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時短とか効率追究ではなく、成功の必殺技を知りたがる中国人のお話

先日「タイパ」について思うところを書きました。

その中で「中国人って、時短とか、効率って言葉が好きなので、タイパって概念、こちらでも流行るかもしれませんね」と書いたのですが、よくよく考えてみると、これはわたしの勘違いでした。

多くの中国人が好きなのは「時短」とか「効率」ではなくて「楽すること」です。もう少し丁寧に説明すると「得すること」です。

必殺技を知りたがる学生たち

わたしは教員ですし、試験対策の日本語を教えます。

しかし、試験で高得点をとるためのテクニックのみを追究することに、何の意義も見いだしていません。日本語教師ですから、日本語を使えるように助けるのが本業です。日本語を使えるように助けた結果、日本語能力試験などで高得点を取ることができたというのが自然な流れでしょう。

ところが、残念なことに多くの場合、学習者の日本語学習の目標は試験で合格すること。または大学受験で日本語を選択し、できるだけ高得点を取る方法を習得することです。

それで、仕方なく効率良く問題を判断する方法を教えます。しかし、いくら効率良く問題を分析できたとしても、結局は根気強く日本語の文法や語彙について積み上げていくしかなく、それには時間がかかります。

わたしにできることと言えば、800時間かかるところを600時間である程度の基準まで届くように助けることくらいのものです。

800万円で手に入るものを600万円で手に入れる事ができたとしたら、素晴らしいと思うのですが、多くの人はそうは思わないようです。

すぐに単語を600個覚える方法がありませんか?
動詞の活用を簡単に理解する方法はありませんか?
様々な文法を一目で区別する方法はありませんか?

こういう要望ばかりです。

これは、効率とか時短のレベルを超えた「魔法」レベルのテクニックで、もし習得できるとすれば、人生バラ色でしょう。

そして、能力や気力に欠けている人に限って、そういう必殺技を求める傾向があります。そんな方法を探る時間があれば、単語の一つでも覚えれば良いのにと思います。

ですから、講義のビデオを1.5倍速でみても理解できるから、早送りで見ましょうと言っても、中国人にはウケないように思います。

むしろ、一度見ただけで忘れられないといった、とにかく楽を全面にだすものが受け入れられる傾向があります。

もしかすると、この20年ほどのあいだ、経済面ではボーナスステージだった中国で、効率とか時短とかを駆使して努力し成功した人よりも、時流に乗って大金持ちになった人の方が多いのかもしれません。

そんな人を見て、羨ましいと思う人たちにタイパだのコスパだの言っても何の魅力もなく、秒で億稼ぐテクニック的なものが受け入れられるのかもしれません。(そんな本のタイトル見たことあるような・・・

そんなことを考えてました。
今日も最後まで読んでくれてありがとう。また明日。

ぜひぜひ、サポートをお願いします。現在日本円での収入がなく、いただいたものは日本語教材や資料の購入にあてます。本当にありがとうございます。