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旅と本を手掛かりにして、つながらなくてもいい居場所を模索中です。

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老害になりたくないので、みそっかすに立ち戻ろうと思う

西野亮廣さんがYoutube動画で「老害化を回避するには、周りの人が助けたくなるような愛されるいじられキャラになろう」という主旨の話をされていた。 昭和の頃の子ども社会に存在した「みそっかす」制度を思い出した。 「みそっかす」は、遊ぶ際にいっちょまえと見なされない子のこと。 例えば、鬼ごっこやかくれんぼでは捕まっても鬼役は免除され、対戦遊びの際には頭数にカウントされないし、失敗しても責められない。 自転車レースなど危ない遊びは、みそっかすは参加できなかった。 「一人前の

    • ディズニーランドに行ってないとビンボー人⁇

      「うちは貧乏なの?」 ある時、子どもがそんな風に聞いてきました。 あまりに唐突な質問だったので、ぐうの音も出なかった… お金持ちではないけど、貧乏でもないとは思うんだけど。 今どき小学生の間でいったいどんな話が繰り広げられていのか知らんけど、うちの子の認識はこんな感じらしい。 USJ(飛行機移動)or TDLに複数回行ったことがある → お金持ち ディズニーランドに行ったことがある → 普通 どっちも行ったことがない   → 貧乏   ハイ、どちらも行ってません… 

      • 中年の希望の星「伊能忠敬」は日本を測りたいわけじゃなかった⁉ 

        子ども用に図書館で借りてきた歴史マンガ。 「50を過ぎてから日本各地を旅して地図を作った人」というのは漠然と知っていたけれど、いろんな意味で思ってたのと違った。 想像:幕府の役人で、測量の仕事を任された。 実際:地主階級で商家に婿入り。隠居してから上京して日本地図を作る。 学問のために隠居を願い出るも有能であるがために認められず。3年かかってようやく息子に家督を譲り隠居。 隠居してから江戸に出て、伝手を頼りまくって14才も年下の学者に頼み込んで師事。 緯度を計測したい

        • 体験格差よりも「格差を体験すること」の方がずっと残酷だと思う理由

          先日、体験格差について考えてみたけれど、しつこくその続き。 学校の作文に書くような楽しい経験はすっかり忘れていたりするけれど、「格差を感じた体験」は強烈に記憶に残っている。 例えば子どもの頃、友達を真似てピアノを習っていた。 10年近く習っていたはずなのに、記憶に残っているのは、レッスンや発表会ではなく、全国レベルのコンクールに出場している同年代の子のものすごい演奏を聴いて、自分とのレベルの差に愕然としてやる気をなくしたことの方だ。 アメリカの高校に留学した際、一番カル

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          ドラマ「SHOGUN」とジャパンアズナンバーワンの思い出

          配信ドラマ「SHOGUN」が全世界で大ヒットという記事を読んで思い出した。 バブル末期、アメリカの全寮制高校に短期留学した。 初めて乗った飛行機。夕暮れの上空から見下ろすと、海岸線に沿ってライトアップされた日本列島が浮かび上がっていて、それは美しかった。 自分の旅路を日本の全ての人が応援してくれているかのような、日本人であることが誇らしいような、そんな感覚を覚えた記憶がある。 隣の席のサラリーマンらしき日本人男性は、どうやら全く英語ができないようで「coffee」が通じ

          ドラマ「SHOGUN」とジャパンアズナンバーワンの思い出

          中国とメタバース『世界2.0』中国語版に思うこと

          佐藤航陽さんの著書『世界2.0』の中国語版が出版されるという、ご本人の投稿を見てちょっと驚いた。 この本って、中国で出版していいの⁇ 佐藤さんの語る未来は、テクノロジーの進化が人間の意識の大変容を促し、中央集権的なものが縮小していくことを予見する、どことなくアナーキズムを思わせるような印象で、中国では発禁扱いだろうと勝手に思っていたんだけれど。 我々とは全く違う方法で世界を認知する新しい世代が登場したり、メタバース空間で仮想国家つくったりするのは、OKなんだろうか?

          中国とメタバース『世界2.0』中国語版に思うこと

          体験格差とトラウマ本。正の体験を増やすより、負の体験を減らしてほしい

          最近よく目にする「体験格差」に関する話題。 この場合の体験というのは、旅行や習い事だったり、親と過ごす時間だったり、いわゆる質の良い「正の体験」を意味するようだけれど、個人的には「正の体験」を増やすより「負の体験」を減らす方が、子どものためになるんじゃないかと思う。 というのも、楽しかった正の体験よりも、苦々しい負の体験の方が記憶に残りやすい気がするので。 自分の子どもの頃の記憶で、強烈に覚えているのは、眠くもない時間にお昼寝を強制される保育園が大嫌いだったとか、拾って

          体験格差とトラウマ本。正の体験を増やすより、負の体験を減らしてほしい

          【未来小説】毒親の遺言

          私の母はいわゆる毒親だった。 過保護で過干渉で、そのくせ子どもの心情には無関心。 幸いにして早い時期に気づいたので、就職と共に家を離れ、実家とは疎遠になっていた。 毒親対策マニュアルに「完全に関係を切ってしまうとストーカー化する可能性大」という記載があったので、そのアドバイスに従ってチャットアプリでのやり取りだけは続けていた。 あの人はチャットでのやり取りでも相変わらずうるさかった。 娘を心配しているように見せかけて毒を吐くようなメッセージが、延々と続く。 メッセージ

          【未来小説】毒親の遺言

          【未来小説】喜怒哀楽の値段

          20XX年。AIの進化により、人類は労働から解放された。 国は社会保障の一環として、各企業に一定人数の雇用を義務づけた。 個人は名義上いずれかの企業に属し、給与という名目のベーシックインカムを一生涯もらえるようになった。 俺の所属する会社では、福利厚生としてメタバース上に仮想オフィスを設置している。 実際にはAIが自動的に業務を行っているので、出社の必要性は全くないのだけれど、暇つぶしと好奇心からきまぐれにリモート出社していた。 隣の席の新卒の山田さんという女性のアバタ

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          ゲーム中毒とメタバース『世界2.0』を読んで

          小学生の頃、ゲームのやり過ぎが原因で入院した。 発売当時、子どもたちの間で爆発的人気となった任天堂ゲームウォッチ。 お年玉でようやく手に入れてから2週間後のある日、プレイ中に片目が閉じなくなった。顔面神経痛だった。 地元の医療機関では治療する術がなく、遠方の病院で手術を受けることになり、手術前検査のために事前入院となった。 小児病棟の同室の子たちは、院内学級に通っているような、長期入院の子ばかり。どんな病気か想像もつかなかったけれど、母親も付き添って宿泊していたり、夜間

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          始めるは易し辞めるは難し。もし退職のしやすさをウリにする会社があったら?

          退職代行サービスが人気というネット記事を読んだ。 「自分で電話1本かけるだけで済むことに、わざわざ2万円も払って代行してもらうなんて」という意見もあるようだけれど、その電話1本ですら避けたいという心理もよくわかる。 「タイミー」「シェアフル」などの単発バイトアプリが人気なのと同じ理由だと思う。 タイミーを眺めていると、条件のよさそうなバイトは1か月先まで既に応募でうまっている。同じ人が毎日同じバイト先に応募しているのだろうか。 1か月先の予定までいれるくらいなら、一般の

          始めるは易し辞めるは難し。もし退職のしやすさをウリにする会社があったら?

          ぼっち好きへの福音書『 「居場所がない人」たち 超ソロ社会における幸福のコミュニティ論』を読んで

          しばらく「つながらなくてもいい居場所」について考えていた。 すごく自分勝手かもしれないけれど、自宅以外に居場所が欲しいのに、「居場所」という言葉にもれなく付いてくる「コミュニティ」「つながり」は欲しくない。 というのは、誰かにとっては大好きな居場所でも、他の誰かにとっては居心地が悪いかもしれないから。「つながり」は常にポジティブに作用するとは限らない。 たとえば「居場所」の一例としてあげられることも多い、スナックやバー。 一見客に慣れている店なら、通りすがりに立ち寄って

          ぼっち好きへの福音書『 「居場所がない人」たち 超ソロ社会における幸福のコミュニティ論』を読んで

          ボーディングスクールの学費高騰にビックリ。アメリカのインフレぶりを垣間見た。

          最近、ネット記事で目にすることが増えた国内外のボーディングスクール(全寮制学校)の話題。 もう30年も前になるけれど、アメリカの全寮制学校に短期留学したのを思い出した。 今ではボーディングスクールと言えば、「富裕層が~」という枕詞とセットで使われるけれど、その頃は「ザお金持ち」って感じでもなかったような。 在校生は外出時に見かける地元の高校生よりは洗練されていたし、ルーツは分からないけど外観だけで判断するとほぼ9割が白人。 平均値よりは裕福な家庭の子女だったのかもしれな

          ボーディングスクールの学費高騰にビックリ。アメリカのインフレぶりを垣間見た。

          若さチートを使いそびれた氷河期世代は渋谷ハロウィンが羨ましい

          いつの間にか10月の恒例トピックとなってしまった渋谷ハロウィン。 「こんな人混みに好んで出かけて行くなんて何が楽しいんだろう?」と、例年冷ややかにニュースを眺めていたれど、今年はなぜだか妙に羨ましく感じられた。 ハロウィンの日に仮装して渋谷に繰り出せるのは、若者だけの特権だ。 ニュース映像で見る限り、ほとんどが20代。30代以上も全身仮装ならいけるかもしれないけど、恐らく居心地悪いと思う。 自分の20代といえば就職氷河期だった。 一番出生数の多いベビーブーム世代、20代

          若さチートを使いそびれた氷河期世代は渋谷ハロウィンが羨ましい

          旅行のデジタル化。スマホを手にして得たものと失ったもの。

          久しぶりに遠方に旅行に出かけた。 ほぼ6年ぶりということもあり、旅のデジタル化がぐっと進んでいることに驚いた。 飛行機はオンラインで事前チェックイン、搭乗券もスマホのQRコード。 新幹線もネット予約で、手持ちのSuicaと連携するだけ。 ローカルバスの1日乗車券もオンライン購入、乗り降りの際にスマホ画面を提示するだけ。 支払いの面でも、クレカやQR決済を使えなかったのは2か所だけ。現金の出番はほぼなかった。 ガイドブックもスマホにダウンロード。 旅行アプリならさらに便利

          旅行のデジタル化。スマホを手にして得たものと失ったもの。

          「本」という言葉に感じる日本らしさと本の未来

          「本」という字は、中国伝来の漢字のはずなのに、大和ことばのような、翻訳された和製漢語のような、どことなく日本っぽい印象を受ける言葉だなと思っていた。 というのも、日本語と中国語で使い方がだいぶ違うから。 日本語では「本」と「書物」はほぼ同義のように使われるけれど、現代中国語では書物はあくまで「書」であって、「本」という字は使わない。 中国語では「本を読む=看書」「勉強する=読書」。 「本物」「本当」「本音」といった単語も、中国語にはない。 中国語では「真貨」「真実」「真言

          「本」という言葉に感じる日本らしさと本の未来