カムクワット読書会(横浜近辺の読書会)

小説好きが集まる居心地の良い空間を目指して発足しました。主に横浜周辺にて、近刊小説を課…

カムクワット読書会(横浜近辺の読書会)

小説好きが集まる居心地の良い空間を目指して発足しました。主に横浜周辺にて、近刊小説を課題本にした読書会、好きな小説を語る読書会を開催しています。 https://twitter.com/KumquatBookClub

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わたしの目をあげる

わたしは散歩が好きだ。歩きながら周囲をながめると、わたしはわたしではない感覚を覚える。 散歩はわたしを他者にしてくれる。周囲の人の視線を追うと、さまざまなものを見ていることに気づく。鳩や猫、犬たちの視点はさらに異なる。 動物だけではなく、植物や建造物の気持ちを考えることも楽しい。ビルのガラスという目に映るわたしは、わたしが考えているよりも姿勢が悪い。ビルの目がわたしの背筋を伸ばしてくれる。 街中の散歩では、景色を切り取る視線を大事にしている。それは色や構図、デザインなど

    • 【活動録】第26回カムクワット読書会

      本日は川野芽生さんの「無茶と永遠」(『すばる2024年4月号』掲載)を課題作品に、横浜相鉄ジョイナスにあるUNI COFFEE ROASTERSにて開催しました。 参加者はキャンセルが出たため、2名。1名は初参加の方でした。 「無茶と永遠」読書会招かれざるパーティに出席する 「ティータイムの効用」と題された特集に3作品の小説が掲載されました。本作を含め、2作品がアリスモチーフでした。 本作は、トランプの4つのマークで場面や語り手を描き分けている。 ♠:女学校で3名の

      • なぜ創作に価値が生まれるか

        芸術とはなにか最近、立て続けに美術に関する新書を読んだ。その中で言及されていたプロフェッショナルとしての創作論について、本記事ではまとめてみる。 わたしは美術館が好きだが、美術方面の知識はほとんどない。何となく油絵を好きだと感じているため、絵画の企画展に行くことが多い。 美術館では、解説でその作品が生まれた背景を説明しているため、ぼんやりと芸術の潮流らしきものを感じるものの、なぜそれが価値を持っているのかは考えていなかった。 絵画であれば、その佇まいや歴史によって価値が

        • 計画中の文学ゼミ的活動について

          これまでカムクワット読書会では、多くの近刊小説を課題作品にした読書会を行ってきました。有名な作家の新刊、新人賞作品やこれからの活躍が期待できる作家の作品。 それらを読んでいると、何だか見えない部分で共有されている問題意識があるような気がするけれど、それを言語化することが難しいことを痛感しました。 何気なく生活していると気づかない違和感を、小説という形式で読者に手渡してくれる作家さんがある種の神様(創造主)であると仮定すると、読者はそれを解読する預言者になるのかもしれません

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        • 読書会レポート
          29本
        • わたしの頭のなか
          18本
        • 開催済
          32本
        • 参加者募集中の読書会
          1本

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          【活動録】第25回カムクワット読書会

          本日はディーノ・ブッツァーティ『タタール人の砂漠』を課題作品に、読書会を行いました。 参加者は初参加が二名、先月から連続の方が一名。読書会を主催している方、読書会自体が初めての方がいらっしゃいました。 ディーノ・ブッツァーティ『タタール人の砂漠』 たんたんと語られる砦での日々には、「目的」が欠けているように感じる。 「カフカの再来」や「幻想文学」と称されているが、そのまま受け取りづらい面がある。 カフカの『城』と比べると、城の中を目指したカフカと砦の中から外を眺める

          【活動録】第25回カムクワット読書会

          【第二十六回】カムクワット読書会【川野芽生「無茶と永遠」『すばる2024年4月号』】

          【開催概要】開催日:4月20日(土)10:30~12:30 募集人数:開催場所(参加費) 1~3名:横浜駅のカフェ(飲食代)、4~7名:横浜駅の貸会議室(500-1500円) 【課題作品】川野芽生「無茶と永遠」『すばる2024年4月号』 久しぶりに文芸誌から課題作品を選出しました。良作の多い1冊なので、非常にオススメです。 【参加方法】参加方法:Xアカウント(@KumquatBookClub)へのDMにて、ご連絡をお願いいたします。その際に、読書会でお呼びするお名前を

          【第二十六回】カムクワット読書会【川野芽生「無茶と永遠」『すばる2024年4月号』】

          【活動録】第24回カムクワット読書会

          本日は綿矢りささんの『パッキパキ北京』を課題作品に読書会を行いました。 参加者は7名、うち4名が当読書会に初参加でした。また、満席のため1名が参加できませんでした。 会場は横浜駅西口を出てから徒歩1分の貸会議室でした。 綿矢りさ『パッキパキ北京』読書会好きな中華料理/料理店 今回の自己紹介は、作品に合わせて好きな中華料理または料理店を挙げていただきました。 中華料理では、天津飯や中国茶、チャーハン、エビチリ、回鍋肉、刀削麺が、中華料理店では、悟空茶荘、神楽坂の龍朋、

          【活動録】第24回カムクワット読書会

          【第二十五回】カムクワット読書会【ディーノ・ブッツァーティ『タタール人の砂漠』】

          【開催概要】開催日:3月23日(土)13:00~14:30 募集人数:開催場所(参加費) 1~3名:横浜駅の貸会議室(500-1500円) 【課題作品】ディーノ・ブッツァーティ『タタール人の砂漠』岩波文庫 今回は近刊小説ではなく、古典小説を課題作品に読書会を行います。3度にわたるアンケートの結果、課題作品が決まりました。こちらの作品を読了した方のみ、ご参加いただけます。 当日は貸会議室にて読書会後、お時間がある方はカフェに行って、お話をしましょう。 【参加方法】参加

          【第二十五回】カムクワット読書会【ディーノ・ブッツァーティ『タタール人の砂漠』】

          【活動録】第23回カムクワット読書会

          本日は、2024年1回目の読書会を行いました。課題作品は先日サイン&トーク会に参加した高瀬隼子さんの『め生える』。 参加者は3名ともに何度も顔を合わせたことのある方々で、それぞれどこかの読書会等ですれ違っておりました。 会場は何度も使っているお店から変えようと思い、UNI COFFEE ROASTERYでした。おしゃれな内観で広々としていてとても良いお店でした。しかし、ここで私がぽかをしました。 カフェ開催の際は、予約できないお店では事前に座席を確保するのですが、入店行

          【活動録】第23回カムクワット読書会

          【第二十四回】カムクワット読書会【綿矢りさ『パッキパキ北京』】

          【開催概要】開催日:2月24日(土)10:30~12:30 募集人数:開催場所(参加費) 1~2名:横浜付近の飲食店(飲食費) 3~7名:横浜付近の貸会議室(500-1000円) 【課題作品】綿矢りさ『パッキパキ北京』集英社 課題作品アンケートにてトップ得票の作品。著者が実際に北京に滞在して感じたことを、小説という形式に落とし込んだ作品から、いまの中国の市民生活を垣間見ることができるかもしれません。 綿矢りささんのファン、中国に興味がある方、小説について話したい方。ぜ

          【第二十四回】カムクワット読書会【綿矢りさ『パッキパキ北京』】

          【第二十三回】カムクワット読書会【高瀬隼子『め生える』】

          【開催概要】開催日:1月27日(土)10:30~12:30 募集人数:開催場所(参加費) 1~3名:横浜付近の飲食店(飲食費) 4~7名:横浜付近の貸会議室(500-1000円) 【課題作品】高瀬隼子『め生える』U-NEXT 「ハンドレッド ミニッツ ノヴェラ」は「約100分夢中で読める中編小説」として刊行される小説レーベルです。その中から今年刊行された本作は、少し不思議な世界観で語られる切実な思いが描かれているように感じます。 ぜひ、感想や面白かった点などを共有しま

          【第二十三回】カムクワット読書会【高瀬隼子『め生える』】

          【小説】ある夢の話――籠城と混乱

           そこは我が家だ。わたしはそう思う。しかし、二階より高い窓から庭を見下ろしているそこは、明らかにわたしの家ではない。  わたしは恵まれた一軒家に家族と住んでいるが、二階より高い窓はない。それどころか校庭のように走り回れそうな庭などない。  これは夢だ。  わたしは気づいてしまった。しかし、夢は終わらない。足は沼に沈んだごとく重く、身体は温かい。耳は水中にいるときのような音を響かせる。  背後に人の気配があり、ふり向くと懐かしい顔があった。 「そろそろ」  そろそろわたしは

          【小説】ある夢の話――籠城と混乱

          【中止】カムクワット読書会【平野啓一郎「息吹」】

          【開催概要】開催日:1月14日(日)10:30~12:30 開催場所(参加費) 1~3名:横浜付近の飲食店(飲食費) 4名~ :横浜付近の貸会議室(500-1000円) 募集人数:1~7名 【課題作品】平野啓一郎「息吹」(『新潮2024年1月号』掲載) Audibleや中国の文芸誌で先行発表されていた作品が、満を持して『新潮』に掲載されました。新しい作品を一緒に楽しみましょう。 【参加方法】参加方法:Xアカウント(@KumquatBookClub)へのDM。 読書会での

          【中止】カムクワット読書会【平野啓一郎「息吹」】

          【活動録】第22回カムクワット読書会

          こんにちは。本日は短歌をテーマに読書会を行いました。 開催場所は平沼橋にある「bar&喫茶店 こむぎ」でした。 はじめて11時半開催として、ランチを食べながら好きな短歌や自作短歌について話しました。 読書会 本日の参加者は1名。『彩宴』の執筆、編集メンバーだったので、それについても少しお話しできました。 テーブルにつくと、まずはわたしの好きな短歌を10首紹介しました。選んだ歌集は以下の通りです。 尾崎まゆみ『奇麗な指』、『明媚な闇』 川野芽生「恐竜の不在」(『現

          【活動録】第22回カムクワット読書会

          【活動録】第21回カムクワット読書会

          こんにちは。 本日は、中村文則さんの『列』を課題作品にして読書会を行いました。 振り返り読書会 参加者は6名。2名は複数回カムクワット読書会に参加してくださっていて、2名は読書会自体が初めて、1名は別の読書会でニアミスした方、1名は別の読書会で何度も同席している方でした(お互いに顔を見合わせてしまいました)。 奇妙な縁は重なり、ジュンク堂で開催された『列』のサイン会で、同じ時間帯に参加している方々もいて、「同じ列に並んでいた」ことが判明しました。 熱心な中村文則読者が

          【活動録】第21回カムクワット読書会

          【第二十二回12/16(土)】カムクワット読書会【おすすめの短歌】

          【開催概要】開催日:12月16日(土)11:30~13:00 開催場所(参加費):横浜近辺のカフェ(飲食費) 今回はカフェの座席を予約するため、直前のキャンセルはご遠慮ください。 募集人数:1~3名 【参加方法】参加方法:Xアカウント(@KumquatBookClub)へのDM。 【課題作品】お好きな短歌集、短歌関連本を1冊以上。 ・好きな短歌を3首、自作の短歌を1首以上もちより、短歌を楽しみましょう。 【スケジュール】 10:30 集合、自己紹介 10:40 読

          【第二十二回12/16(土)】カムクワット読書会【おすすめの短歌】