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15 死期を感じた日
2024年5月。
いつも通り、給与計算の為に新幹線に乗って出張へ出かけた。
夫の仕事の都合がつかず、子どもを通学路の途中まで見送り、仕事モードのスイッチを押した。
本当はわざわざ東京から新幹線に乗って片道3時間もかけて出張しなくても良いのだろうが、そこは二代目社長となる身。
毎月顔を見せることで生まれる信頼関係もあると信じているので、多少の無理をしてでも事務所へと出向く。
12 名刺づくり
展示会に行くにあたって、名刺が必要となった。社員に、私用の名刺を発注してもらった。
メールアドレスも専用のものを作ってもらった。大抵はmyouji(苗字)@会社名.co.jpとなる。
私は結婚してから姓が変わっているので、父とは同じにならなくて済んだ。
2 詐欺
死ぬ死ぬ詐欺
これは、少し前に世間を賑わせた類の詐欺ではない。
私が、実際に遭遇した、親族内で起こった詐欺の話であり、それは今なお継続中である。
私が中学生の頃だった。
「お父さん、あと5年か10年しか生きられないから」
3 初出勤
2022年3月。
息子が幼稚園を卒園し、春休みに入った。
夫に子守を任せて、父の会社に出勤した。東京の自宅から片道3時間。
父の会社の最寄り駅である田舎には、タクシーさえ止まっていない。
田んぼに挟まれた農道をすり抜けて、事務所へ入ると、相変らず散らかっていた。
7 電話ふたたび
2024年1月。
スーパーで買い物をしていると父から着信があった。
毎度のことながら、父からの着信は心臓が飛び出るほど驚く。
父は滅多なことでは、私には(私以外の家族にも)連絡をしてこない。
10 経営状況
二十年前、私が一年間だけ父の会社で働いていた時は、明らかに自転車操業であった。
月末の支払いと入金のタイミングで、口座に現金が足りなくなることがあり、懇意にしている一社のみ、支払いを翌月5日にしていたことを知っている。
だから、きっと今でも自転車操業でなんとか黒字を出している程度だろうと高をくくっていた。