くみみファンタジア文庫

恥ずかしいので生暖かい目で見守ってください。

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#身近な街の空気

図書館2冊。柴崎友香さんが大好き。 ※物語の内容や結末に容赦なく触れていますのでご注意ください※ 📚百年と一日 30話くらいの超短編集。 どのお話も柴崎さんらしく、今いるひとと過去にいたひとの時間やそのときの景色が切り取られてる贅沢さ。面白いけど続きが気になるところで終わっちゃうからちょっと惜しい気持ちになる。 建物の屋上にある部屋を探して転々とするひとの話が特に好きだった。地下の噴水と話も良かったな。やっぱり柴崎さんは身近な街の空気の匂いがするところ、その風景に今はい

    • #よく見ると星のかたちをしてる砂の粒

      漫画と小説。先日の谷口菜津子さんの新刊と、2008年の柴崎友香さんです。 📗教室の片隅で青春がはじまる / 谷口菜津子 自分の人生を最高だと思いたい女子高生たちのお話。登場人物みんな健気で頑張り屋さんでちょっと懐かしくて、みんなえらくってギューとしたい子たちばっかり出てくる。わたしがいちばん大好きなのはオタクを隠してスクールカースト上位にいるニカちゃん。作品を褒めるのに泣けるかどうかは関係ないのだけども、胸がいっぱいになるかっこよさを見せつけてくれるので好き。その頑張りが

      • #しあわせとは

        図書館で本借りると強制的に2週間で読まなければってなってなんだかんだ読めるね。 読書感想文はたくさんある過去のものをさかのぼって載せるつもりです。 ※物語の内容や結末に容赦なく触れてるのでご注意ください。 📚それを愛とは呼ばず / 桜木紫乃 久しぶりの桜木さん面白い上にすごく好きだった。女社長である章子を妻に持つ亮介、または10年売れようとがんばったけど無理だった美しい白川紗希。章子の事故をきっかけに亮介は会社を追われ、北海道にあるとてもリゾートとは呼べないまるで廃墟と

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        • 久深ちゃんの読書感想文
          3本
        • SFお花
          2本

        記事

          黄色のチューリップ

          黄色のチューリップ

          紫色のパンジーを買った

          こんなはずではなかった。 あとは詞をかたちにするだけで楽曲は完成する。 タイトルも決まっている。いい曲になりそうだと思った。入れたいセンテンスもできている。花も見つめてくれている。昔はそのへんにも咲いていたらしいパンジーという名前の花だ。 この花のことは気に入っている。バンドのメンバーは人間の顔のようで不気味だという。 わたしからしたらメンバーの持っている花たちのほうが恐ろしいと思う。 まるでこちらの意識を気にしていないような顔をしている。 ただ茎を伸ばし、花の目はこちらを

          紫色のパンジーを買った

          花が言うには

          花が音楽を聴きたいと言うのでディスクを買ってやった。 この大きさでコンパクトディスクなどという名称なのだから昔の人間はアホだと思う。 そうぼやいたら花に叱られた。それをきいて怒るような人間はもう生きていないのに、そんなことを言うものではないと言う。 万が一再生できないということがないように、ちゃんと互換性のある色番号を確かめてやったのに口うるさい。花はこの音楽を気に入ったらしい。 窓辺が好きなのはずっと前からだが、それは昼の明るさが好きなのだと言っていたのに、夜も窓辺から