見出し画像

日本語教師とトレーナーは似ていると思う

今日の午前中、研修のための模擬授業に参加しました。

模擬授業を行ったのは日本語教師歴1年程度の中国人です。45分程度の模擬授業が終わった後、わたしは気がついた点などを日本語で説明します。

すると日本語がまったくわからないと不機嫌そうに言われました。

それでわたしの日本語がわからないのか、それとも日本語そのものがわからないのかと質問すると、話し言葉の日本語が理解できないという返事でした。

それで日本語教師なので日本語をもっと勉強するようにと中国語で説明するとちょっと機嫌を損ねたようでした。

わたしは彼女が日本語学習者としてもレベル不足なことに気がつきましたが、あまり追求しても問題解決にはならず、かえって問題点が曖昧になる傾向があるので、それ以上はアドバイスしないことにしました。

学習者としての日本語レベルと、教育者としての日本語レベル

今回の問題点は、模擬授業を担当した中国人が教育者としての日本語レベルに達していないという点です。

今回の日本語教師は、日本語を読み理解し中国語にすることは問題ありませんが、中国語で考えていることを日本語で話したり、書いたりすることは難しいレベルです。

つまりインプットは大丈夫そうですが、アウトプットは苦手です。さらに聞き取り能力は高くなさそうです。

この状態では日本語教師として成功するのは難しいです。読む・聞く・書く・話すができるようになるだけでも大変なことですが、それだけでは日本語教師として成功するのは難しいです。

これは日本人が日本語を教えられないのと似ています。

例えば「庭にネコがいます」と「ネコは庭にいます」の違いを日本語母語者はなんとなく理解できますが、これを外国人に説明するのは難しいでしょう。また「良い魚があるよ」と「きれいな魚がいます」の違いを考えたことがなければわかりやすく説明するのも難しいです。

意味の違いや使い方を間違えることはありませんが、それを説明するのができないという問題があります。

それと同じで、話されているところがわかるのは当たり前でスタートに過ぎず、そこから先のどうやって教えるかを考えるのが教師の仕事です。

日本語教師はトレーナー

日本語を含む言語を教える仕事はトレーナーと良く似ています。

どうすれば体を思い通りに動かすことができるのかを教えるように、言葉の使い方を教えます。

良い訓練を受けると、考えなくても体を動かすことができます。同様に良い日本語教師は日本語を自在に使えるように助けます。

この点で非日本語母語者が日本語教師になるというのにはメリットがあります。誤用や間違えやすい用法を身をもって知っているからです。

それで自分を分析して、学習者の必要にあった授業を準備して欲しいなと思っています。

さてわたしは数十名の中国人日本語教師を訓練するトレーナーです。どうすれば良い教師を養成できるのかを考えながら仕事していきたいと思います。

今日も最後まで読んでくれてありがとう。

また明日!


ぜひぜひ、サポートをお願いします。現在日本円での収入がなく、いただいたものは日本語教材や資料の購入にあてます。本当にありがとうございます。