよね(笑) その行動が取れるようになったのは、つまり「自分の帰る場所を見つけた」ってことなんじゃないかな。その最高潮ポイントが山王戦であって、そう考えると、山王戦以降が描かれなかった理由も納得できるんです。自分の場所を見つけるまでの葛藤にこそ、ドラマがあるわけだから。主人公達を最も追い詰める敵っていうのが、そのドラマをブーストするしね。

くに:それさー、誰しもみんなそうだよね。で、その場所を見つけられない人が大半じゃん?で、行くべき方向がわからないだけならまだしも、行くべき方向について真面目に考えている人って、高校生の時にどれだけいたんだろうって話でさ。ましてや、大人になって仕事に就きはしたものの、そういった気持ちのままな人もいるわけで。だから、誰しもが通る葛藤について描かれているわけだね。

たけ:人間が抱える普遍的な葛藤だよね。時代も年齢も超えて。だから、冒頭で言った特集番組でも、「人間についての普遍的なことを描きたい」って言ってたよ。だから、やっぱり人として成長しないといけない、というのが全ての前提にあるってことですね。

くに:なるほどね〜。じゃあ、スラムダンクに感動するポイントは大きくこの2つってわけですね〜。

たけ:個人的意見ですけどねー。

くに:今、バスケットW杯やってるけど、観てる?リアルスラムダンクじゃんて!!!

たけ:フィンランド戦、山王戦そのまんまだったね!でも、それ以上にビックリなのが、チームが湘北高校にそっくりってことっすよ。

くに:確かに!小さなポイントガードと、3ポイント取れるシューターってまさに湘北だね!

たけ:リアルスラムダンクじゃん!!って驚くけど、コレ逆で、スラムダンクっていう漫画がすでに世界に通用する戦術をすでに示してたってことだよね。で、それが実際に通用してるっていうのをW杯で目の当たりにしてるわけで。怖っ!!!ってなったよね。監督は正反対だけどね(笑)

くに:逆転劇が多くて、本当に感動する!オリンピック行ってほしいね!

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